※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2022年1月7日号

新春市長コラム

市長 穂積 志(もとむ)

2022年 未来のために、行動する年に


 明けましておめでとうございます。
 今年の新年号は、昭和26年7月15日の「広報あきた」創刊以来、記念すべき2000号となりました。
 創刊後、最初の新年を迎えた昭和27年、辰(たつ)年の新年号を紐(ひも)解くと、当時の武塙(たけはな)祐吉市長は、「年の暮れと、年の始めの差は時間的には、一秒時にすぎないが、気構えに於(お)いては、天にのぼる龍の意気と、地にもぐるモグラの相違がある。きのうまで、体力的にも精神的にも、縮んでいたものまでが、年の始めには『今年こそは』と、希望に燃え胸にこみ上げる昂奮(こうふん) である」と、新たな年に臨む意気込みを記しています。
 “龍虎の戦い”というように、勢いの盛んなものとして龍と並び称される虎。活力に満ち、行動力があるさまは、一日に千里の道を進み、千里の道を帰るといわれます。寅年の今年、6代前の市長である大先輩の言葉にも刺激を受け、未来のために、力強く、行動する年にしたいと、私なりに決意を新たにしています。
 みなさまにとって、明るく、希望にあふれる一年になることを心からお祈り申し上げます。

キッチンカーのある風景

 昨年、市役所前の市民の広場に移動販売車、いわゆるキッチンカーが登場しました。コロナ禍の逆境を乗り越えようとする飲食店のかたがたを、少しでも後押ししたいという思いと、市の新たな財源確保の方策として広場の一画を貸し出す試みで、6月から8月まで試験的に行った取り組みが好評だったため、改めて出店者を募り9月から11月にも実施したものです。

 ホットドッグにラムサンド、牛タン焼き、カレー、ナポリタン、ピザ、メロンパンなど、日替わりで登場するメニューは多彩で、ここでは紹介しきれないほどです。おしゃれで個性的なキッチンカーは眺めているだけでも楽しい気分になりました。
 よく晴れた日、仲良く手をつないだ親子が何やら相談しながら注文する微笑ましい光景。山王周辺で働く人たちが遊歩道のベンチで昼休みを過ごす姿。冷たい雨の日、雨宿りのため、ちょっと離れた市役所の屋根の下に、自然と注文の列を作るお客さん同士の気遣い。キッチンカーの一コマを通して、季節の変化とともに、人々の穏やかで何気ない日常の営みも感じられ、どんな天気の日も“良い天気だな”と思えてきます。
 平成28年4月に行った新庁舎完成記念式典のあいさつの締めくくりに、私は、「この新庁舎のもとで、本市の新しい歴史のページがスタートします。市民が気軽に集い、語らう場となり、四季折々の庁舎の姿が新たな秋田市の風景の一つとして、市民のみなさまの心に刻まれていくことを祈念します」とお話したと記憶しています。当時思い描いた理想の庁舎の姿に、少しずつ近づいているように思えて、大変うれしく感じています。

写真で振り返る2021


■3月21日にオープンした文化創造館

■3月13日に行った泉外旭川駅開業記念式典

“レトロニム”〜再命名で見える役割


 冒頭でご紹介した武塙市長の話にある、旧年と新年を分ける“一秒時”。「チクタク」と一秒をかみしめるように進むステップ秒針というタイプの時計は、時を刻むイメージを形にしてくれます。対して、文字盤の上を秒針がスーッと進むタイプは連続秒針というそうで、こちらは、絶え間なくつながる時の流れを感じさせてくれます。
 このアナログ時計。もとは単に時計と呼ばれていたものが、デジタル時計の登場によって、区別のためにアナログが付け足されました。このように、新語と区別するため、呼び名を付け直された言葉を「レトロニム」というそうです。「和服⇔洋服」「フィルムカメラ⇔デジタルカメラ」「固定電話⇔携帯電話」「ガラケー⇔スマートフォン」「リアル店舗⇔オンラインショップ」なども同じで、国際化や技術革新が理由と分かります。これらの「レトロニム」、新しいものに取って代わられたという印象を持ってしまいがちですが、改めて考えてみると、それぞれの持つ個性や価値を見直されて、私たちの生活の中でしっかりと役割を果たしていると気づきます。
 昨年の市長選挙では、公約に「デジタル市役所」の実現を掲げました。市民のみなさまの利便性向上と行政運営の効率化、コロナ禍などによる社会変容に対応していくために不可欠な取り組みです。押印廃止やデジタル化を進め、昨年10月からは住民票の写しや所得・課税証明書など、一部、申請から決済までオンラインで完結できるようになりました。
 取り組みは始まったばかりですが、将来、市役所に足を運ばなくても各種手続きが可能となり、「デジタル市役所」が浸透したとき、今の市役所は「リアル市役所」と呼ばれることになるかも知れません。そのとき、「リアル市役所」が市民のみなさまにとってどんな存在でありたいか。どんな価値を生み、どんな役割を果たすべきか。そのことに思いを巡らすことは、デジタル化を進めるもう一つの大きな意義であり、私自身も含め、職員一人一人が心に留めるべきことと思っています。

