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かっぱの絵
その31
文福、でっくり、しっからかん

 「でんづく、でっくり、しっからかん、かまえてかのこと知らせるな、文福文福そーう、そー」 何時の時代のことか昔のこと、雄物川のほとりのある村里にあったことなんだド。そこのお寺の坊さんが、何者かに殺されてしまったんだド。  そこで里人たちは、葬いをすませて後に座ってもらう坊さんをようやくお願いして住みついてもらったところ、また3月もたたぬうちにその坊さんも亡くなってしまったんだド。

 誰のせいかわからぬままの重なる不幸な出来事。立てつづけに何人もの坊さんが殺されたので、その寺に来てくれる坊さんがおらなくなったんだド。 そこで、檀家の人たちは困ってしまい、寄り合いを開いて相談の末、門前に高札を建てたりしてお寺に来てもらう坊さんを探したんだド。  ある日、一人の旅の坊さんが高札を見て「たとえどんな事情があるにしろ、困っている人たちのために勤行をしてやろう」と言ってお寺に入り、鐘を鳴らし、木魚を打って御仏の供養をしてくれたんだド。  それを聞いて門前衆・与惣右エ門、権三郎、長根の作右エ門等々、多数の人々が大喜びで、米や味噌、薪などを持ち寄って、坊さんに是非住んでほしいと衣の袖にすがらんばかりにお額いしたんだド。

 するとその坊さんは「如何なることがあるかは知らぬが、拙僧の法力に勝るものはないはず、安心して任せておきなさい」との力強い言葉に一同の者は、ほっと胸をなでながら各々家に帰って行ったんだド。  さて、その日も暮れて坊さんは暗い本堂に明りを灯し、坐禅を行じていると「でんづく、でっくり、しっからかん、かまえてかのこと知らせるな、文福文福そーう、そー」唱えながら、背丈も六尺を越える大入道が弟子の小坊主たちを連れてあらわれたんだド。  そうして「寒い、寒い」と焚火の燃えておる囲炉裏の端にどかっと座り、座禅している坊さんをにらみながら、ひざを立てて、またあぶりを始めたんだド。

 温かさで、赤ふんどしの中身がだんだんふくれて大きくなって来たんだド。これを見て坊さんは、このふくれてきたものを、これまでの坊さんたちにかぶせて殺したものと見破って、この者は人間ではなく獣の化身であるに違いないと、ロに法語を唱えつつ、焚火の熟い灰をとっさの間に赤いふんどしめがけてふりかけたんだド。

 驚いた入道は悲鳴をあげ、あわてふためいて本堂を逃げだして行ったんだド。 明くる日、村人たちは心配しながら寺に来て、その話を聞き、恐る恐る山に入り、今の「三毛屋敷」まで行くと、全身白毛の年老いた大狸が死んでいたんだド。 それからは、住みよい寺になったんだド。

とっぴんぱらりのぷ!


かっぱの絵
民話への招待

 この物語は、当町の女米木文芸協会発刊の会誌「米女鬼」第36号に掲載の玉龍寺「寺にまつわるむかしっこ」と題したものを転載させてもらったものです。

 あとがきに、昭和3年死亡の石井文吉翁が語った昔話であるとなっています。出所はいずれからか定かではありませんが、門前衆の与惣右エ門(石井チエ氏先祖)、長根の作右エ門(石井作右エ門氏先祖)、権三郎は永年にわたり肝煎を勤めた安藤権三郎家のことで玉龍寺にまつわる昔話であります。筋書は、「安養寺の化け物」と似ており、大入道の唱える呪文(まじない言葉)が面白く、その言葉はわからないが「文福文福」には有名な昔話の「文福茶釜」を連想させる響きを持っております。

 ちなみに、文福茶釜はやさしいお爺さんに命を助けられた狸が、りっぱな唐銅の茶釜に化けてお寺に売られたりする笑話でありますが、地方によっては狐が主人公で、茶釜から女や馬に化けたりして、報恩のために助けてくれた人が金持ちになる型式になっており、寺もそれぞれ違っています。

 群馬県舘林にある茂林寺の和尚が元亀元年(1570年)の大茶会の折に使った茶釜の話が、文福茶釜の原話となっています。

 

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