※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2017年11月3日号

市長コラム

如斯亭開園、天徳寺散歩

〜川の流れとともに〜

市長 穂積 志(もとむ)

修復整備工事を終え完成した、国指定名勝
旧秋田藩主佐竹氏別邸(如斯亭)庭園の開園式で(10月21日)

 遠く太平山を望むと、山の頂から始まった紅葉もいつの間にか人里近くまで降りてきて、日に日に秋が深まってくるのがわかります。自然が冬の装いを整えるように、私たちの暮らしもまた雪寄せの準備や暖房の備えなど、冬の身支度の季節となりました。
 さて、この太平山に源を発する旭川の河畔に、先月21日、国指定名勝 旧秋田藩主佐竹氏別邸(如斯亭)庭園が開園し、私も早速散策してきました。奇岩の景石や灯籠、四季折々の植栽などさまざまな風景をたのしむことができます。
 見どころは園内十五景。「紅霞洞」や「玉鑑池」「渇虎石」「巨鼇嶋」など、字を見ているだけでいろいろな風景が浮かんでくるようです。例えば巨鼇嶋。滝壺からさらに流れ落ちた水を湛える池が玉鑑池ですが、この池に浮かぶように配置された大きな石を巨鼇嶋といって大きなカメがそこにいるかのように見立てて楽しむものです。その隣の大きな石は渇虎石と言って巨鼇嶋と同じく石の形状から命名されたものと言われ、喉が渇いた虎という意味だそうです。
 ではそもそもこの「如斯亭」の名前の由来はご存じでしょうか。九代藩主佐竹義和公が滝からの流れを見て、孔子の論語“逝く者は斯くの如きか、昼夜をおかず”から引用したそうです。水流の絶え間ない流れを嘆賞しつつ、人間の道も学問もまたこのようにあるべきという意味になり、その名の起源からも義和公のこの庭園に対する思いが伝わってくるようです。
 この如斯亭のすぐ西を流れる旭川も、菅江真澄の助言を受けて義和公が命名したと言われていますが、旭川橋を渡り北西に1kmくらいのところには佐竹氏の菩提寺天徳寺があります。総門、山門、書院など二十万石大名の菩提寺にふさわしい壮大な伽藍配置で、本堂は茅葺き屋根の建物としては日本有数の規模を誇ります。
 如斯亭と天徳寺ともに秋田市を代表する歴史名所ですが、実は文化財としては珍しいダブル指定という共通点があります。一般的に文化財は建造物・史跡・名勝・民俗などに分類されますが、天徳寺は建造物として、如斯亭は名勝として国指定、また双方とも史跡として県指定となっており、このことは歩いても10分程の2つの文化財がいかに多面的な価値を持っているかを表しているように思います。
 日頃から何げなく目にしていて、歴史的価値を必ずしも意識しているわけではありませんが、この時季、ときどき訪れる小春日和に合わせ、紅葉から落葉そして冬木立を眺めながらの歴史散歩もおすすめです。

流水を湛える玉鑑池

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