6サービスの現状及び評価・整備の方向


最終更新 1998.03.20


   1 困ったときは手助けしてほしい
   (1)在宅介護支援センター運営事業
   (2)在宅寝たきり者歯科健診事業
   (3)配食サービス
   (4)日常生活用具給付・貸与事業
   (5)緊急通報システム
   (6)在宅高齢者家族介護慰労金支給事業
   (7)情報提供
   (8)権利擁護
   (9)家族介護用品支給事業


1 在宅サービスの充実

(1)在宅介護支援センター事業

現状及び評価 整備の方向

【事業の概要】

1.事業の概要

 在宅介護支援センター運営事業は、24時間体制で在宅の要援護高齢者または要援護となるおそれとなる高齢者やその介護者からの相談を受け、関係機関やサービス実施機関などとの連絡調整を図りながら、それぞれのニーズに応じた各種の保健・福祉サービスを総合的に提供し、高齢者福祉の向上を図ることを目的としています。

2.在宅介護支援センターの機能強化について

 ○ 要援護高齢者に対する介護保険サービスの利用調整(ケアマネジメント)
 ○ 在宅介護についての総合的な相談受付
 ○ 地域の要援護高齢者または要援護となるおそれのある高齢者やその家族  の状況などの実態の把握、介護ニーズの評価
 ○ 保健・福祉サービスの利用申請手続の受付、代行
 ○ 各種の保健・福祉サービスについての情報提供およびその利用について   の啓発

2.主な事業内容

 ○ 在宅介護支援センターが地域福祉を支える拠点としての役割を果たすことができるように、介護保険サービスの利用調整をはじめ、介護保険の対象外となる保健・福祉サービスの調整についても継続していきます。

3.設置状況について

 ○ 「地域型」在宅介護支援センター
  24時間を通じて緊急の相談に適切に助言するとともに、関係機関などへの   連絡調整を図る体制とするため、施設に併設するタイプの「地域型」を各地区  に設置しています。
【「地域型」在宅介護支援センターの設置状況】
区 分 センター名 併設施設 連携施設 設置年度
中央地区 秋田市八橋 デイサービス
センター
特別養護
老人ホーム
5年度
秋田市川口 デイサービス
センター
特別養護
老人ホーム
9年度
南通 病院 訪問看護ステーション 10年度
東部地区 大平荘 特別養護
老人ホーム
特別養護
老人ホーム
3年度
光峰苑 特別養護
老人ホーム
特別養護
老人ホーム
6年度
魁聖園 特別養護
老人ホーム
特別養護
老人ホーム
11年度
西部地区 松寿会 特別養護
老人ホーム
特別養護
老人ホーム
7年度
新成園 特別養護
老人ホーム
特別養護
老人ホーム
10年度
南部地区 南寿園 特別養護
老人ホーム
特別養護
老人ホーム
6年度
秋田けやき会 特別養護
老人ホーム
特別養護
老人ホーム
9年度
北部地区 金寿園 特別養護
老人ホーム
特別養護
老人ホーム
5年度
ニコニコ苑 老人保健施設 老人保健施設 6年度
千秋苑 老人保健施設 老人保健施設 6年度
三楽園 老人保健施設 老人保健施設 7年度
土崎 老人保健施設 老人保健施設 8年度
幸楽園 特別養護
老人ホーム
特別養護
老人ホーム
9年度
○「基幹型」在宅介護支援センター
 平成12年1月から、八橋ふれあいセンター(老人福祉センター)内に「基幹型」である秋田市中央在宅介護支援センターを設置し、各支援センター間の情報交換などの連携を円滑に行っています。

3.設置状況について

○ 国においては、中学校地区を標準として、地域の実情に応じた担当区  域を定めることとしており、本市においては16の在宅介護支援センターの 担当区域を5ブロックに分けたブロック制を採っています。
  施設整備については、今後の高齢者の増加に合わせ検討していきます。
○ 各支援センター間における保健、医療または福祉に関する専門的な情報の交換が円滑に行われるよう連絡体制を強化していきます。
○ 「地域型」が行う高齢者の実態把握に基づく台帳を集約、データ管理をし、有効活用していきます。
○ 保健医療福祉等の現場職員で構成する「地域ケア会議」を開催し、地域の高齢者が適切なサービスを受けられるように総合調整を

4.在宅介護支援センターの連携体制

4.在宅介護支援センターの連絡体制

○ 定期的な連絡会議の開催やFAX、インターネットを用いた情報交換などネットワークの強化を図る方策を検討し、その実現を図って行きます。

5.在宅介護支援センターの機能強化について

 介護保険サービスの利用調整(ケアマネジメント)活動が全市域を対象とすることから、従来の民生委員の地区割りと不整合が生じるため、担当地区を5つの地域に分けたブロック制としています。
(1)相談援助機能
○ 介護保険制度のスタートによって、指定居宅介護支援事業者として、ケアマネージャー(介護支援専門員)を配置し、ケアプラン(介護サービス計画)の作成を担当しています。
○ 保健、福祉の専門的な観点から、制度・サービスについての説明、情報提供、介護方法の指導あるいは各種サービスの調整などを主体に、積極的に訪問活動もしています。
○ 複数のサービスが必要な場合や、処遇が複雑な要援護高齢者については、在宅介護支援センターの職員や訪問指導の保健婦が中心となり、必要に応じてホームヘルパー、デイサービスセンターの職員、民生委員、訪問看護ステーションの看護婦や主治医などを交えて、ケースカンファレンス(サービス担当者会議)を行っています。
○ 介護機器の展示・紹介をしているほか、必要に応じて介護機器を無償で貸し出しして、実際に利用してもらい、そのうえで必要な介護機器の給付を受けられるように便宜を図っています。
(2)地域把握機能
○ 地域に潜在しているニーズを早期に把握することが重要となりますが、在宅介護センターが現在のところ生活圏域ごとに設置されていないので、すべての高齢者の情報については、十分に把握されているとはいえない状況です。
6 相談協力員について
○ 民生委員や地域の福祉関係者との連携はあるものの、いわゆる「相談協力員」と各支援センターにおいて連携体制の構築や組織的な活動は十分に行われていないのが現状です。
7 PRについて
○ 各在宅介護支援センターではリーフレットなどを作成し、担当地区の住民に配布しているほか、一部の各在宅介護支援センターでは、「支援センターだより」なども発行しています。

5.在宅介護支援センターの機能強化について

 在宅介護支援センターの機能をこれまで以上のに発揮できるようにするために、生活圏域ごとにするために、生活圏域ごとに整備を推進し、地域の民生

(2)在宅寝たきり者歯科健診事業

−保健・医療・福祉の連携方策−

現状及び評価 整備の方向
〔システムの概要〕
 何らかのサービス提供が必要な要介護の高齢者に対して、適切な時期に適切なサービスを提供することは、寝たきりになることを予防し、あるいは痴呆の状況が進行することをおさえるために重要である。
 そのために、早期にニーズを把握し、高齢者およびその家族にサービス内容等を理解してもらいながら、必要かつ適切なサービスを提供することと、高齢者を取り巻く各施設やサービス提供機関が必要な情報を共有するためのシステムが「ヒューマンケア・ネットワークシステム」である。
 ヒューマンケア・ネットワークシステムを早期に構築し、保健・医療・福祉関係 者の連携を図るとともに、要介護高齢者に対して、適切なサービスを総合的に提供 していく。
 その際の、サービス提供の流れは、以下のとおりである。

        サービス提供の流れ
            ↓
         ニーズの発見
            ↓
   ┌─→ サービス調整担当者への連絡
   │        ↓
 5日以内に   共通台帳の作成
 対応         ↓
   │       家庭訪問  ←──────────┐
   │       実態の把握            |
   │        ↓               |
   └→サービスの調整・ケアプランの作成       │
            ↓               │
         共通申請書の記入 (←再調整時は不用)│※
            ↓               │再
       サービス提供機関への連絡         │調
        その他地域資源の活用          │整
            ↓               │が
         サービス決定             │必
            ↓               │要
        連絡ノートの設置(←再調整時は不用)  │な
          サービス提供            │場
            ↓               │合
         定期的な状況報告           │
          継続的フォロー ──────────┘

