※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2018年8月3日号

市長コラム

合葬墓、その反響に学ぶ

市長 穂積 志(もとむ)

8月…千秋公園のお堀のハスも見頃を迎えます

 先月、西日本を襲った「平成30年7月豪雨」で犠牲になられたみなさまに心からお悔やみ申し上げます。また、被災されたかたがたにお見舞いを申し上げますとともに、今なお避難生活を余儀なくされているみなさまが、一日も早く元の生活に戻ることができますよう願っています。
     
 各地から“熱い”まつりの便りが聞かれるようになりました。季節は夏真っ盛り、間もなく旧盆を迎えます。夏休みで帰省する子どものために準備に余念のない親御さんや、故郷での再会を待ちわびる旧友など、人それぞれの8月が思い描かれます。また、お盆に親戚が集まったり、家族揃ってご先祖様の墓参りをすることが、この時期の慣習というかたも多いことでしょう。
 ただ昨今、こういった家族の有り様やお墓への考え方が変容してきているようです。核家族が増え、少子高齢化が進み、一人暮らしの高齢者も増えてきました。お寺や集落の墓地にある先祖代々のお墓を家族が守っていくという考え方が、必ずしも当たり前ではなくなってきているようです。
 市では血縁や婚姻関係、信仰にとらわれずに多くの遺骨を合同で埋葬し、管理は市が行う新しいかたちの墓地を平和公園に整備しました。4月と5月に、この合葬墓の申し込みを受け付けたところ、収骨可能数を大きく超える希望者が殺到し、すべての要望に添うことができませんでした。窓口で混乱をきたしたことに深くお詫び申し上げます。
 今回、県内で初めて合葬墓の整備に踏み切ったのですが、正直申し上げてこれほどのニーズがあろうとは想定していませんでした。その背景にあるのは、「墓地を引き継ぐ家族がいない」「継承にあたり家族に迷惑や負担をかけさせたくない」などの声が、当初考えていた以上に切実なものであったということだと思います。
 市内には平和公園のほかに飯島、豊岩、河辺和田に市営墓地がありますが、こうしたみなさんの声に応えるべく、今後、合葬墓を新たに整備するための補正予算案を市議会に提出したいと考えています。また、募集方法などについても、さまざまに検討を加えてまいります。
 「終活」は今や一般的ですし、埋葬の仕方も、樹木葬や自然葬、中にはロケットで散骨する宇宙葬といった言葉もあるようです。行政を推し進めていくには、時代の変化や価値観の多様化などをきちんと受け止め、的確に対応していかなければならないと改めて考えさせられた出来事でした。

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