請願、陳情の内容 (平成14年6月市議会定例会)


最終更新 2002.06.21 


目  次


 就学援助の充実について

 長く続く不況の中で、失業や倒産、収入減など家計が逼迫している家庭がふえていることに伴い、学校納入金を納められない家庭も増加し、就学援助を必要とする家庭が多くなっています。
 しかし、就学援助の国庫補助が「予算の範囲内での補助」となっているため、地方自治体が認定した件数への補助率はここ数年低下しており、その結果、自治体予算の「持ち出し」になり、援助件数を減らすなどの状況があります。
 また、アトピーなどアレルギー性疾患は、国民の3人に1人が羅患しているといわれていますが、アトピーなどアレルギー性疾患が学校病の指定になっていないために、検査や治療、アレルギー除去食などに多くの費用がかかり大きな負担になっています。
 このような状況を御理解いただいて、次の事項について国会及び関係行政庁に意見書を提出していただくよう請願します。
                   記
1 地方自治体が適用する就学援助の件数については補助し、必要な家庭が制度を活用できるように予算をふやすこと。
2 学校保健法施行令第7条において、アトピーなどアレルギー性疾患を学校病に指定すること。

 米政策の見直し中止及び米づくりと稲作経営を守る米政策について

 政府が計画している構造改革の農業版「米政策の見直し」(案)は、「非効率部門の創造的破壊」の名のもとに、米生産農家の8割を担う兼業農家を農政の対象から排除し、生産と流通の両面にわたって大企業の支配を一段と強め、日本農業を根底から壊す重大な問題をはらんでいます。
 第1に、稲作経営安定対策(価格下支え)から「副業農家」を外す一方、減反政策の完全遂行と国の価格保障の責任放棄による価格下落によって、「主業農家」の経営自体をも成り立たなくさせるものとなっていることです。
 第2に、計画流通米を廃止し、政府による米の供給、流通、管理責任を放棄することです。大企業の流通、価格支配を野放しし、戦前のような無責任で無謀な米投機が繰り返される危険があり、単位農協や中小卸、小売業者の経営も成り立たなくさせてしまうことです。
 第3に、減反推進の手法が、面積から数量配分とし、豊作時の青刈り、えさ米処理を自動的に行うとともに、安値銘柄への転換などで農家の生産を制限し、「水田農業再編計画」の柱を兼業農家を排除させることに置き、超過達成助成金を含めて、1集落平均、わずか20万円(10アール当たり880円程度)の「つかみ金」で、行政主導から農協主導減反で強行しようとしていることです。
 第4に、国産米の備蓄数量をわずか100万トンに半減させ、米「余り」の主因であるミニマム・アクセス米の輸入はあくまで聖域とし、米の完全輸入自由化を図ろうとしていることです。
 このような米政策が施行されると日本農業の基幹である稲作が致命的打撃を受けることは必至です。
 米づくりと稲作経営を守る農政に転換させるため、「米政策の見直し」を中止し、ミニマム・アクセス米の削減、廃止、米価の下支え制度の確立など、米づくりと稲作経営を守り、食料自給率の向上を図る農政へ転換することについて、国会及び関係行政庁に意見書を提出してくださるよう請願します。

