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2020年3月6日号

市長コラム

市長 穂積 志(もとむ)

豪風(たけかぜ)引退〜大銀杏(いちょう)にはさみ

元関脇豪風の大銀杏にはさみを入れる
穂積市長(2月1日、東京・両国国技館で)

 令和で迎えた初めての大相撲初場所は、史上2人目、20年ぶりに徳勝龍関が幕尻優勝を果たす波乱の幕開けになりました。まだ余韻が残る先月1日、縁あって両国国技館で開かれた「豪風引退・押尾川襲名披露大相撲」に参列してきました。昨年初場所で引退した元関脇豪風の断髪式とあって、会場がほぼ満席となる大変な熱気に包まれていました。私も大相撲は何度か観覧しましたが、砂かぶりで間近に見たのは初めてでした。
 徹底した摂生と厳しい稽古で、秋田県出身として最多の幕内590勝を挙げ、幕内在位86場所、年6場所制以降最年長初金星など、押尾川親方の輝かしい戦績は改めて申し上げるまでもないと思います。今回は私と相撲との縁についてご紹介しましょう。
 秋田青年会議所の活動をしていた平成4年、青少年の健全育成や国技の振興に向けた「わんぱく相撲全国大会」があり、その予選となる秋田場所を会議所が主催することになり、私が大会運営の総括を務めました。土俵は当時、高清水の秋田県護国神社の相撲場で、全県から100人を超す小学4・5・6年生が参加してくれました。予選を勝ち抜いた各学年1人ずつが、両国国技館の全国大会に出場することになり、私は選手3人を引き連れて墨田区の片男波部屋で合宿。ちょうど夏休みで一緒に隅田川の花火を楽しんだり、他のチームの選手や若手力士たちとちゃんこ鍋を食べたことなどを今でも時々思い出します。子どもたちにとっても貴重な経験として心に刻まれたのではないかと思います。
 さて押尾川親方の断髪式ですが、全国のファンの前で最後の大銀杏にはさみを入れられる前に、長男海知君との取り組みがありました。父親と同じく小学校では柔道をやっているらしく、結果は見事な一本背負いで大金星でした。現役時代、親方も小兵ながら豪快な一本背負いで観衆を沸かせていましたが、まさにその姿を彷彿とさせる決まり手でした。父として前へ前へと突進する息子を全身で受け止め、自分を超えてくれることを願い期待を込めた取り口に、その場が親と子のほのぼのとした雰囲気に包まれた一コマでした。
 残念ながら最後まで参列できませんでしたが、その後、師匠の尾車親方のはさみで大銀杏を落とされた後、整髪しスーツを着込んだ親方が現れ、「18年間の付き合いで、身体の一部というよりも身内のようなもので、いなくなった感じ」とあいさつされたとお聞きしました。今後は後進の指導に当たられるとのことですが、現在、県出身の関取がおらず幕下のみということもあり、郷土力士の育成、そしてできればいつもの軽妙な語り口の解説も期待したいところです。

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*勝ち数は日本相撲協会公式サイトより。


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