1 ニーズの発見

 高齢者やその家族が、日常生活に大変さを感じる場面が増えてきているが、どんなサービスがあり、どのような手続きが必要かわからない世帯が少なくない。
 保健福祉サービス利用者実態調査においても、保健婦による訪問指導に期待するものとして、「どのようなサービスがあるのか、利用方法を教えてほしい」「保健・医療・福祉の各種サービスが利用しやすいように便宜を図ってほしい」などの要望が、「介護をする人の健康に関する相談にのってほしい」「看護、介護の仕方などを教えてほしい」などの要望よりも多くなっている。
 そのため、高齢者やその家族からの相談はもちろん、民生・児童委員など地域において高齢者と身近に接する人からそれらのニーズを在宅介護支援センターや市に情報として提供するための体制が求められている。
 また、医療機関からの情報の提供については、市医師会の在宅老人医療ネットワークシステムを通じて行われているが、件数が少なく、また医療機関によってシステムの活用にバラツキもみられる。要介護高齢者をできるだけ早期に発見し、そのニーズを正確に把握し、適切なサービスを提供するためには、在宅老人医療ネットワークシステムの活用が十分行われることが必要である。

1 ニーズの発見

 要援護高齢者とその家族にとっての身近な相談窓口として、在宅介護支援センターの周知を図っていく。また、必要な情報の提供やサービスの調整などがきめ細かく実施できるように、生活圏域として在宅サービスの提供圏域を設定する。「生活圏域」は、おおむね小学校区を基本とし、単一もしくは複数の地区を合わせる形で設定し、その中に在宅サービスの拠点としての在宅介護支援センターなどを整備していく。
 また、地域の民生・児童委員協議会や社会福祉協議会、町内会、地域保健推進員などと連携を図り、サービス提供が必要と思われる要援護高齢者に対して、サービス情報を提供してもらうとともに、ニーズをもつ世帯の要望や情報ができるだけ速やかに在宅介護支援センターへ伝わるような体制を築いていく。
 さらに、モデル地区を設定し、地域で要援護高齢者の見守りや安否確認などの福祉ネットワークづくりや必要に応じて通院介助や食事サービスなどの支援が実施されるよう、地域の特性に応じた自主的な活動が拡大するように支援していく。
 将来的には、全市においてそうした活動がなされるよう支援する。

2 サービスの申請

 要援護世帯からのニーズが、具体的なサービスの申請に結びつくためには、利用できるサービスの内容や申請方法等が市民に理解されていることが必要である。そのため、保健福祉サービスや相談窓口などについての広報活動と、高齢者やその家族に対し、在宅介護支援センターや訪問指導保健婦、民生・児童委員などが日常的な活動の中で、サービスについて周知を図っていくことが必要である。
 一方、本人や家族の状況等により必要なサービスもさまざまであり、サービスを利用する際に、専門的な立場からの助言が必要な場合も多い。
 そのため、市民がサービスを利用する際に、状況の変化に応じて、本人や家族と相談しながら必要なサービスが提供できるように、在宅サービス共通申請書や共通診断書、共通台帳の導入に向けて検討を進めてきた。また、市医師会などの関係団体に対しては、それらを含めたヒューマンケア・ネットワークシステムについて、説明会を開催し、実施への協力体制づくりに努めてきた。

2 サービスの申請

 高齢者がいる世帯が、サービスの内容を理解し、必要な際に早期に申請できるように、「広報あきた」や「高齢者のための暮らしのしおり」などを活用した広報活動をさらに徹底する。また、在宅介護支援センターや、市への相談等を通じてサービスの周知を図っていく。
 また、在宅サービスの申請手続きを簡素化するとともに、関係機関において情報を共有することにより、要援護高齢者に適切な時期に適切なサービスを提供することができるように在宅サービス共通申請書および共通台帳を導入する。また、共通申請書をどこで受け付けしても必要なサービスを提供できるよう、市と在宅介護支援センターとの連携体制を整備する。

3 サービスの調整

 市では、けやきのまちのしあわせプラン策定以降、訪問指導保健婦と在宅介護支援センター職員が連携し、サービス調整役として、高齢者とその家族に対して情報の提供や申請の代行などを行っている。
 また、複数のサービスを必要とする場合には、訪問指導保健婦および在宅介護支援センター職員が中心となり、デイサービスセンターなどのサービス提供施設の職員やホームヘルパー、民生・児童委員、主治医なども交えて、サービスの調整を行っている。
 さらに、在宅介護支援センターの担当地区を、地区民生・児童委員協議会の地区割りにあわせて設定し、地域の民生・児童委員と連携を図りながら活動できる体制としている。
 しかし、在宅介護支援センターによっては、担当地区が広範にわたるため、新規ケースの対応に追われ、定期的な状況確認などができないところもある。また、地域住民や民生・児童委員との連携体制が十分でない地区もあり、より緊密な連携体制づくりが求められている。

3 サービスの調整

 今後も、複数のサービス利用希望者については、訪問指導保健婦と在宅介護支援センター職員が中心となり、実務者レベルのケースフォロー会議を随時開催して、サービスの調整やケアプランの作成を行う。

4 関係機関との連携体制

 現在、訪問看護や訪問指導、ホームヘルプサービスなど複数の在宅サービスを利用している世帯には必要に応じて連絡ノートを設置し、訪問指導保健婦や訪問看護ステーション職員、主治医、ホームヘルパーなどが申し送りや情報交換等に利用している。しかし、設置者が違うために様式も一定ではない。
 また、平成6年度に、秋田市老人保健施設連絡会および秋田市訪問看護ステーション連絡会を設置し、施設相互の情報交換や意見交換を図る場として活用がなされている。今後、連携をより深めるためには、高齢者の保健医療・福祉にかかわる施設や各団体の代表者等による協議の場が必要である。

4 関係機関との連携体制

 在宅サービス提供者間の申し送りや情報交換等のため、統一様式の連絡ノートを要介護高齢者のいる世帯に設置する。
 また、今後も引き続き、施設ごとの連絡会等を開催し、意見交換等を進める。さらに、制度や連携のあり方等を検討する場として、平成9年度の中核市移行に伴い設置される市社会福祉審議会の専門分科会を新たな協議の場としていく。

(3)配食サービス

現状及び評価 整備の方向
※これまでは、デイサービスの訪問事業として行ってきましたが、平成12年度より、市の「介護予防・生活支援事業」として行っています。  介護保険制度とは別に介護予防・生活支援事業(6−V−2(2)・・・274ページ参照)による「高齢者配食サービス事業」を実施しています。

1.事業の概要

  老人デイサービス事業の訪問事業として7施設において配食サービスを実施してきました。


(4)日常生活用具給付・貸与事業

現状及び評価 整備の方向
※ 本制度は、平成12年度より、これまでの給付種目のうち、電磁調理器、火災報知器、自動消火器を除き、介護保険制度へ移行しています。

1.事業の概要

 特殊寝台などの日常生活用具を給付または貸し出しして、高齢者の日常生活の便宜を図っています。
【給付種目】
 ○ 平成11年度までの

2.実施状況

年度
利用世帯数 家事援助 143 188 267 408
身体介護 93 119 147 243
ヘルパー数 社協 一般基準 33 33 33 33
市民参加型 70 92
特養 一般基準 14 15 17 22
委託基準 43 55 65 43
老健 一般基準
委託基準
常勤換算数 62.8 67.8 80.0
委託先数(法人数) 10 11 11
チーム数 社協
特養等
在宅寝たきり高齢者数 36 412 469 533
ひとり暮らし高齢者数 3,146 3,231 3,421 3,577
  •  利用世帯は年々増加しており、特に家事援助中心の利用世帯の伸びが身体介護中心の利用世帯数の伸びに比べやや目立っている。
  •  寝たきり高齢者数と身体介護を中心としたヘルパー利用世帯数にひらきがあり、本当に必要な人に必要なサービス・時間を提供しているかの分析が必要である。
  •  保健福祉サービス利用者実態調査の結果から「他人の世話になりたくない」「家の中に他人を入れたくない」などの理由でサービスの受入れに対して消極的であった。

2.実施状況

 「ヒューマンケア・ネットワークシステム」の構築及び支援センターの機能強化、毎年の実態調査により、需要の的確な把握を図り、保健・医療分野も視野にいれた相互の連携の中で、必要な人に必要なサービスを提供していく。

2−1 委託先

  •  制度創設以来、秋田市社会福祉協議会及び特別養護老人ホームを経営する社会福祉法人に事業を委託し、平成6年度からは在宅介護支援センターを運営する老人保健施設に業務委託を開始した。平成8年現在、11法人12施設に業務委託を行っている。なお、在宅介護支援センターを運営する老人保健施設、病院4か所のうち2か所に業務委託をしている。
  •  平成7年度に市民参加型ホームヘルパー制度を創設し、秋田市社会福祉協議会に業務を委託している。