 秋田温泉入口バス待合室の改善等について

貴職におかれましては御清栄のこととお慶び申し上げ、日頃当地域の発展にお力添えを賜り御礼を申し上げます。
 当地域は近年、道路の新設や拡幅、新しい団地の誕生等、活力に躍進が感じられるようになり、また、温泉等の手近な娯楽を求める風潮も相まって秋田市民はもとより広く県内外からの観光客の増加の兆しも見られるようになっております。これは、多くの人々を本市に招き、将来にわたって市の発展に寄与できる要素の一つになり得るものと考えております。
 既存の温泉入口のバス停は北西方向に大きな開口部があり、冬の季節風により雨や雪が真っ向から吹き込むため、待合室の中でも傘をさしたり、待合室の陰(外部)に風をよけるために避難しなければいけない状態になっております。
 秋田市の観光地である温泉地のバス停がこのような状態であるために、温泉帰りの客等からは「せっかく温まったのに、湯冷めをしてしまう」といった声もあり、特に暖かい地域からの観光客にとっては、耐え難い「雪国」を感じるようであります。
 当地域の冬を考えた場合、単に道路に面したバス停の構造では、適したものではなく、当市行政が標榜する「人にやさしく」の理念からは、かなりかけ離れたものであり、残念に思うところであります。
 関係者で研究した結果、秋田市立美術工芸短期大学教授である山本毅氏等が同校紀要第6号(2001/12)に発表しております「地域におけるバス利用支援のためのデザイン研究」にある内容が、現地調査を重ね、気象条件や諸々の条件を鑑みデザインしたもので、「人にやさしく」の理念を追求したものであり、細部にまでその考えが行き届いており、最適との結論を得ております。
 バス停の改善を求める声が地域住民のみならず、本市を訪れた観光客の間からも聞かれるようになっておりますので、是非とも解決して、訪れた観光客が「美しく優しい秋田市」との印象を抱かれることを強く願うものであります。
 また、横山金足線の延伸に伴い、手形山トンネルの開通や道路の拡幅が進み、車の交通量が大幅に増加しており、温泉利用者や地域住民の道路横断が難しくなりつつあります。とりわけ温泉地内の町内に進入する道路は交差ができない狭さであるために、県道側に渋滞ができ、追い越し車との接触事故が発生(歩行者との人身事故も発生)する状態となっております。特に積雪期には進入路の急勾配もあり、一層の渋滞が地域住民を危険にさらしている状態であります。
 当地域には「秋田温泉さとみ」「秋田温泉プラザ」「温泉センターりらっくす」があり、年々盛況の様相がうかがうことができます。しかし、周囲を取り巻く環境にはいまだ観光地として発展するための条件が整っているとは必ずしも言えない状況であると考えております。
 地方税法では、入湯税にかかわる規定があり、同法第701条では、環境衛生施設や消防活動に必要な施設整備、観光施設の整備を含めた観光の振興を目的とした、いわゆる「目的税」であるとしています。 
 地方財政の緊縮の折、何かと難儀なこととは存じますが、いまや「バリアフリー」は安全で快適な暮らしにはなくてはならない時代となっており、国も県もそれに向けての取り組みを始めております。風雪から人々を守り、使用する皆がほっとするような「人にやさしい」施設こそが、その理念にかなうものと考えており、さらには、他県からより多くの観光客を招き、本市の発展にも寄与できるものと考えております。
 つきましては、下記事項について実現してくださるよう陳情します。
                       記
1 市営バスにおける温泉入口のバス停(上り線側)の待合室を、北西方向からの季節風を遮断できる待合室へ改善すること。
2 秋田昭和線から秋田温泉プラザへの進入路付近へ、住民や観光客が安心してバス停に渡るための横断歩道及び信号機を設置するよう、県に対して要望すること。

 有事関連三法案の慎重審議について

政府(小泉純一郎首相)は国会に「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正法案」「安全保障会議設置法改正法案」のいわゆる有事関連三法案を提出し、重要法案として今国会での成立を目指しています。
 しかし、これらの法案は憲法第9条を保持する我が国にあって、武力攻撃に加え、武力攻撃が「予測」される事態への対処を求めていることなど、従来の概念を大きく変える内容となっています。
 特に、「武力攻撃事態法案」にあっては、「武力攻撃事態」の定義(周辺事態法でいう武力攻撃との違いなど)のあいまいさ、憲法が禁じる集団的自衛権とのかかわり、地方分権の理念に逆行する首相の指示や代執行と権限強化、私権制限につながる民間人への罰則規定など、本法律案はいずれもあいまいさが多い内容となっており、憲法と相反する条項、自治権、国民の基本的人権や私権を制限する条項など、いまだ解明されないことが多くあり、現状では憲法の理念に反する法律と言えます。
 ガイドライン法、周辺事態法に加え有事関連三法案の成立で、事実上戦争への準備体制が整ったとまで言われています。それゆえ、国民と合意を図る慎重な審議が必要です。
 テロ対策や不審船事件、治安問題や災害対策の対応は個別法で十分です。「有事関連三法案」にかかわる公聴会日程の強行採決は、法案の内容からしてあまりにも短兵急です。冷戦構造が崩壊した現在、日本が外国軍隊からの攻撃を受ける可能性はほとんどなくなっています。緊急な法律制定の意義はまったくありません。
 むしろしっかり議論しなければならないのは、防衛庁の情報公開請求者リスト作成問題(思想調査など)での一連の対応や、福田康夫官房長官の非核三原則の見直しの可能性に言及した発言などです。秋田市議会は昭和59年12月に非核平和都市宣言を決議していますが、前述の発言は、秋田市民として非常に残念な発言であり厳しい自己反省を求めます。
一方、6月1日、2日に行われた共同通信社の重要法案に対する国会での優先順位についての世論調査では、有事関連三法案を挙げたのは19.9%にすぎず、健康保険法改正案(36.0%)、あっせん利得処罰法改正案などの政治倫理関連法案(35.8%)を大きく下回っている状況からしても、終盤国会は健康保険、政治倫理にかかわる法案を先議しながら、景気対策や雇用問題を最重点対策として取り組むべきです。
 「有事関連三法案」は、個人や自治体にかかわる重要な要素を持つ法案であるだけに、地方自治体や住民(市民)の納得、理解のための審議を十分尽くすべきと言えます。
 このような観点から、「有事関連三法案」について慎重に審議し、強行採決などを行わないよう国会に意見書を提出していただきたく陳情いたします。

