彫刻の森


最終更新 2011.08.18


「彫刻の森」概要

「彫刻の森」は、大森山公園内「グリーン広場」北側に位置し、アヤメ園など自然に恵まれた環境の中にあります。
秋田県彫刻連盟の先生方と秋田市が計画を進め、制作者、諸団体などの協力により、昭和51年5月5日の「こどもの日」にオープンしました。
現在、「彫刻の森」には、昭和51〜59年の間に設置された具像、抽像の彫刻が20点あります。
屋内と違い、木々や空を背景に作品鑑賞ができ、天候や季節によっても作品の表情が変化するため、何回、足を運んでも楽しめます。

「彫刻の森」 作品一覧

No 題 名 制作者名 所 属 設置年度
草の根 阿部米蔵 新制作 S51
大地 三浦金之進 日彫展 S51
風の女 峰田敏郎 国画会会員 S53
渡辺俊蔵 二紀会 S51
かけら 西村広恵 二紀会 S51
渡辺昭次 二紀会 S51
鎌田俊夫 二紀会 S52
精華 若狭三郎 日彫展 S51
伊藤絋美 白日会 S51
10 親と子 石塚暢 二紀会 S51
11 追想 千葉精一   S52
12 ひなた 秋田県立秋田北高等学校   S53
13 かぜ 秋田市立南中学校   S53
14 陽と鳥 秋田大学教育学部附属養護学校   S52
15 なかよし 秋田市立金足西小学校   S53
16 青年像 秋田県立秋田工業高等学校   S52
17 躍動 秋田市立外旭川中学校   S52
18 姉弟 秋田市立美術工芸専門学校   S52
19 ひとり学ぶ 睦羊会(制作者:阿部 米蔵)   S53
20 睦羊の祖 睦羊会(制作者:阿部 米蔵)   S59

「彫刻の森」位置図

作品位置図



「彫刻の森」全景

(写真)彫刻1

作品写真

1:「草の根」
阿部米蔵
2:「大地」
三浦金之進
3:「風の女」
峰田敏郎
4:「標」
渡辺俊蔵
5:「かけら」
西村広恵
6:「樹」
渡辺昭次
7:「母」
鎌田俊夫
8:「精華」
若狭三郎
9:「海」
伊藤絋美
10:「親と子」
石塚暢
11:「追想」
千葉精一
12:「ひなた」
秋田県立秋田北高等学校
13:「かぜ」
秋田市立南中学校
14:「陽と鳥」
秋田大学教育学部附属養護学校
15:「なかよし」
秋田市立金足西小学校
16:「青年像」
秋田県立秋田工業高等学校
17:「躍動」
秋田市立外旭川中学校
18:「姉弟」
秋田市立美術工芸専門学校
19:「ひとり学ぶ」
睦羊会(制作者:阿部米蔵)
20:「睦羊の祖」
睦羊会(制作者:阿部米蔵)


制作者のコメント〜「彫刻の森鑑賞のしおり」より〜

1−「草の根」−阿部米蔵

大森山展望台に「山と海の群像」を作ってから数年後、動物園の前に「トーテンポール」を二つ作り、更に動物園の中心部にある小さい池の中に「手作りの横笛を吹く少年」が動物や鳥と一緒に、はだしでかけている彫刻を作りました。
そして今、彫刻の森に「草の根」という石の彫刻を作りました。
少年少女諸君には少しむずかしい理解の困難なところもあるかも知れませんが、草は陽春にあって芽をふき出し、根は大地から水分と養分を吸いあげてゆく活動をはじめます。
そして青々とした緑一面の草地を作りますが、必要以上にのびると、作業員の方々に適当にきりとられてしまいます。
なんと無惨なことでしょう。
のびるだけのばしてやりたいような気でいっぱいであります。
私の作った彫刻の前には「あやめ園」があって6月頃は大変きれいです。
周囲の彫刻と調和して大変よい雰囲気を作ってみる人々に好感を与えています。
草はただ、花の咲くこともなく、彫刻と「あやめ」の花の間を結んで、それはまた、「あやめ」や彫刻と同じ調和の美しさを発揮しています。
「あやめ」の美しさは季節が去れば、消えてしまいます。
私の作った彫刻は季節を超えて、いつも美しく森に座っています。
草もあやめも季節が去れば皆、美しかった花も散り、茎も枯れて、ただ一つ根だけが残っていきます。
草や「あやめの根」は、すべてをはらい落とした球根と同じ意味をもっています。
根や球根は春という条件にあえば芽を出し花をさかせます。
また季節が去れば花や、茎の美しさは根に帰っていくのです。
根は、だから草やあやめの中心といってもよいでしょう。
雑草や「あやめ」のそんなところが私は大好きであります。
こんな考え方や感じ方に基づいて永遠的に散らない雑草やあやめの根を主題として御影石で白と黒のコントラストのあざやかな構成によってまとめました。
少年少女諸君、彫刻とはこんなポイントを表現するものであります。

2−「大地」−三浦金之進

この作品は、人体の美しさを表現した具象作品です。
皆さんは、その美しさが比較的よくわかると思います。
人体を表現することは、彫刻では、非常にむずかしいとされていますが、わたくしは、何年来とこれに取り組んでいます。
子どもは子どもなりに、大人は大人なりに、よくその美しさを鑑賞してください。
その人、その人によって受けとめ方がちがうのは当然です。
人間はそれぞれ感覚がちがいますので、みなさんは、どう感じてもよいと思いますし、またそうでなければ、ならないのではないでしょうか。
ただ人体は、首、手、胴、足などの比例のこととか、重量感とか、動きとか、技術的にも非常にむずかしいものですが、こういうものに積極的にとりくむということは、彫刻を勉強するものにとって非常に大切なことだと思っています。