2−1 委託先

  •  今後整備される特別養護老人ホームや在宅介護支援センターを運営する老人保健施設等、また受託能力があると認められる民間事業者を委託先の対象とすることにより需要増に対応していく。

2−2 派遣拠点について

  •  配置の全市的なバランスについては、、現在下表のようになっており、西部・南部が手薄となっている。
    地域 中央 西
    派遣拠点 社協聖徳会 太平荘光峰苑 松濤園 南寿園 寿光園、幸楽園、金寿園 ニコニコ苑、千秋苑、海松園
    常勤ヘルパー数 33 14
    パート型ヘルパー数 10 21
    市民参加型ヘルパー数 21 20 13 18
    利用者数(平成8年8月実績) 186 70 51 46 123
  •  派遣拠点は上表のとおりであるが、秋田市社会福祉協議会が各特別養護老人ホーム等をカバーする形で全市を活動対象としている。
  •  保育所・コミセン等既存の公共施設にヘルパーステーションの設置を検討してきたが、これまでの法人による施設整備や今後の特別養護老人ホーム・公設のデイサービスセンター等の整備を考えるとヘルパーステーションの設置については急を要しない状態となっている。

2−2 派遣拠点について

  •  生活圏域を考慮しながら、今後整備される特別養護老人ホーム・公設のデイサービスセンター等にヘルパーステーションの機能を持たせることによって、全市的なバランスのとれたサービス拠点を整備していく。
  •  特別養護老人ホーム等の常勤のヘルパーの増員を図っていくほか、全市を活動範囲としている秋田市社会福祉協議会ヘルパーの増員も検討する。

3 訪問活動について

(1) 秋田市社会福祉協議会ヘルパー
  •  全市を活動範囲としている秋田市社会福祉協議会に対して、平成6年度より軽乗用車購入費補助を開始し、平成8年度までに9台を配備した。その結果、平成4年度には1年間の訪問回数がヘルパー1人当たり401.5回だったが、平成7年度には503.4回と訪問効率がアップした。
     また、市民参加型ホームヘルパーでは、直行直帰を行って効率を上げている。
     なお、軽乗用車購入を補助対象にするよう、関係機関を通じて要望している。
  •  秋田市社会福祉協議会にのみ委託していた身体障害者のためのヘルパー制度を平成6年度より地域に密着した各特別養護老人ホーム等にも委託し、訪問効率をあげている。
(2) 特別養護老人ホーム等ヘルパー
  •  ホームヘルパー派遣事業の受託法人数の増加により、より地域に密着したヘルパー活動が行えるようになった。その結果、直行直帰と同等、またはそれ以上の効率をあげている。
  •  各特別養護老人ホーム等においても、在宅介護サービスとしてのホームヘルパー派遣事業に対する理解が深まってきている。
(3) 市民の要望
  •  平成8年度より早朝・夜間の訪問時間の拡大と休日訪問の実施を行ったが、保健福祉サービス利用者実態調査の結果、24時間にわたっての利用希望があり、また、不定期の利用希望が多かった。

3 訪問活動について

  •  訪問の効率化と早朝・夜間の訪問を容易にするため、徒歩とバスに加え、軽乗用車の活用を図る。そのため軽乗用車購入補助を継続する。
  •  訪問時間の拡大に伴う利用状況を踏まえ、訪問時間の更なる拡大、24時間巡回型ホームヘルパー派遣事業の実施を検討する。また、ニーズ調査において希望の多かったホームヘルパーの不定期の訪問についても検討していく。
  •  派遣時間帯や緊急の派遣希望等、ますます多様化するニーズに対応できる勤務体制の確立・整備を働きかけていく。
4.ホームヘルパーとその処遇、資質等
 (1) 秋田市社会福祉協議会ヘルパーについて
 ○ 従来の勤務時間は8:30〜17:00であったが、平成8年度より早朝・夜間の訪問時間の拡大と休日訪問を行ったため、休日のヘルパー活動は振替休日等で、早朝夜間については勤務時間の振替等で対応している。
 (2) 特別養護老人ホーム等ヘルパーについて
 ○ 常勤のヘルパー数は平成4年度の6名から、平成8年度には25名と大幅に増員が図られた。
 ○ 特別養護老人ホーム等においても、秋田市社会福祉協議会ヘルパーと同様の勤務体制となっている。
 ○ 県保健福祉研修センター等の各種専門機関の研修・講習について、各委託先へ文書等により受講を働きかけている。
 (3) 共通する事項等
 ○ 平成5年度よりソーシャルワーカー・看護婦・保健婦等との連携のもとに、主任ホームヘルパーを中心としてサービスを提供するチーム運営方式を導入した。各チームでは、ケースについての情報交換や研修なども行っている。
 ○ 委託機関により多少サービスの内容に違いがあることから、移管ケースなどでは「前のヘルパーはやってくれたのに」といった声も聞かれる。中にはヘルパーの技術や資質に関わることもある。
4.ホームヘルパーとその処遇、資質等
 ○ 引き続き各種研修等の受講を働きかけ、資質の向上を図る。
 ○ チーム運営方式をさらに取り入れ、ケースについての情報交換・研修の場としてチーム制を核としてホームヘルプサービス事業を推進していく。

5.市民参加型ホームヘルパー

 (1) 目的
 福祉のまちづくりの主人公として、秋田市民自らが在宅福祉サービス活動に参加し、高齢者等の多様なニーズに応じたホームヘルプサービスを行う。
 活動範囲を住所地の小学校区とし、市民の自主的・自発的な参加と、地域に根ざした相互扶助の精神を基調としている。
 (2) 現状
 平成8年8月現在、80名が登録し、約半数がヘルパー活動を行っている。 平成7年度の年間活動時間は6,956時間であり、これを常勤換算すると7.5人となることから、12年度の目標数(常勤換算7人)をすでにクリアしている。
 全体として目標は達成しているが、地域的には手薄な地区があることから、強化が必要である。
 また、ヘルパーとしての資質の保持・向上を図るための研修を行っている。

5.市民参加型ホームヘルパー

  •  研修等を通じ、ヘルパーとしての資質の保持・向上に努める。
  •  今後は、地域バランスを考えた募集をする。

(5)緊急通報システム

現状及び評価 整備の方向

1.事業の概要

(1) 事業の創設
平成元年
(2) 事業内容
 在宅の寝たきりや痴呆、身体の弱い高齢者に、入浴や給食、体調に合わせた機能訓練などの各種サービスを提供する。
【通所サービス】
日中リフト付きバスなどで送迎し、デイサービスセンターでサービスを受けてもらうもの。
【訪問サービス】
デイサービスセンターから家庭に出向いて、入浴サービスや給食サービスを行う。
(3) 利用料等
利用は週1回程度で、利用料は入浴サービスが1回300円、給食サービスが1回500円

2.設置状況

施設名 タイプ別 備考
大平荘
金寿園
八橋 公設
松涛園
光峰苑
南寿園
旭南 公設(市営住宅との併設)
川口 公設(保育所との併設)
中央エリア 9年度開設予定
  •  老人入所施設の整備や市営住宅改築の際には、デイサービスセンターの併設を進め整備を図っている。

3.利用状況

5年度 6年度 7年度
施設数 5箇所 6箇所 8箇所
利用登録者数 641人 830人 1,001人
延べ利用人数 17,852人 25,185人 33,032人
《参 考》H8.10月現在
1施設1日平均利用者数 18.7人
1人週平均利用回数  0.9回
  •  デイケア利用者は、老人保健施設利用者に固定されているが、老人保健施設併設の在宅介護支援センターの増加に伴い、相談業務の中で、デイケアとデイサービスの利用調整がされており、デイケアとデイサービスは相互代替的なものとして位置付けられてきている。
  •  施設ごとのケアマニュアルの作成や研修会は実施されている。
  •  利用希望は週1回から3回が多い。毎日利用の希望者もいるが、平均利用回数は週1回程度で、要望に十分応えていない現状である。
  •  1日当たりの平均利用者数が18.7人と標準の15人を上回っているが、1か月以上の利用待ちの施設がある。
  •  現在の受入れ時間(午前9時から午後4時)を超えた利用の希望や、土曜・日曜・祝日の利用希望がある。
  •  旭南、川口など公設のデイサービスセンターでは、自主的に地域交流事業や世代間交流事業を実施し、地域住民との交流を図っている。
 全市的なバランスを考慮し、公的施設(市営住宅等)との併設を図るなど、より利用しやすい方向で設置していく。また、多様化するニーズに応えるためホリデイサービスや運営時間の延長を検討する。

