千秋公園内のさくらの植生調査


最終更新 2009.03.09


 千秋公園は「さくらの名所百選」(平成2年:日本さくらの会)にも選ばれており、観桜会の時期には30万人をこえる人々が市内はもとより、県内外から訪れています。
 園内桜(現在771本)の約9割がソメイヨシノですが、この大半は明治25年に、後の秋田市長となる羽生氏熟ら「有終会」の寄付により植えられたものと伝えられており、推定される樹齢は116歳と、一般的なソメイヨシノの寿命と言われる70〜80年歳を大きく上回っています。
 このため市では、歴史のある園内の桜を次世代に伝えようと、平成12年度から桜の根回りの土壌改良を施すなど、樹勢回復作業を計画的に進めてきました。
 しかし公園利用者の安全を確保するため、空洞化や病害に侵された樹枝については、強剪定を余儀なくされており、最近では、園内の桜の花つきが衰えているとの指摘も寄せられるようになっています。
 千秋公園活性化協議会が本年3月に開催した千秋公園シンポジウムでは、講師の涌井教授から、千秋公園を題材に「風致施業」(今の樹木を生かし続けるのではなく積極的に更新すべき)という造園学の概念が紹介され話題となりました。
 千秋公園の桜は、もはや現状を維持していくだけでは、市民の貴重な財産を次世代に遺していくことが困難な状況となっており、樹木の更新を視野に入れた将来展望が必要な時期を迎えています。
 秋田市では「千秋公園さくらファンド」を創設し、千秋公園の桜に対する寄附を受け付けております。
いただいた寄附は、その全額を「千秋公園桜の更新計画(仮称)」による、千秋公園の桜の植え替えや保存のために使います。

     さくらの現状をお知らせする画像

目  次
1 千秋公園内の桜の植生調査の概要
2.調査結果のとりまとめ
3.千秋公園の桜の保存や更新のあり方の検討

1 千秋公園内の桜の植生調査の概要

調査方法

 ソメイヨシノなど一般的な桜は、花芽の数や葉の状態、枝張りの状態や幹周などを観察することで、大方の樹勢診断ができると言われています。
 千秋公園の桜につきましてもそのような点に着目し、春から秋までの季節毎の様子を観察記録し、一年を通した観察結果を総合的にとりまとめた上で、個々の樹木の状態を診断していく予定です。

一般的な樹勢診断表

時期 調査項目 調査内容 診断目安
@ 1個の花芽から花の数がいくつ出るか。 現地で花芽の数を数える。
2〜3個 : 衰退気味
4〜5個 : 良い
6個以上 : 樹勢旺盛
A 花の散り方はどうか。 葉桜の時期に咲き残っている樹はないか調べる。 根の異常や害虫の可能性がある。
芽吹き、枝 枝の伸び方を見る。 調査枝を1本選定し、花が終わった後の枝の伸びを計測する。 7月を過ぎても伸長しないようであれば、樹勢は良好ではない。
葉の状態 @ 葉の色 葉桜の頃と梅雨の時期に、葉の色を写真撮影し、明るい緑から濃い緑に変化しているか確認する。 淡い緑の状態が真夏でも続いていると、肥料不足や根の病気などの可能性がある。
A 葉の大きさ 下枝と梢で葉の大きさを観察する。 梢のほうの葉がだんだん小さくなる場合、根に異常がある可能性がある。
B 葉の厚み 手で触ってみる。 健康な状態では、厚ぼったく、薄い状態では樹勢衰退の可能性がある。
C 葉の量 樹の下から見上げて、空が透けて見えるか確認する。 葉の数が多い方がよい。葉の付け根の部分に来年の花芽を形成する。
葉の状態 @ 落葉のしかた 落葉終了時期に、まだ落葉していない樹はないか調査する。 落葉しない枝は枯れているか、近いうちに枯れる前兆である。
A 枝張り・幹周 現地で計測する。   


このことから、季節毎の現地調査ではおもに以下の視点による調査を実施します。

花芽の数 葉の色や大きさ 根廻りの植生基盤
花芽の数画像 葉の色や大きさの比較画像 根回り植生状況画像

調査対象

 現在、千秋公園内にある771本全ての桜を対象として調査を実施します。

【園内の桜の内訳】

樹種 平成20年度調査
ソメイヨシノ 684 本
ヤマザクラ 30 本
八重桜 25 本
フゲンゾウ 14 本
そのほか 18 本
合計 771 本

      ( 平成15年度調査 832本)


【園内の桜の配置図】

 大きな画像で見たい方は下の配置図をクリックして下さい。

さくらの配置状況地図       

調査時期

 現地調査は、本年度季節毎に3回とし、各回のおもな調査項目として、以下のような内容を予定しています。

 ◇第1回 ・ 開花状況(4月中下旬) → 花芽の密度・散り際の状態
 ◇第2回 ・ 葉の状況(7月中下旬) → 葉の状態・枝の伸び方
 ◇第3回 ・ 落葉状況(11月中下旬) → 落葉の状況・幹周・枝張り

2.調査結果のとりまとめ

 全体の調査結果のとりまとめと樹勢診断につきましては、樹木毎に通年の現地調査結果をとりまとめ、専門家の方々の意見等を伺いながら、個々の樹木の状態を診断していく予定です。その診断結果から、園内の場所毎による日照条件や土壌の状態などとの因果関係などを計測します。 

平成20年度 千秋公園内サクラ植生調査結果をとりまとめました。(1.45MB)

3.千秋公園の桜の保存や更新のあり方の検討

 市では、本市中心市街地の最大の地域資源である千秋公園の歴史文化や自然環境を保全しつつ、「さくらの名所」として次の世代に引き継ぐため、この植生調査の結果を基に、今後は、樹木の専門家や関係団体の方々、また市民の皆様からもご意見をお聞きしながら、千秋公園の桜の保存や更新のあり方などをとりまとめた「(仮称)千秋公園桜の更新計画」の策定を検討しています。
 この計画により、千秋公園の桜の実態、次の世代に遺していくために必要な作業などについても、広く市民の皆様にも感心を持っていただくことができ、平成12年度から継続してきた桜の樹勢回復作業のより効率的な実施、また、やがて必要となる桜の世代交代などへもご理解、ご協力をいただけるものと考えます。

秋田市建設部公園課
企画建設担当・緑化推進担当 TEL 018-888-5753 FAX 018-888-5754
E-mail ro-urpc@city.akita.akita.jp
住所 〒010-8560
秋田市山王一丁目1番1号
(本庁舎4F)

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