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かっぱの絵
その28
お蘭子(らんこ)と猿の聟(むこ)どん

 昔、昔のずっと昔のこと、雄物川の枝川のある山里に太郎兵衛と言う爺さまが住んでたド。
 ある日、山の畑に行ったら広い畑に雑草が頭が痛くなるほどずっぱり(いっばい)生えていたド。そうして、雑草を取る手を休めて言ったんだド。
 「向い山の猿どん、ここさ来て雑草ッコ取って助けてけねえーが。娘ッコ3人あッから1人嫁ッコにくれてやるがら…」
 すると山から猿どもがぞくぞくとおりて来て、畑の雑草を見る間にすっかり取ってしまったんだド。
 爺さまは雑草取ってもらって喜んだども、さて娘を猿の嫁にやるって言ったことが心配になってきたド。その晩は仲々眠れぬまま、とうとう朝になってしまったド。
 しかし、爺さまはそのまま床から起きれなくなったド。娘たちは心配して、一番上の姉娘が、「爺さま、何して起ぎねのだ!、身体あんばい悪いのだが」と聞いたんだド。すると爺さまは「あんばいもどこも悪くねえども、心配ごとあって…」と、猿から雑草を取ってもらったことと、娘を嫁にやる約束をしたことを話したんだド。
 「悪りども、猿の嫁ッコにお前が行ってくれねェが」と言うと、姉娘はひどく怒って爺きまの枕をけとばさんばかりにして「どこの世界にそんたらことあるもんだ。誰ァ山猿のカガアーなどに」と顔色を変えて出で行ったんだド。
 二番目の娘もその通りだったども、三番目のバッチ(未娘)は、「爺さま、俺ァ猿のどこさ嫁に行くがら心配しねァでけろ」と言ったのでようやく起き上ったんだド。
 それから二、三日たって山から猿たちが嫁ッコを迎えに来て、バッチ娘のお蘭子をお手車に乗せて山奥に連れて行ってしまったド。
 さて、里帰りの日になって猿の聟どんは爺さまだちにと餅搗いだド。「餅を何に入れて行くべなァ」ど嫁ッコのお蘭子に言ったら「櫃だば木臭いし、朴の葉だば青臭い、その臼ごと持ってけろ」と言ったんだド。
 可愛い嫁ッコの言うとおり重い臼を背負って山から降りて来たんだド。その途中、谷川の渕の崖の上から美しい藤の花が垂れて咲き誇っていたので、娘ッコは、「猿どん、あの藤の花コ、俺ァも爺さまも大好きだ。どうか一枝とってたんせ」と言ったド。猿は「それじや餅の臼をここさ降ろして木に登るべェ…」と言うと、「土の上だば土臭くなる。草の上だば青臭くなる、臼背負ったまま登ってたんせ」と言うので仕方なしに重い臼を背に藤の花コ取りに登ったんだド。猿は枝に手をかけ、「この花コだが…」と言うと「もっと上だ」とだんだん上枝へ、上枝へと登ったものだから、餅臼の重みで木の枝がバリバリと折れて臼もろとも猿は谷川に落ちてしまったんだド。猿は川下に流されながら唄うようにして、「去る川や、去る川や、流れ行く身はいとわねド、あったらお蘭子後家にする、それァ情ないぢゃー」と叫びながら流れていったんだド。

とっぴんぱらりのぷ!


かっぱの絵
民話への招待
 幼いころに聞いた記憶によると、この物語は雄物川上流の沢どころとして聞かされましたが、語ってくれた人の創作であったやら、今はただす術もありません。
 民話のふるさととして親しまれている岩手県遠野市の佐々木喜善氏が集めた民話集の中には、この物語とほとんど同じものが納められています。
 爺様と娘の対話が掛合歌のような語呂合わせになったものの繰り返しになっております。
 また、末娘の名前は、オフミコとなっており、類話で未娘の名前はお藤になっているものもあります。猿に折らせる花が、藤の花ではなく、桜の花になっている話は仙北郡角館町周辺に伝えられているものを武藤鉄城氏がまとめています。
 爺様の不用意な約束が起した三人の娘たちの対話は、英国の大文豪・シェークスピアが書いた「リヤ王物語」が思い出されます。年老いたリヤ王とその三人の娘、ゴネルリ、リガン、コーデリアの対話。そして、末娘が示す老王に対する真の愛情、姉たちが嫌った猿へ嫁に行った気持ち、これと似たものを感じとることができます。
 嫁ッコの情に流される猿の聟どんにも、同情したい気持ちが湧いてきます。

 

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