〔検討事項〕
  •  地域別のバランスを考慮しながら、適正な配置をしていく。
  •  市営住宅改築の際のデイサービスセンター併設については、7年度の旭南に続き外旭川、牛島清水町などへの建設を進めていく。
  •  土曜・日曜・祝日の開所や平日の運営時間の延長については強い要望がありることから、業務も委託している法人との協議や、財政状況等を勘案しながら、公設のデイサービスからの導入を検討していくこととする。
     なお、平成7年度から国においてホリデイサービス事業として補助制度化されている。

    《参 考》 国の補助事業の概要
    ア ホリデイサービス
    • 休日を含め、週7日通年で運営
    • 休日においては、ボランティアや地域住民との交流等や、行事の要素を取り入れるなど、休日の特色を活かした事業展開が可能。
    イ 運営時間の延長
    • 延長時間は、1日につき4時間以上。
    • 延長時間部分についての施設への往復は、家族による
  •  公設のデイサービス業務の委託法人の選定にあたっては、地域の特色を生かした地域交流事業に対する意欲等も加味しながら決定する。
  •  利用者の身体状況等を踏まえながら、週3回以上の利用ができるよう検討していく。
  •  定期的な利用者については、登録制を検討していく。

(6)ショートステイ事業

現状及び評価 整備の方向

1.事業の概要

(1) 事業の創設
昭和53年度
(2) 事業内容
 高齢者を介護している家族が、冠婚葬祭や介護者の病気、介護疲れなどで一時的に介護できなくなったときに、特別養護老人ホームや養護老人ホームに短期間入所する。
(3) 利用期間
原則として7日間
(4) 利用料
特別養護老人ホーム 1日2,140円(8年度)
養護老人ホーム    1日1,650円(8年度)
生活保護世帯は、利用する理由により減免される場合がある。

2. 利用状況

年度 利用者数 延べ利用日数 平均利用日数
329人 6,924日 21.05日
620 13,529 21.82
676 13,767 20.37
  • 平成7年度から、ショートステイの利用期間の弾力化事業が開始され、次のような場合は、最長3か月利用可能となった。(指定施設 大平荘1か所)
    • 高齢者が、老人保健施設、病院等から退所し自宅に戻る際に、本人や介護者の不安を解消するための経過的入所
    • 住宅改造を行う間の一時的入所、介護者の長期入院等
  • 登録制度をとっており、利用者が直接施設と連絡をとり、利用申込み状況などの情報を正確かつ迅速に入手しているので、スムーズに利用されている。
  •  現在、ショートステイ時の送迎については、20床のショートステイ専用床を持つ2施設(大平荘・南寿園)で実施しているが、それ以外の施設では、家族送迎を原則としている。そのため、この2施設以外の利用者の家族からは施設側での送迎を希望する声が多い。
  •  ホームケア・ナイトケアについては、ここ数年利用者がいない。

3.評価

  •  事業の浸透は図られてきたが、同一利用者の繰り返し利用など利用者の固定化が目立つ。
  •  重度の寝たきりや痴呆の高齢者の利用率が高くなっており、家庭での介護者の負担軽減の一助になっている。
  •  介護者の年齢層が年々高くなり、利用期間が長期化するケースが増えているが、現在の弾力化事業では対応に限界がある。
 在宅で寝たきりや痴呆の著しい高齢者を介護している家族の利便と負担軽減などを図るため、事業のPRを積極的に行い、さらに市民へ浸透を図っていく。
  •  利用者の固定化が目立つことから、積極的なPRを行うとともに、利用をためらうなど消極的な人に対するきっかけづくり(例:お試し利用など)を考え、利用者の拡大を図る。
  •  利用希望が中・長期化し、利用施設も比較的固定化してきているため、利用期間の弾力化事業の指定施設を増やしていくよう国に働きかけていく。
     また、弾力化事業の利用手続事務の簡略化も併せて働きかけていく。
  •  送迎サービスのある専用床20床以上の施設を、地域バランスを考慮しながら整備していくこととする。
  •  ホームケア・ナイトケアについて
    • 病院等からの退院、退所時のケアプランの中にホームケアを組み込むなどして、事業のPRと浸透を図っていく。
    • 在宅介護支援センター等での相談業務の中でPRを行っているが、医療機関、老人保健施設とも連絡を取りながら積極的にPRをしていくこととする。

(7)訪問指導事業

現状及び評価 整備の方向
〔目的〕
 家庭において寝たきりの状態にある者やこれに準ずる状態にある者、または痴呆性老人に対し保健婦・栄養士等が訪問し、本人及びその家族に対し必要な保健指導を行い、心身機能の低下の防止と健康の保持増進を図る。

〔指導内容〕
  • 家庭における療養方法に関する指導
  • 家庭における看護方法等に関する指導
  • 家庭における機能訓練方法に関する指導
  • 痴呆に対する正しい知識、緊急の場合の相談先等に関する指導
  • 住宅改造に関する指導
  • 疾病の予防に関する指導
  • 家族への支援
  • 諸制度の活用方法等に関する指導

1.対象者の把握

  •  平成7年度の新規の対象者151 人の把握方法を見ると、内訳は下記の表のとおりである。訪問指導のPRを一般市民や関係機関等に行ったことにより、家族から得られる情報が多くなった。
     関係機関からの情報が得られるように、連携を図る必要がある。
    情報源 H3 H7 情報源 H3 H7
    老人実態調査 99 69 民生委員
    本人及び家族親戚 12 33 在宅介護支援センタ−
    巡回入浴車 14 福祉関係窓口
    ホ−ムヘルパ− 在宅歯科保健事業
    医師(ネットワ-クシステム含む) その他 21
    ※老人実態調査:ねたきり老人・一人ぐらし老人実態調査
  •  病院や施設から退院・退所した後、訪問指導を必要とする方がすぐ利用できるように、訪問指導のPR方法を検討する必要がある。
  •  高齢者に関しては、老人実態調査を行い全市的に把握しているが、40歳〜64歳に関しては情報提供があった者のみに対応しているのが現状である

1.対象者の把握

  •  さらに多くの情報を得られるように、「ヒューマンケア・ネットワークシステム」と併せて訪問指導を市民及び関係機関にPRしていく。
     早期に把握するために、「脳卒中情報システム」「在宅老人医療ネットワークシステム(市医師会)」が、円滑に動くように関係機関へ働きかける。
  •  市から積極的に医療機関に対して訪問指導事業をPRする。また、医療機関の協力を得て、患者に対してPR用パンフレット・訪問指導依頼用はがき等の配布をし、患者側からの退院情報を得るようにする。
  •  40歳〜64歳の対象者についても、関係課と連携を図りながら対象者を把握する方法を検討する。

