※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2023年7月7日号

市長コラム

市長 穂積 志(もとむ)

鹿嶋祭と伝統文化


4年ぶりに開催された鹿嶋祭にて(6月11日)

 例年、春から夏への季節の変わり目を予感させるさわやかな風が吹き、太陽の光が輝きを増してくると「新屋の鹿嶋祭」のことを考えます。こどもの頃から慣れ親しんだ行事ほど、四季の移ろいやそのときどきの季節感と強く結びついているように思います。先日は、新型コロナの関係で4年ぶりの開催でしたが、活気にあふれた祭りを私も十分に楽しみました。
 鹿嶋祭は、本市の無形民俗文化財で、地域の20の町内会と栗田支援学校が参加し、太鼓や笛の音を響かせながら、無病息災や家内安全などの願いを込めた山車「鹿嶋船」を出して町内を練り歩きます。船には各家々の厄災を移した武者人形や手作りの鹿嶋人形、アニメキャラクターの人形などが載せられています。
 今年は秋田公立美術大学の学生も参加し、アニメのキャラクターも随分にぎやかなものとなりました。私の世代にはアンパンマンやドラえもんなら馴染みがありますが、「ちいかわ」とか「カービィ」など初めて目にするものも多く、時代の移り変わりを感じました。
 私の記憶では、小学校高学年になると初めて家紋の入った幟(のぼり)を持つことができ、菓子袋をもらったり笹巻きや柏餅を食べて、ちょっとだけ大人に近づいたような気持ちになったものです。
 地域の交流の場であり、こどもたちの健やかな成長を願う祭りですが、ここにも少子化の波は押し寄せています。私が育った昭和30〜40年代は、人口増加と市街地の拡大の時代でしたが、今は逆に少子化などにより小中学校の統廃合を余儀なくされています。私の母校である日新小学校の児童数を調べてみると、私が6年生だった昭和44年度は1千627人、令和5年度は767人でほぼ半減。市内全域でみても2万512人から1万2千753人と約4割減となっています。
 鹿嶋祭に限らず、今は伝統文化を絶やすまいという地域の人たちの熱意で地域のお祭りなどが脈々と継承されていますが、今後は私たち世代の責務として、こどもたちに伝え後継者を育てるために、地域・行政・学校・企業・文化団体などの連携をさらに強める必要があると思います。風土や歴史が染みこんだ地域に伝わる文化を、こどもたちから遠くのものにしてはいけないと痛感しています。
 つい先頃は、受け継がれてきた東北を代表する祭りが勢揃いする東北絆まつりが青森市で開催されました。東日本大震災で犠牲になったかたの鎮魂と震災からの復興を願った「六魂祭」と合わせちょうど2巡したことになり、改めて時の流れを実感しました。
 これから土崎港曳山まつりや竿燈まつり、雄物川花火など本格的な夏祭りのシーズンを迎えますが、今年はこれまでの歴史を想いつつ存分に楽しんでいただきたいと思います。

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