意見書 (平成14年2月市議会定例会)


最終更新 2002.03.25 


秋田市議会の意見として、国会や関係行政庁に送付します。

 BSE(牛海綿状脳症)問題に関する意見書

 BSE(牛海綿状脳症)は、昨年9月の国内での感染確認以来、日本の畜産と関連産業及び消費者に深刻な影響を与えてきた。これは1996年のWTOの「牛に対する肉骨粉などの禁止勧告」に対する政府の対応が後手後手に回り、一層被害を拡大したからである。
 今、畜産業界は、国民の牛肉に対する風評による不信と価格の大暴落で壊滅的状態にあり、早急な救済対策が望まれている。小泉総理は2月13日の衆議院予算委員会で国の責任を初めて認め、「どういう有効な手だてがあるか検討中」と答えている。
 以上のような経過から、国はBSEの発生による混乱と経済的損害に対して、責任を持って万全の対策を行うべきであり、国民の健康を守り、食品の安全性の確保に努めなければならない。
 よって、国においては、下記の対策をとるよう強く要請するものである。
                      記
1 安全な牛肉を安定的に供給する体制を確立するために、畜産農家に対して暴落以前の価格まで差額を補償することを基本とした対策に全力を尽くすとともに、流通、加工及び販売業者に対しても万全の対策を講ずること。
2 現状での一時的なBSE関連つなぎ資金や緊急対策事業資金では有効な対応策とは言えず、再建のための補助制度と利子補給を加味した長期的に返済可能な融資制度を創設すること。
3 肉用牛の出荷調整により出荷が進まないことに加え、廃用牛処理も進まず、これらへの対策の遅れにより、飼料代等の農家負担の増大や、BSE発生の不安が払拭されないことが指摘されていることから、早急に的確な現場対応に努めること。 

 食品表示偽装事件の徹底解明と食品表示制度の改善・強化に関する意見書

 先般、雪印食品がBSE(牛海綿状脳症)関連対策の一つである国産牛肉買い上げ制度を悪用し、外国産の牛肉等を国産牛肉と偽って、これを買い取らせたという極めて悪質な事件が発生し、雪印食品は、農林水産省からの詐欺容疑での刑事告発を受け、警察当局による一斉捜索を受けるに至っている。この事件に端を発し、他の食品会社においても、牛肉のみならず、豚肉、鶏肉、野菜等、他の食品について虚偽表示が行われていた実態が明らかになってきている。
 これらの事件は、ややおさまりつつあったBSEに伴う国民の牛肉不信を再び惹起させたばかりか、国民・消費者の食品表示制度全般に対する不信を増大させたものである。その意味で、まずこれらの事件に対する徹底的な解明を進めるとともに、その情報公開と厳然たる措置を取ることを求めるものである。
 また、これらの事件に関連し、「食品表示に全く信頼が置けなくなった」と現在の食品表示制度に対し、あからさまな不信感を表す消費者もおり、国産牛肉買い上げ制度におけるチェックを、より一層厳重にするとともに、現在の食品表示制度のあり方を抜本的に見直す必要がある。
 食品表示制度が不十分であるならば、国民・消費者に正しい情報が伝わらないだけでなく、国民の健康と生命にかかわる重大事を起こしかねない。
 よって、国においては、下記の事項に関して速やかに対応するよう強く要請するものである。
                       記
1 国産牛肉買い上げ制度による保管中の牛肉について不正がないか徹底解明することはもとより、他の食品についても表示に虚偽がないか総点検を行うこと。
2 JAS法や食品衛生法等の関係法における食品表示制度の抜本的見直しを行い、名称、原材料名、内容量、賞味期限、製造・輸入業者名及び生産地等のより詳細な表示を行わせ、その内容のチェック等、監視制度の強化・充実を図るとともに、違反者への罰則を強化すること。 

 小児救急医療体制の充実・強化に関する意見書

 近年、小児救急医療体制の不備から、小児救急患者の医療施設たらい回しや患者輸送の手遅れから重大な事態に至るなどの問題が全国各地で発生している。
 小児科医そのものの数は近年横ばい状況であるものの、開業医の高齢化等に伴う診療施設の閉鎖や、ビル診療所等の増加などから、特に休日や夜間の小児救急医療体制の不備がクローズアップされ、大きな社会問題となっている。
 また、患者・保護者の専門医指向等による小児救急患者の大病院集中と、共働き世帯の増加に伴う休日・夜間診療ニーズの激増が大病院小児科医等の激務と過労を招くとともに、それらがさらに小児科医志向の抑制に一層の拍車をかけていることが指摘されている。
 こうした事態に対し、厚生労働省は、平成11年度から3カ年計画で、全国360地域の第2次医療圏ごとに、365日、24時間体制でいつでも子供を診察することができる小児専門救急医療体制の整備を目指した「小児救急医療支援事業」をスタートさせたが、平成12年度時点での実施地域は18県51地域(全体の14%)であり、平成13年12月末時点でも25県100地域であり、全体の27.7%にすぎない。その最大の要因が全国各地における小児科医の大幅な不足であり、各都道府県における小児救急医療の体制整備を極めて困難にしている。
 よって、国においては、以上の現状にかんがみ、これまでの小児救急医療体制のあり方を抜本的に見直し、下記の事項について早急に実現するよう強く要請するものである。
                      記
1 小児救急医療及び小児医療にかかわる社会保険診療報酬の引き上げを図ること。
2 第2次医療圏(平均人口35万人)に最低1カ所ずつ、24時間対応小児専門救急医療体制が確立されるよう早期整備を進めること。そのため「小児救急医療支援事業」の抜本的見直しと充実・強化を図るとともに、国の助成を強化すること。
3 都道府県における小児医療の中心センターとしての中核的小児医療機関の整備を計画的に行うこと。
4 大学医学部における小児専門医の養成と臨床研修の充実を図ること。 

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