2.訪問指導の内容

(1) 年次別対象者数・訪問者数
【寝たきり者】
対象者数 訪問者数
新規 継続 訪問実数 訪問延数
H6 198 410 608 546 1,647
H7 151 429 580 523 2,067
【痴呆性老人】
対象者数 訪問者数
新規 継続 訪問実数 訪問延数
H6 135 15 150 138 275
H7 40 105 145 122 303
(2) 対象者
  •  訪問指導の対象者は、寝たきり度ランクB・C及び痴呆性老人を重点に行っているが、家庭での介護負担が大きく、寝たきりや痴呆の程度及び介護疲れ等に対応した訪問指導が求められている。また、多くの高齢者は、病気を持ちながらも通常の社会生活を営んでいることから、身体面の不安も強く、虚弱高齢者全般に保健婦の対応が求められている。
  • 保健婦の対象者への指導方針の標準化を図る必要から、対処マニュアルを作成し、適切な保健サービスを提供している。
(3) 他機関との連携
  •  細分化されたサービスの選択を本人及び家族に委ねることは困難であるため、サービスを提供する側で必要なサービスを調整し、連携を図る必要がある。発見された保健・医療・福祉のニーズについては、必要に応じ、在宅介護支援センター職員と同行訪問し、必要なサービスに結びつけている。また、状況に応じて関係機関が一堂に会し、ケースカンファレンスを実施しているが、今後もより一層の連携を図っていく必要がある。
(4) 在宅リハビリ
  •  平成4年度から8年度にかけて、秋田大学医療技術短期大学部の作業療法士の協力を得て、訪問指導の対象者の一部に対し、試行的に福祉用具(補助用具)の作成・住宅の改造指導等を実施し、在宅での生活環境を改善する上で効果を上げている。
    【本人及び家族の声】
    • 10年以上も入浴できなかっが、シャワー浴ができるようになった。
    • 介護者に頼りきりだったが、住宅リフォームにより、リハビリに意欲がでてきた。
    • 寝室から居間に移動することができて、孤独から解放された。
  • 介護者の「リハビリの方法がわからない」「寝たきりにさせたくない」等の声に対応するためには、リハビリを取り入れた介護指導が必要である。
(5) 家族への支援
  •  平成7年度の保健・福祉サービス利用者実態調査によると、介護技術、福祉サービスの指導のほかに「介護者の相談に乗ってほしい(47.5%)」「精神的な支えになってほしい(13.7%)」等、精神的支援に対する要望が多かったが、訪問指導で的確な情報を提供し、必要な保健指導をすることが要介護高齢者及び家族の精神的な支えになっている。
  •  月1回「介護者のつどい」を開催しており、介護者同士の交流や支え合いの場となっている。また、訪問指導対象者に介護者の声を載せた通信文を発行・配布し喜ばれている。
(6) 口腔衛生指導
  •  寝たきり者は何らかの口腔所見を有していることから、歯科衛生士を配置し、口腔衛生の改善を図る必要がある。
(7) 栄養指導
  •  栄養指導は、平成6年度29人(延べ数40人)、平成7年度52人(延べ数56人)に実施しており、これはそれぞれ対象者の4.8%、9.0%である。
     嚥下障害・咀しゃく困難・肥満・食欲不振等のある高齢者を対象に実施し、食生活の改善を図っている。

2.訪問指導の内容

(1) 年次別対象者数・訪問者数
  •  訪問指導保健婦の増員を図り、対象者1人当りの訪問回数を増やす。
(2) 対象者
  •  対象者の日常生活自立度に応じ、必要なサービスを次のように設定し、訪問指導はランクB・C及び痴呆性老人を重点に行う。また、保健婦の対応が求められる虚弱高齢者についても、同様に関わりながら体制について検討していく。
《参考》
(ランクJ)
 日常生活はほぼ自立しており、独力で外出できるので、地域での集団教育、レクリエーション等で対人交流を図ることにより、社会参加を促す。
(ランクA)
 屋内での生活は概ね自立しているが、介護者なしには外出できないので、送迎付きのデイサービスや機能訓練等への参加を促す。
(ランクB・C)
 健康面でのチェック、清潔面での援助、床ずれ予防(処置含む)、在宅リハビリ、栄養指導などを実施する。
 特にBにおいては家の中の生活が中心となっており、在宅リハビリ等の保健サービスを充実させて、身体機能をランクCに低下させないよう注意する。また、住宅改造等を指導し生活環境を改善する。
 ランクCにおいては日常動作のすべてに介助が必要であり、在宅生活を継続させるためにも、保健・医療・福祉サービスの利用について調整し、介護者の負担を軽減しながら、家庭での生活を支援する。
(痴呆性老人)
 初期の時点で把握し、専門医による診断とそれに基づく対応や治療について、家族の理解が得られるようにする必要がある。精神症状のあるケースについては、専門機関との連携を図り対応していく。
(3) 他機関との連携
  •  訪問指導対象者へのニーズ把握、サービスのコーディネート、他機関との連携等は「ヒューマンケア・ネットワークシステム」により適切に行い、在宅で快適な生活ができるように支援する。
(4) 在宅リハビリ
  •  寝たきりにさせないためには、生活環境の改善、訪問リハビリを取り入れた介護指導が必要であり、作業療法士・理学療法士を配置して実施していく。
(5) 家族への支援
  • 「介護者のつどい」に関しては、アンケート調査を実施し、参加しやすい方法等を検討していく。
(6) 口腔衛生指導
  • 歯科衛生士を配置し、訪問による口腔衛生指導を行う。
(7) 栄養指導
  •  必要時、主治医と連携を取りながら、寝たきり者の食事形態や病態に応じた栄養指導の充実を図る。

3.訪問指導の拠点・機動力

  •  従来はバスが主な交通手段であったが、訪問指導車を平成6年度と8年度に各2台づつ、あわせて4台導入したことにより、対象者のニーズにあった訪問、他機関との連絡を随時行うことができるようになった。また、指導のための器具・機材等を持参することにより、訪問指導内容の質が高めることができた。
  •  活動拠点は、八橋の保健センター1か所であるが、より効率的な活動形態にする必要がある。

3.訪問指導の拠点・機動力

  •  スタッフ数に応じて、訪問指導車をさらに増車し、機動力の充実を図る。
  •  効率的な活動形態とするために、現行の八橋の保健センターの他に、駅東地区に訪問指導の派遣拠点を整備することを検討する。

(8)訪問看護事業

現状及び評価 整備の方向
〔目的〕
 疾病や負傷等により、居宅で継続療養を受ける必要がある者に対して、かかりつけの医師の指示に基づいて看護婦等が訪問し、在宅介護に重点を置いた訪問看護サービスを提供する。

1.訪問看護ステーションによる訪問看護

  •  平成7年度末現在、訪問看護ステーションは10か所設置されており、年間訪問延べ数は16,065件(月平均1,339件)である。
  •  訪問看護ステーションからは、日常生活動作の状態・看護の内容・今後必要とする保健福祉サービス等についての情報提供が年間2,826件あり、対象者の状況把握・サービスの調整が行われる。
  •  訪問看護ステーション相互の交流や研修及び今後の老人保健福祉について協議する場として、平成7年2月に「訪問看護ステーション連絡会」を設置し、年1回開催している。
  •  秋田市医師会の「在宅老人医療ネットワークシステム」が構築・実施されるようになったことにより、訪問看護ステーションと地域の医師との連携がスムーズにとれるようになった。

2.医療機関による訪問看護

  •  医療機関による訪問看護も行われているが、実施状況の把握は十分できていない。

3.訪問指導との連携

  •  訪問看護の利用者に対しては、原則として訪問指導は行わないこととしていたが、本人及び家族への保健指導・福祉サービスの調整等が必要な場合には、訪問指導も行っている。

4.関係機関との連携

  •  在宅サービス提供者同士の情報交換や申し送りは、連絡ノートの活用や電話連絡等で行っているが、さらに関係機関との連携を図っていく必要がある。

1.訪問看護ステーションによる訪問看護

  •  よりよい看護サービスが提供できるように、看護技術の向上及び福祉サービス等についての研修会の開催等、訪問看護ステーション連絡会の運営についても支援する。
  •  「在宅老人医療ネットワークシステム」「ヒューマンケアネットワークシステム」の中で、訪問看護の役割を発揮していくため、他機関との連携をさらに深める

2.医療機関による訪問看護

  •  医療機関で実施されている訪問看護の状況を把握し、連携を図っていく。

3.訪問指導との連携

  •  訪問指導及び他の福祉サービスとの連携によって在宅ケアの推進を図る。

4.関係機関との連携

  •  生活圏域内のサービス提供施設である在宅介護支援センター、デイサービスセンター等との連携を図りながら、在宅ケアの提供に努めていく。

(9)在宅寝たきり者歯科保健事業

現状及び評価 整備の方向
〔目的〕
 在宅寝たきり者に対して、訪問による歯科保健サービスを実施することにより、口腔状態の改善を図る。
〔事業概要〕
 歯科医師と歯科衛生士が、寝たきり者の家庭において健康診査を実施し、その結果、治療の必要な希望者に対して在宅での診療を行なっている。
 (開始年度:歯科健康診査 平成3年度・歯科診療 平成4年度)
   平成3〜5年度 国のモデル事業「在宅寝たきり老人歯科保健推進事業」
   平成6〜7年度 市単独事業
   平成8〜10年度 国のモデル事業「在宅心身障害(児)者歯科保健事業」