4−「標」−渡辺俊蔵

この作品は次のように作られております。
まず、考えがまとまりますと粘土で形を作り、形ができあがると、石膏で形を残すように型を作ります。
そしてその型を利用して、セメントを流しこんでもとの粘土と同じ形に作りかえて、作品としてまとめたものです。
できあがりの作品は材質としては、セメントによる作品です。
標題の「標」はしるし、とかしるべ、という意味ですが、これは大森山に彫刻の森をつくろうと決まったとき、その彫刻の森のしるしを作ろうと思ったのです。
思いつきはトーテンポール、これは土人達の部落のはずれに立てられ魔よけなどの意味があるようですが、私の作品は魔よけではなく、そこに人々がいることを示すものです。
白い大理石に丸い穴をあけて人間とも怪獣の目のようにも見える形をつくりました。
一寸口みたいなところもつけてあります。三角形全体が顔とも体全体ともみえるようにと思って作っています。
下の台座は寒風山の石で2トン近くありますが上の白い大理石の像がどっしりしてみえるように、と寒風山の採石場まで行ってあの石を探し出して運んで貰いました。
殆んど手をかけない、即ち彫刻はしていない台座に徹底的に穴をあけ、みがきをかけた大理石の像とを組合わせてみたのです。どっしりと重い寒風山の石の台座と真白なスッキリした逆三角形の像の対比効果を考えに入れ、石がそれ自体で持っている美しさをも出してみたいと思ったのです。
白い像の部分と自然の形のままの台座の高さ、全体の大きさとのバランスも考えに入れて組み合せましたがどの方向からも見られるように、ということを特に注意しました。
この作品は彫刻の森のはずれにでも立てたいと思ったのですが、みんなで話し合った結果、現在の場所になりました。
緑の広場の方からもアヤメ園のどこからも見ることが出来るので、彫刻のあるところのしるしになっていると思います。
大きな石は運搬や費用(値段)の点で無理かも知れませんが川原の玉石など面白い形の石に一寸彫刻してみませんか。
何万年も自然の石のままだった石があなたの手で現代に呼び覚まされたような喜びを感ずることでしょう。きっと。

5−「かけら」−西村広恵

海辺や、そこらに落ちている、小石、貝殻の形からヒントを得てつくった作品です。
気にもとめず、見過ごしてしまうようなちっぽけな物体のなかにある形の組み立ての美しさを表現したいと思いました。
内にある生命を、波の力から守り、身が大きくなれば、それに合わせて成長し、生命がなくなってもそのあとの空間が抜殻となって、見る人になにかを想わせる。そんな不思議さを木を材料にして表現したいと思いました。
孔や空間をボリウムと考え貝殻の形を基に、一本の丸太の形の制約のなかで、凹面の形を中心に構成しました。ですから人体の形を基にする具象彫刻とは違い、いろいろな要素を組み合わせて構成した抽象彫刻です。

6−「樹」−渡辺昭次

彫刻作品にも絵と同じように、すぐわかる作品となかなかわからない作品があります。
例えば、これは魚だとか、これは人物だとか、というように、具体的に作られた作品を具象作品といいます。表現が、そのままでない形の作品を抽象作品といいます。
この作品はその点からいうと、表現がそのままの形を取っておらないので抽象の作品といえます。
このような作品は題名「樹」からもわかるように、大自然の大きな木からヒントをえて作った作品です。
これは木の育つ形を表現したもので巨大な大木の全体の感じを作品の中に表現したものです。
そして人間社会の様々なことがらを合わせて考え、作品としてまとめてあります。
人間のたくましい力、人間ののびゆく姿や強さをふくめた感じを表現しています。
抽象の作品は、新しい時代の表現方法です。
抽象形の作品は、具象の作品と深いつながりがあります。
また抽象作品の表現には、その人の考え方が大切なものになります。
したがって表現には自由さがあり創造の楽しさがいっぱい含まれております。

8−「精華」−若狭三郎

華を人物に表現した作品ですが、制作態度といたしまして純粋精神を完全に表現されない限りその作品は生命を発生いたしません。
要するに立体を通じてこの純粋精神すなわち神を表現することですが、この作品も仏像を主体とし、仏心的精神を近代女性の優れた麗しい純粋な心と美の表現です。
なお、制作感覚は彫刻は1個のかたまりであり、また、立体的感覚のもとに線と面を考え、光と影の調和をとり、動きがあり、ある物体より物体へ移る動作を考え、写実的表現することです。
以上制作の考えをまとめてみました。

10−「親と子」−石塚暢

母親が子どもを胸にしっかりと抱いている姿を表現したものです。この母親と子どもは、人間の母と子ですが動物の親と子と見てもいいのです。
人間や動物が自然という大地の上で太陽の恵みや、水とか木などの多くの植物から生命を得ているわけですね。
わたしは、自然のその大きさや豊かさを強く感じるわけです。
この大きく、豊かで、時には荒々しい一面をもみせる大地が母です。母なる大地なのです。
そして、わたしたち人間や、すべての動物が子どもというわけです。この関係を“単純な形”に置き換えたのが、この「親と子」です。
作品の中央にある丸いかたちが、これからたくましく成長していく子どもです。そして、この子どものまわりが母親なのです。
顔や、歯のようなかたちが見えるでしょう。まだ母親と結びついているような、おへその大きなものが左側にたてに見えます。
母さんの大きなひざの部分もどこかに見えるかも知れません。


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