※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2020年4月3日号

市長コラム

市長 穂積 志(もとむ)

正しく恐れ、正しく過ごす

心潤う桜の季節が待ち遠しいですね

 平成23年の東日本大震災から9回目の3・11。毎年この日は厳粛な気持ちで臨むのですが、今年は特別な雰囲気の中で迎えたように思います。新型コロナウイルスの感染が全国で発生し、2月下旬には政府が学校の臨時休校を要請、またスポーツ・文化などのイベントの自粛を呼びかけました。それを受けて本市でも臨時休校にするとともに、卒業生と教職員の出席だけで卒業式を行いました。保護者のみなさまには少しでも喜んでもらえたらと思い、インターネット中継やDVDの提供でお子さまの成長の跡をご覧いただきました。
 また、プロ・アマ問わず多くのスポーツイベントが中止され、センバツ高校野球も中止になりました。報道で目にした中でも、出場校だった明徳義塾高校の馬淵史郎監督が生徒に向けたメッセージが印象的です。「人生にはいろいろなことがある。これも人生勉強だと思う。四国大会で優勝して、センバツに選ばれたことに胸を張ろう」。私からもメッセージを送りたいと思います。球児にしては“幻の春”となってしまい、なぜ今回なのか、なぜ自分なのかと理不尽に思うときがあるかもしれません。でもこうした巡り合わせは、今後の人生にも起こりうること。センバツ出場の栄冠を、努力によって勝ち得たという誇りを大切に、これからの人生を切り拓いて行って欲しいと願います。
 イタリアでは、休校になったミラノの学校の校長が生徒に向けた手紙の内容が素晴らしいと話題になりました。一部を紹介します。「親愛なる生徒たち。規則的な学校生活は市民の秩序を学ぶためにも必要です。…冷静さを保ち、集団パニックに巻き込まれないでください。基本的な対策を怠らず日常生活を続けてください。この機会を利用して散歩をしたり、良質な本を読んでください。体調に不備がなければ家にこもっている理由はありませんが、スーパーや薬局に殺到しマスクを探しに行く理由もありません…」。物理学・地震研究の権威で随筆家でもあった寺田寅彦(1878〜1935)は、かつてこんな言葉を残しています。「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむずかしい」。悲しいことに、誹謗中傷や客観的事実ではない情報による風評被害で、多くのかたが不安を感じているといった報道もありました。まだまだ先行きが不透明な状況の中では、情報を冷静に受け止め、一つ一つ具体的に対処していくことが大切です。
 まもなく桜の開花です。にぎやかな花見もいいですが、春の風に身をゆだね、人混みに距離を置いて、一輪一輪の花を愛(め)でてみるのも一興ですね。

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