1.実施状況

(1) 歯科健康診査
健診
実施者
むし歯
有り
所見
有り
所見内訳(重複所見有り)
疼痛 腫脹 顎関係
の異常
歯肉の
異常
歯石の
付着
H6 73 49 49 19 7 2 26 36
- 67.1 67.1 26.0 9.6 2.7 35.6 49.3
H7 73 30 46 14 10 1 20 26
- 41.1 63.0 19.2 13.7 1.4 27.4 35.6
  •  受診者の6割が歯石の付着や歯肉の異常等の所見を有していることから、口腔状態の悪化を防ぐようにする必要がある。
(2) 歯科診療
診療実施人数 診療延回数
H6 33人 107回
H7 51人 157回
  • 歯科診療は歯科健康診査実施後、歯科医師による判定委員会を開催し、在宅治療の可否を決定し、実施している。
  •  これまでは、健診の申込みから診療開始まで2〜3か月かかっていたが、市歯科医師会の協力を得て判定委員会が効率的に開催されるようになったため、平均1か月程度に短縮された。なお、急を要する場合は適切な対応をしている。
(3) 対象者
 平成6年度から年齢を40歳以上に拡大し実施していたが、その後平成8年度から国のモデル事業「在宅心身障害(児)者歯科保健事業」を取り入れて、健診については、年齢枠を撤廃して実施している。65歳以上の寝たきり者については把握しているが、それ以下の対象者の把握が十分に行われていない。

1.実施状況

  •  40歳以上の対象者については、訪問指導との連携を図りながら対応していく。
  •  39歳以下の対象者については、関係課との連携を図りながら把握しPRに努める。また、訪問診療の実施についても検討していく。
  •  在宅寝たきり者歯科保健事業は、モデル事業終了後も今までの成果やニーズを考慮し、引き続き実施していく。
  •  在宅寝たきり者歯科保健事業は、寝たきり者に対する訪問診査・訪問指導の一連のものとして、老人保健事業の医療以外の保健事業として位置付けることを国に働きかけていく。

2.歯科医と内科主治医との連携について

  •  平成4年度より、在宅寝たきり者歯科保健推進協議会委員に内科医を加えたことにより、受診者の病状に対する意見等を得ており、今後も必要に応じて情報交換ができるように内科主治医と歯科医との連携を図っていく必要がある。

3.二次・三次協力医療機関について

  •  平成5年度より、在宅寝たきり者歯科保健推進協議会委員に大学病院・市立病院の歯科医を加え、在宅で治療できない場合は、担当歯科医と二次・三次医療機関との連携して対応してきている。
  •  搬送体制については、現状、福祉タクシー等で対応できる状況にあるが、今後、搬送が必要な人が増えていく場合には、搬送体制を整備していく必要がある。
    一次医療:在宅で可能な診療(診療所)
    二次医療:病院外来での診療(大学病院・市立病院等)
    三次医療:入院診療(大学病院・市立病院)

4.マンパワーの確保

  •  健診、診療実施前の対象者の口腔状況等については十分把握ができていない。また、健診時に口腔衛生指導を行っているが、対象者の口腔状況に応じて、歯科衛生士による継続した指導が必要である。

2.歯科医と内科主治医との連携

  •  在宅老人医療ネットワークシステムを活用し、連携を図っていく。

3.二次・三次協力医療機関について

  •  搬送体制については、引き続き検討していくこととする。
  •  対象者が在宅心身障害児に拡大されたことにより、小児療育センターを二次医療機関として連携をとっていくこととする。

4.マンパワーの確保

  •  歯科衛生士を配置する。

(10)機能訓練事業

現状及び評価 整備の方向
〔目 的〕
 脳卒中後遺症等により心身の機能が低下している人で、医療終了後も継続して機能訓練が必要な人に対して、心身機能の維持・改善を図るために必要な訓練を行い、日常生活の自立を支援する。

1.リハビリ学級の会場及び定員・期間

 市保健センターを会場に1学級(定員30人)で1年間実施しているが、同センターで実施している他事業との関わりもあり、現時点では学級数や定員を増やすことは困難である。

2.内容

  •  訓練の内容は、医療として行われる訓練とは異なり、個人にあったプログラムによる訓練のほか、集団の中で交流を通しての仲間づくりや生活に意欲が持て社会に関心を向けるような社会的訓練を中心としている。
  •  学級生やその家族に対して、家庭での生活についての相談に応じ、助言や指導を行っている。
  •  学級実施にあたっては市医師会、主治医との十分な連携・調整を図っている。
  •  機能訓練事業の運営と内容が適切かどうかについては、医師・理学療法士・作業療法士・言語療法士・保健婦等が評価を行い改善に努めている。
  •  学級生やその家族から「生活に意欲がでて明るくなり、学級の日が楽しみだ」「外出に自信が付いた」「生活に張りがでた」「仲間と楽しく過ごせてうれしかった」「心のリハビリがあることに気付き参加して良かった」「笑うことが増えて家庭が明るくなった」等の声があり大変好評である。

1.リハビリ学級の会場及び定員・期間

  •  リハビリ学級実施会場は、市保健センターのほかに中央地区老人福祉総合エリア内での開催を検討していく。リハビリ学級の定員は一会場あたり概ね30人とし原則として1学級1年間とする。
  •  上記で対応できなくなった場合は、老人保健施設等へ学級の委託を検討する。

2.内容

  • リハビリ学級生の状況やニーズを把握し訓練内容の充実を図る。

3.対象者及び参加状況

(1) 対象者は40歳以上で通所可能な人とし、脳卒中後遺症の人を優先にしている。ただし、心臓病がある人・重症な人・集団でのリハビリに適さないと思われる人等については除いている。
 【疾病別・年代別の学級参加者数の推移】
脳卒中後遺症 その他
40〜64 65〜69 70歳〜 40〜64 65〜69 70歳〜
H6年 15人(51.7) 8人(27.6) 2人( 6.9) 3人(10.3) 1人( 3.5) 0 29人(100%)
H7年 20人(80.0) 2人( 8.0) 1人( 4.0) 2人( 8.0) 0 0 25人(100%)
注)その他:パーキンソン、脳炎
(2) ADL(日常生活自立度)によるランク別対象者は、ランクAを中心にしている。
(3) 参加申し込みと参加の可否については、医師の指示及び意見を記入した機能訓練申請書と日常生活動作アンケート用紙を提出してもらい、医師等を交えた「参加者決定会議」で学級参加の可否を決定して通知している。

3.対象者及び参加状況

(1)、(2)、(3) については現行どおり実施する。
(4) 加齢により機能低下をきたした人には、申し込み時にディサービス等の福祉サービスの利用を勧めている。
(5) 学級のPRは「広報あきた」・テレビ・ラジオ等で広く行っている。
 また、医療機関にリハビリ学級を紹介するパンフレットを配布して、担当医からの勧奨と情報提供を依頼している。
 保健婦や訪問看護ステーションからの情報提供と本人からの申請で対象者の把握をしており、申し込み数は微増傾向である。
(6) 学級の運営は、市医師会の協力を得て、医師・理学療法士・作業療法士・言語療法士・保健婦・看護婦が従事している。今後、学級参加希望者が増加した場合には、学級を増設する必要があり、作業療法士や保健婦などの確保が課題となる。
(7) 医療機関でのリハビリ終了から、リハビリ学級に参加するまでの期間をみると参加者の67%は発症から3年未満であり、平均でも3年6か月となっている。
H4年 参加までの期間 平均4年5か月 3年未満の参加 40%
H7年 参加までの期間 平均3年6か月 3年未満の参加 67%
(4) 福祉との連携を更に強化する。
(5) 「脳卒中情報システム」の活用により対象者をより正確に把握する。
(6) 学級増設の際には、現行スタッフに加えて、作業療法士の確保と保健婦の増員を図る。
(7) 医療機関との連携を強化し、さらに周知を図ることにより、医療リハビリ終了後、より早期にリハビリ学級に参加できるようにする。
 在宅のリハビリ学級参加希望者がでた場合については、学級参加までの間、訪問リハビリと連携を図り支援していく。

4.リハビリ学級終了者への対応

(1) リハビリ学級終了者に対しては、保健センターを利用した「自主トレーニング」、ディサービス等の利用、保健婦による家庭訪問等で支援している。
 平成7年リハビリ学級生(25人)終了後の状況(重複あり)
  • 自主トレーニング参加…15人
  • リハビリ友の会加入……15人
  • ディサービス等利用…… 3人
  • 保健婦の家庭訪問……… 2人
(2) 自主トレーニングする人の送迎サービスは、平成4年から週2回実施、平成6年からは週3回(月・水・金)に増やしている。
(3) リハビリ学級終了者で組織している「秋田市リハビリ友の会」の運営等を支援している。