*レトロニム(retronym)=「過去」を意味する「レトロ(retro)」と、名称などを表す「onym」の合成語

公約を着実に実行

 市長4期目がスタートして、8か月が経過しました。公約には、
▼新型コロナウイルス感染症対策
▼中心市街地と外旭川地区におけるまちづくり
▼デジタル化の推進
▼さらなる産業の振興と雇用の創出
▼子どもを生み育てやすい環境づくり
▼高齢者などが活躍できるすべての人にやさしいまちの実現
▼芸術文化・スポーツ・観光によるまちづくり
▼地球温暖化対策の推進
▼安全・安心なまちづくり
▼市民協働と教育の充実
という、アフターコロナも見据えた10項目47プランを掲げました。3期12年にわたり、元気な秋田市を次世代につなぐため、さまざまな課題に真摯に取り組んできました。その成果と経験を土台に、新たな取り組みを盛り込んで設定したものです

4期目初登庁時(4月5日)

命とくらしを守り抜くために

 とりわけ、新型コロナウイルス感染症対策については、「命とくらしを守り抜く」という強い決意のもと、保健所はもとより、全庁を挙げて最優先で取り組んでいます。ワクチン接種は、高齢者、保育士、教職員、妊婦、受験生など、優先度も考慮しながら進め、昨年11月に希望者への2回目の接種をおおむね終え、3回目の接種が円滑に実施できる体制を整えております。
 ワクチン以外にも、市立の小・中・高等学校や保育所などに抗原検査キットを配布したり、市役所内に開設した民間の「新型コロナPCR検査センター」で無症状者への検査を実施するなど、感染状況に応じ、安全・安心につながる対策を積極的に講じてきました。
 さらに、事業者や家計への支援として、売上が減少した飲食業者への支援金支給、子育て世帯などへの商品券配布、プレミアム付き商品券発行、離職者などへの資格取得支援、県が創設した当初3年間を実質無利子とする融資制度に関し4年目以降の利子を負担する無利子融資制度など、本市独自の支援策に取り組んできており、今後も効果的な対策を講じてまいります。

ワクチン接種会場を視察する市長(中央)

写真で振り返る2021


■6月8日に市役所で行われた、東京2020オリンピックの聖火リレー点灯式

■4月、まちなか観光案内所が大町にオープン!まちあるき観光の充実にも

着実に前進〜中心市街地のまちづくり

 「まちの顔」である中心市街地の活性化は、平成27年の県・市・JR東日本の三者による連携協定締結や、平成29年の第2期中心市街地活性化基本計画の策定を契機に、官民の取り組みが活発化し、地価の上昇にもつながるなど、成果が具体的な形で現れてきています。
 柔らかな肌触りの芝生やベンチで、家族や学生が思い思いに過ごす秋田駅西口駅前広場。新たな表現や創作の場に、子どもから大人まで、自由に立ち寄り楽しむ文化創造館。どちらも、開放的な空間に、穏やかで心地よい時間が流れ、今後も市民のみなさんの魅力的な使いかたの可能性が広がります。
 今年6月には「あきた芸術劇場ミルハス」も開館予定です。一歩一歩、着実に進化する中心市街地へ、ぜひ足を運んでいただきたいと思います。

建設中のあきた芸術劇場

多彩な催しが楽しめる文化創造館

秋田駅西口のイルミネーション

若者が未来を思い描けるように〜外旭川地区のまちづくり

 中心市街地のさらなる活性化とともに、若者が未来を思い描けるまちづくりの視点から、新たな政策展開が求められます。
 コンパクトシティというまちづくりの方向性を基本としつつ、今後のモデルとして、外旭川地区において、民間の知見やノウハウなどをいかし、AIやICTなどの先端技術を活用したまちづくりとあわせ、卸売市場の再整備や新スタジアム整備を進めたいと考えています。年度内に公募で事業パートナーを選定し、新年度に基本構想を策定したいと考えており、市民のみなさまや市議会のご理解を得ながら、検討を進めてまいります。

 今後も、「ともにつくり ともに生きる 人・まち・くらし」の基本理念のもと、公約の実現を図り、若者が将来に希望を持ち、進みたい未来や生き方を選択できる社会の実現に向け、全力で取り組んでまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

写真で振り返る2021


■11月22日、中国・南寧(なんねい)市との友好都市提携協定調印式をオンライン通信で行いました

■10月17日に開催された広小路バザール。感染症対策も万全に、会場はにぎわいました!


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