 待機児童解消と公的保育システムの維持について

 拝啓、時下ますます御清栄のこととお慶び申し上げます。
 日頃より、児童福祉行政、とりわけ保育行政に御配慮賜り、児童福祉の向上に寄与されておられることに心より敬意を表します。
 今、保育をめぐるさまざまな課題が指摘されており、特に都市部を中心とする待機児童問題は喫緊の課題となっております。
 私たち私立認可保育園は、待機児童解消、多様な保育ニーズの受けとめのため、最大限の努力をします。具体的な対策を進めるためには、行政の積極的な御支援が必要であり、ともに考えるようお願いします。
 つきましては、各市区町村議会におかれましては、さまざまな御事情もおありかと存じますが、明日の日本を担う子供の健やかな育ちを願う私たちの願いを御理解いただき、下記事項につきまして、何とぞ御協力くださるよう陳情いたします。
                   記
1 待機児童の多くが存在する都市部にあっては、保育園にかかわる用地の確保が最大のネックポイントとなっているので、遊休市有地や公共施設の活用、既存の公共施設の転用、民間所有建物の借り上げ等の方法で土地・建物を確保し、社会福祉法人への貸し付けによる保育園新設、分園設置、公設民営に活用すること。  
2 公設民営の計画立案、公募に当たって、委託先としては福祉の理念に基づいて設立された社会福祉法人を基本にし、事業理念、事業計画、事業実績に基づいた公正な選考をすること。
3 民間性を生かした自由で柔軟な経営が可能となるよう、できるかぎり土地または土地・建物の貸与による民設民営方式を採用すること。
4 公設民営方式を採用する場合、入札方式は無理な人件費圧縮を招き、長期的に見れば、保育の質の低下につながるので、委託費は民設民営の場合の運営費に準ずるものとし、委託費の切り詰めをねらった入札方式はとらないこと。
5 市立保育所においても、待機児童解消、多様な保育ニーズの受けとめのため最大限の努力をすること。
6 保育所で十分に受けとめきれない保育ニーズを満たすため、一時保育事業、家庭的保育事業、ファミリーサポートセンター事業、病後児保育室などの国の制度を活用し、補完的な諸事業を含めた保育システムの整備をすること。
7 直接契約や利用者に対する直接補助方式への転換は保育を市場競争システムに委ねるものであり、保育を荒廃に導き、未来を担う乳幼児の健やかな育成を損なうものであるので、現行児童福祉法による保育制度を守るために、そのような改革案には市として反対の意思表示をすること。

 労働者の雇用、失業及び中小企業対策の強化について

 地域住民の命と暮らしを守るために御奮闘の貴職に敬意を表します。
 今日、長引く不況のもとで雇用の危機が深刻です。12月の完全失業率は史上最悪の5.6%、完全失業者は337万人となっており、秋田県内の雇用情勢を見ても、有効求人倍率が0.36と10カ月連続で悪化しています。
 大企業の引き続く大規模なリストラの強行と政府が進める不良債権の「最終処理」(企業の清算・整理淘汰)がもたらす中小・零細企業の大倒産によって、さらなる大量失業が生み出されることは必至です。
 こうした労働者の大量失業は、労働者生活はもとより、地域経済・社会の深刻な破壊をもたらすものとして、雇用不安の解消は一刻も猶予できないものになっています。
 このような状況のもとで、今、政府に求められていることは、@大企業を中心としたリストラ、人減らしを規制し、「働くルールを確立」すること、A膨大な失業者に対する生活保障と公的責任による就労確保などに全力を挙げること、B不良債権の「最終処理」による労働者・国民・中小零細業者への犠牲転嫁を許さないことなどです。
 よって、地域労働者の雇用と地域経済の安定を図る上から、下記の事項について国会及び関係行政庁に対し意見書を提出してくださいますよう陳情いたします。
                     記
1 最高裁判例で確立されている「整理解雇の4要件」を踏まえた「解雇規制法」を制定すること。
2 合併・分割・営業譲渡など企業組織の再編を理由とする解雇や労働条件の不利益変更を禁止する「労働者保護法」を制定すること。
3 労働時間の短縮で雇用を拡大するため、政府公約の年間1,800時間(所定内1,653時間、所定外147時間)の早期実現に向け、「ただ働き・サービス残業」を厳禁し、時間外労働の上限を法的に規制すること。
4 国の基準に照らしても要員が不足し、日経連なども主張している介護従事者、看護婦、教員、保育士、消防職員など公務・公共部門での要員増、さらには特別養護老人ホームを初めとする福祉や保育など生活関連施設の建設、安全・防災対策、市街地や公共施設のバリアフリー促進など国民生活関連事業の拡大で雇用を拡大すること。
5 長期失業者の増大のもとで、「つなぎ就労」として実施してきた「緊急地域雇用特別交付金」制度の来年度以降の継続と交付金の増額、対象業務の拡大など改善を図ること。
6 雇用保険給付期間を当面300日間延長すること。なお、失業期間中は税や社会保険料の減免、住宅ローンの繰り延べ措置を行うこと。
7 「不良債権処理」を理由に中小企業を経営困難、倒産に追い込むような「融資打ち切り」や「貸しはがし」が行われないよう、金融機関への指導を徹底すること。

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