4.リハビリ学級終了者の対応

 リハビリ学級終了者の自主トレーニングの場を、保健センターのほか新たに中央地区老人福祉総合エリアにも設ける。
 また、「秋田市リハビリ友の会」に、地区ごとのグループ編成等を働きかけるとともに、同会の活動がより自主的に行なえるよう支援をしていく。

(11)配食サービス

現状及び評価 整備の方向

1.事業の現況

 市独自の事業としては、実施していない。
 A型のデイサービスセンター事業の訪問サービス事業として、大平荘・金寿園・八橋(寿光園)・南寿園・光峰苑の5施設で実施している。また、老人保健施設はニコニコ苑1施設で独自に実施している。

 【実施状況】
大平荘 金寿園 八橋(寿光園) 南寿園 光峰苑 ニコニコ苑
実施日数/週
延べ配食数/週 24 35 36 10 31 40
利用者数 週1回利用 12 22
週2回以上等 10 12
計(特養該当) 13 ( 2) 22 (19) 17 ( 2) 10 ( 5) 26 (10) 6 (不明)
食事区分 昼、夕
容器の回収 次回 翌日 当日 当日 当日 使い捨て
利用料 500円 500円 500円 500円 500円 450円

2.評価

  •  公的にはA型のデイサービスセンター(5施設)で訪問給食をしているが、実施施設のエリア以外のニーズには応じきれず、サービスの不均衡がある。
  •  実態調査では、家族形態や身体状況にかかわらず広くニーズがあり、空白地域へのサービス提供が必要となっている。
  •  同居家族がいるため、いまのところ必要性を感じていない高齢者もみられたが、今後、一人暮らしや、高齢者世帯が増加することと同居者、特に女性の就業志向が高まっていることなどから、配食のニーズは増えていくものと思われる。
  •  利用希望があっても内容や衛生面に不安をもったり、これまでの生活習慣から、定期的に食事を届けてもらうシステムになじめないことなどから、利用を控えているとも考えられる。
 A型のデイサービスセンターの訪問給食事業でカバーできない空白地域へ国の補助事業「配食サービス事業」を活用した市の事業の導入を検討していく。
〔検討事項〕
  •  高齢ひとり暮らしや高齢世帯等に栄養のバランスのとれた食事を訪問により定期的に提供するとともに、安否確認をするなどして、在宅での生活を積極的に支援していくため、国の補助事業「配食サービス事業」を活用した市の事業実施に向けて検討していく。
    【配食サービス事業(案)】
    事業内容 週4日、 1日1食程度以上
    適切な事業運営が可能と考える団体に業務委託する。
    利用対象者 おおむね65歳以上のひとり暮らしや高齢世帯および準ずる世帯等
    委託団体 社会福祉法人、大手外食業者等
    委託条件
    • 栄養のバランス等を考慮した高齢者に合った食事内容
    • 衛生管理等(容器回収の徹底)
    • 安否確認
    利用者負担の適正な設定
  • 今後整備を行う公設のデイサービスセンターでは、ボランティアを活用した給食サービスの実施を検討していく。

(12)日常生活用具給付・貸与事業

現状及び評価 整備の方向

1.日常生活用具給付・貸与事業

(1) 事業の概要
  1. 給付・貸与種目(12種目)
    特殊寝台 マットレス エアーパッド 腰掛便座
    特殊尿器 体位変換器 火災警報器 自動消火器
    電磁調理器 歩行支援用具 入浴補助用具 痴呆性老人徘徊感知機器
  2. 貸与・レンタルが可能な種目(3品目)
    緊急通報装置   老人福祉電話   車椅子
  3. 給付・貸与状況
    給 付 貸与・レンタル
    用具名 5年度 6年度 7年度 用具名 5年度 6年度 7年度
    特殊寝台 15 26 30 老人福祉電話 111 116 116
    マットレス 16 27 32 緊急通報装置 247 283 314
    エアーパッド 10 22
    腰掛便座 12
    入浴補助用具 25
    歩行支援用具 (無料貸出)
    電磁調理器 車椅子 69 52 44
    特殊尿器
    47 86 129
    •  在宅介護支援センターの数的整備が進んだことや訪問相談体制の充実、および医療機関からのPRにより事業の周知が図られ、年々件数が増加している。
    •  住宅リフォーム事業と連携を取りながら、適切な給付に努めている。
    •  在宅介護支援センターに展示している介護機器を必要に応じ持ち運びをするなどして、用具の周知・PRに努めている。
    •  身体障害者日常生活用具給付事業も活用しながら給付している。
    •  市社会福祉協議会の貸出事業の紹介をするなどして、利用者に選択の幅を持たせている。
    •  平成8年10月に行ったひとり暮らし老人に対する需用調査において、特に緊急通報装置についての利用相談を望む声が多かった。
(2) 評価
  •  ニーズの掘り起こしやPRが進み事業の浸透が見られる。
  •  身体状況等に対して、適切な給付が行われているか調査・把握していく必要がある。
《参 考》
 市社会福祉協議会の介護機器無料貸出事業
用具名 保有台数(台) 貸出件数(件)
エアーマット 125 165
移動用バー 34 32
車椅子 25 66
歩行器 13
移乗用具
シャワーチェア
ポータブルシャワー
洗髪器
浴槽手すり
1.日常生活用具給付・貸与事業
 要介護高齢者一人ひとりの身体状況、および家族のニーズ等に基づき、必要な用具を適切に給付し、要介護高齢者の自立意欲の維持向上と家族の負担の軽減を図る。

〔検討事項〕
  •  申請受付けの方法や、給付決定にあたっての審査方法等を検討し、適切な給付をしていく。
  •  運用・内規等を制度化し、より公平かつ客観的に審査し、適切な給付をする。
  •  在宅介護支援センターや保健婦等に用具の進歩の状況にあわせた、情報収集や知識習得の機会を持つよう検討していく。
  •  給付後不要となった用具については、秋田市社会福祉協議会の介護機器無料貸出事業と連携を取りながらリサイクルを積極的に推進する。
  •  緊急通報システムについては、随時ニーズ調査をおこない、適切な給付をする。

2.寝具洗濯乾燥事業

(1) 事業の概要
  1. 事業開始
    昭和49年度
  2. 事業目的
     寝たきりの高齢者の保健衛生環境を整備することにより、本人の自立心と家族の介護負担の軽減を図るとともに、在宅志向を高めていく。
  3. 事業内容
     所得税非課税世帯の世帯で60歳以上の寝たきりの高齢者を対象に、敷き布団、掛け布団を一式とし、業者委託により無料で洗濯・乾燥を行う。
(2) 利用状況
年度 5年度 6年度 7年度
件数 96件 96件 100件

2.寝具洗濯乾燥事業

 特殊寝台等の介護用品の普及や機能の向上により、寝具洗濯の需要が少なくなっていることから事業を見直し、日常生活用具給付事業の充実を図っていくこととする。

(13)高齢者住宅リフォーム事業

現状及び評価 整備の方向

1.高齢者住宅リフォーム事業

(1) 高齢化に対応した住宅の必要性
 平成7年度の保健福祉サービス利用者実態調査によると22%の人が、玄関の上がりかまち、廊下と各部屋(居間・浴室・便所等)の間の段差によるつまずき等で家の中で怪我をしている。また、41%の人が身体状況に合わせた住宅リフォームの必要性を感じている。
(2) 助成制度の創設
 介護を必要とする高齢者が、安全性・快適性・機能性に配慮した住宅リフォームによって、安全で快適な生活を送ることにより精神的自立・意欲の拡大・生きがい等を持てるよう、また、介護者の負担を軽くし、できるだけ住み慣れた家で生活できるように、平成6年10月に「秋田市高齢者住宅リフォーム助成事業」を創設した。
  1. 助成制度の概要
    対象者
    秋田市に5年以上居住している、概ね65歳以上で寝たきりや身体の障害のために日常生活を営むのに介助を必要とする高齢者(障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準のランクA、ランクBが対象)
    助成額等
    対象者が居住し、秋田市に所在する家屋の手すりの設置や段差解消、滑り止め工事等の費用の一部を助成する。
    所得税非課税世帯 改造費の2/3 (限度額40万円)
    所得税140,000円以下の世帯 改造費の1/3 (限度額20万円)
    所得税140,001円以上の世帯 助成対象外
  2. 助成制度の状況について
    年度 件数 金額 改造箇所
    玄関 居室 台所 廊下 浴室 便所
    6年度 5件 1,872千円 −件 −件 −件 2件 5件 3件 3件
    7年度 10件 2,908千円 6件 2件 1件 5件 5件 4件 1件
    8年度 16件 4,242千円 4件 1件 0件 4件 12件 7件 3件
     平成7年度の保健福祉サービス利用者実態調査でもリフォームの必要な場所は、浴室・便所・廊下・玄関・居室の順になっている。

1.高齢者住宅リフォーム事業

(1) 高齢化に対応した住宅の必要性
 平成7年度の保健福祉サービス利用者実態調査からも住宅リフォームに対するニーズが高いことから、今後も助成事業による経済的支援や相談体制の強化を図って行く。
(2) 助成制度
  1. 現在は工事着工後の申請は助成対象外となっているが、着工後の申請や問い合わせもあり、今後も「高齢者のためのくらしのしおり」や「広報あきた」等で助成事業の積極的なPRを図って行く。
  2. 助成事業の施工業者については利用者に全面的にまかせているが、出入りの業者がいない場合も多く、施行業者等の団体に直接協力を依頼し、業者の紹介・相談先リスト等を利用者に配布できるよう検討する。
(3) 相談等の支援体制の整備
  1.  住宅改造は、福祉・保健・医療・建築関係者がリフォームヘルパーとしてチームで相談や助言等を行う必要がある。しかし、医療・建築関係者については、本業を持ちながら就業時間内に協力を仰ぐことは非常に難しい状況である。そのため、高齢福祉課・訪問指導保健婦・在宅介護支援センター職員などが、対象者の主治医・理学療法士、作業療法士等のアドバイスを受け、秋田市版のリフォームマニュアルである「高齢者住宅改造の手引き」に基づき、相談・助言を行っている。
  2.  住宅改造に関して相談、助言等を行う、福祉・保健・医療・建築関係者向けに作成した「高齢者住宅改造の手引き」を高齢福祉課・訪問指導保健婦・各在宅介護支援センターやマニュアル作成に協力を戴いた医療・建築団体等に配布し、活用してもらっている。
  3.  住宅改造の相談の際には、改造をしなくても用具で解消できる場合も多いので、入浴補助用具、歩行支援用具などの福祉用具等についても情報提供や助言を行っている。
《参考》
入浴補助用具 平成7年度実績 42件
主な内容 入浴台、浴槽台、バスボード、シャワーチェアー、シャワーキャリー、バスグリップ、手すり等
歩行支援用具 平成7年度実績 27件
主な内容 携帯用スロープ、手すり、歩行器、歩行車等
(4) 評価
 「秋田市高齢者住宅リフォーム助成事業」を利用し、実際に住宅リフォームを行った方々から、介護負担の軽減や本人の自立の促進、安全の確保の効果が見られ、大変喜ばれている。
(3) 相談等の支援体制の整備
  1.  国で制度化しているリフォームヘルパーについては、作業療法士が配置された時点で創設を図る。
  2.  住宅改造工事を直接行う施工業者の団体(秋田建築労働組合、秋田県建設技能組合連合会、秋田管工事協同組合)等に協力を依頼し、機関紙等で助成事業の周知や住宅リフォームに関する理解を図る。また、相談に対応できるような体制づくりの協力を要請していく。
  3.  住宅改造に際しては、老人日常生活用具給付等事業の入浴補助用具・歩行支援用具の積極的な活用を図っているが、高齢福祉課・訪問指導保健婦・在宅介護支援センター職員に対して、福祉用具等に関する最新情報の勉強の機会を設けるととも、に関係機関に働きかけて行く。

2.高齢者住宅整備資金貸付事業

(1) 事業の概要
 昭和48年度に創設。市内に居住する60歳以上の高齢者と同居する親族で、高齢者のための専用居室等を整備しようとする者に、低利で資金を融資する制度。
(2) 事業の目的
 現在高齢者と同居しているその家族、もしくはこれから高齢者と同居することを決めている親族の今後の生活を支援するとともに、高齢者にとって暮らしやすい居室の整備を進め、高齢者と若年世代間との好ましい家族関係の確保と同居志向の推進を図る。
(3) 事業内容
限度額 150万円
利率 年3%
返済方法 元利均等半年賦償還(7月・12月)
償還期間 2年据置期間経過後8年以内
募集期間 年1回別に定める時期
その他 貸付決定前に工事着工はできない。
貸付金は、工事完了後に振り込む。
工事着工後の申請は受け付ない。
(4) 貸付状況(年度別貸付件数)
4年度 2件
5年度 2件
6年度 2件
7年度 1件
8年度 2件
(5) 現状
  • 貸付限度額の引き上げを行い、制度の改善を検討してきたが、対象外である家屋の修繕・修理の希望が多くなっており、該当者が少ない。
  •  高齢者本人または高齢世帯からの申込みがあるが、同居家族に対して貸付する制度のため貸付の対象とならない。
  •  民間金利との格差がなくなってきた。(民間の融資も受けやすくなっている。)
  •  現行の貸付金額だけでは、居室の増改築は難しい。
  •  家屋の修繕・修理の希望者に対しては、高齢者住宅リフォーム事業や日常生活用具貸付・給付事業と連携を取りながら対応している。
(6) 評価
  •  償還金に多額の未収がある。
  •  年2回の返済が未収につながっている。(1回の返済金額が多い)

2.高齢者住宅整備資金貸付事業

 本制度は対象者や貸付金の用途に制限があるなど、他の類似の貸付制度と比べて利用しにくい面もあり、また、利用希望者の利用目的には日常生活用具給付事業やリフォーム助成事業に係る部分も多いことから、本制度の利用状況も勘案し、貸付制度としての本制度を廃止の方向で検討していく。

《参考》
 ○生活福祉資金貸付制度(秋田市社会福祉協議会)
・ 対象者
 借受人は世帯主または生計中心者とする。
・貸付限度額(住宅資金)
1,350,000円(6年償還)で、特に必要と認められる場合は2,400,000円(7年償還)まで。
・ 返済方法
月賦償還
・ 償還期間
6か月据置期間経過後6(7)年以内。
・ 利率
年利3%
その他
対象となる世帯の収入は、4人世帯の場合、おおむね年収500万円程度。老朽家屋、風呂場やトイレの改造等が該当。

(14)介護者激励金支給事業

現状及び評価 整備の方向

1.事業の概要

  1. 事業の創設
    昭和61年度
  2. 事業内容
    支給対象者
    • 在宅で6か月以上寝たきりとなっている60歳以上の高齢者と同居し常時介護しているかた
    • 在宅で痴呆性の著しい60歳以上の高齢者と同居し常時介護しているかた
    支給方法等 月額5,000円、9月と3月に各6か月分ずつ口座振込み
    所得制限 なし
    事業の推移 創設時は、寝たきりの介護者のみを対象に月3,000円
    3年度から痴呆性老人の介護者へ対象を拡大
    5年度から月5,000円に増額
  3. 支給状況
    年度
    寝たきり 392人 446人 446人 471人
    痴呆 57 73 89 84
    449 519 535 555

2.認定方法

  1.  民生委員の意見書により認定している。
  2.  在宅サービスのADL認定表の共通化を図るために、共通台帳を作成中である。

3.在宅の継否の適正把握

 資格喪失は全て届け出によるものなので、入院や老人保健施設入所等の状況の変化についての把握が難しく、在宅介護支援センター、訪問指導保健婦、地区民生委員等と連携を取りながら適正把握に努めている。

4.介護している人数に応じた支給について

 平成6年度から1人で2人を介護している人には2人分など介護している人数に応じた支給がされている。

5.評価

 介護者の慰労と費用面での負担軽減として喜ばれている。
 介護者の慰労と費用の面での負担の軽減を図る制度として今後も継続していくものとする。

〔改善検討項目〕

1.認定方法

  1.  認定基準を明確にして支給することとする。(特に寝たきりの基準)
    • 自力で歩行ができない人を常時介護している方。
  2. 共通台帳を基に、民生委員の意見を参考に認定する。

2.在宅の継否の適正把握

  1.  資格喪失は全て届け出によるが、適正把握がされていない部分があり、今後とも地区民生委員や訪問指導保健婦等と連携をとりながら、より正確な把握に努めていく。
     また、他の保健福祉サービスとの連携を図りながら実態把握に努めることとする。

3.その他

  1.  共通台帳の整備に伴い、対象者の掘り起こしを行う。
  2.  適正な支給をするために、年2回の支給前に文書による現況調査を検討する。