意見書 (平成14年9月市議会定例会)


最終更新 2002.10.01 


秋田市議会の意見として、国会や関係行政庁に送付します。

 地方税源の充実確保に関する意見書

 現在、地方公共団体は、積極的に行財政改革に取り組み、効率的な行政体質の構築に努めているが、その財政運営は、長引く景気の低迷による税収減や景気対策に伴う公債費負担の増加などにより危機的な状況にある。
 その一方で、少子・高齢化の進展に伴う地域福祉施策の推進、循環型社会の構築に向けた環境施策の推進、生活関連社会資本の整備、地域産業の振興対策など、地方公共団体は、多様化する住民の行政需要に取り組んでいく必要がある。
 このような状況において、真に地方分権に資するものであるという観点から、地方税源の充実確保を図っていくことが極めて重要である。
 よって、国においては、地方分権を一層推進する観点から、平成15年度税制改正に向け、地方税源の充実確保を図るため、特に下記事項を実現するよう強く要請するものである。
                     記
1 固定資産税は都市の基幹税目であることを十分に考慮し、平成15年度の固定資産の評価替えに際しては、現行水準を堅持する等、その税収の安定的確保が図られるようにすること。
2 ゴルフ場利用税、事業所税、特別土地保有税及び不動産取得税は、地方公共団体の貴重な財源となっていることから、現行制度を堅持すること。 

 米政策の抜本的見直し反対に関する意見書

 食糧庁の「生産調整に関する研究会」(座長、生源寺真一東京大学大学院教授)は、去る6月に中間取りまとめを発表した。この内容は、減反は生産者みずからが主体的に取り組むこと、豊作などで発生した過剰米は生産者の自己責任を基本に処理すること、需給計画を策定する第三者機関を設置することなどの方向を打ち出し、それは国の関与を大幅に後退させ国と農業団体の役割を根本から見直すというものである。言うまでもなく、どこの国でも食料政策はその国の基本であり、国家存立の基本であると考える。米国やEU各国でも食料政策と独自の保護政策、そして補助制度はすべての国にあり、食料安保と定義されるゆえんである。この中間取りまとめは、国の財政負担削減を大義名分にし、40%程度が続く食料自給率への対策、主食である米の安定的な生産や供給への対策などが明示されておらず、生産者・消費者にとっても農業政策を放棄した農林水産省の姿勢と受けとめざるを得ない。
 日本農業、とりわけ稲作を中心とした経営の農業と農村が、今後も国民に対する食料の安定供給と国土保全、環境保護としての多面的機能保全に対する使命を果たし、後継者が希望を持って農業に取り組むためには、食料・農業・農村基本法が定める農業の持続的発展と食料自給率の目標達成に向けて、農業者を含めた国民合意の得られる確かな政策が求められている。
 よって、国においては、「生産調整に関する研究会」の中間取りまとめにあるような米政策の抜本的見直しを行うべきではなく、新たな米政策確立に向けて、下記事項について確実に実施するよう強く要請するものである。
                   記
1 食料の自給率向上と安定供給を図る上で、国の役割と責任を明確にすること。
2 生産調整の未実施者や計画外流通米及び過剰米処理に対する対策等の面で公平性を確保すること。
3 再生産を確保する経営所得安定対策を早急に確立すること。
4 WTO農業交渉については、生産現場で問題となっているミニマム・アクセス米の縮減、撤廃を図るとともに、農産物の特性に対応した国境措置の堅持を実現すること。 

 秋田市内の県が管理する河川の早期改修に関する意見書

 秋田市において、8月11日未明から翌12日夜まで降り続いた大雨は、12日の24時間雨量が市街地で120ミリ、最も多い仁別地区では154ミリという近年にない豪雨であり、これにより大きな被害を被った。
 この雨による秋田市の被害状況は、住宅の床上浸水62件、床下浸水397件、市道災害13路線13カ所、地下道通行止め4カ所など市民生活に大きな影響があったほか、農地農業用施設災害18カ所、林道災害11路線24カ所、水田冠水397ヘクタール、畑地冠水53ヘクタールなど、農業・林業関係でも大きな被害となっている。
 その中でも、特に太平川流域で被害が大きく、同河川が氾濫した広面谷内佐渡地区では約100世帯に、また、水位が高くなり排水が逆流した楢山古川新町、楢山南新町下丁地区では20世帯に避難勧告が出され、そのうち32世帯、85人の方々が東部公民館と広面小学校、築山小学校に避難する事態となった。本市としても災害警戒対策室を対策部に切り替えるなど万全を期したが、広面谷内佐渡地区では胸まで水につかるところもあり、ゴムボートでの避難が行われるなど住民にとっては不安な夜を過ごすこととなった。
 秋田市内には、太平川、猿田川、馬踏川、新城川及び草生津川等、秋田県が管理する河川が12本あり河川整備基本方針に基づいて河川の改修を行っているが、太平川の才八工区では昭和35年度から平成31年度まで、新城川の飯島字堀川地区から上新城中地区の区間では平成3年度から平成40年度までかかるなど、完成するまでには長期間を要するとされている。しかし、今後、豪雨があると同様の災害が起きる可能性が憂慮されており、早期の河川改修が望まれている。
 よって、秋田県においては、河川管理者として住民の生命と財産を守るため、太平川、猿田川、馬踏川、新城川及び草生津川等の河川を可能な限り早期に改修するよう強く要請するものである。

 食品の安全確保に関する意見書

 本年初頭の雪印食品から最近の日本ハムに至る我が国有数の食品企業による牛肉偽装事件や、他の食品企業による食品表示偽装事件が連鎖的に発生している。これらの表示偽装事件の続発は、食品表示に対する国民の信頼を大きく失わせるとともに、食品そのものの安全性と品質に対する消費者の不信感を増大させている。
 一方で、今年7月現在、検疫所で摘発されただけでも40件を超える中国産の輸入冷凍ホウレンソウから、有機リン系殺虫剤であるクロルピリホスを中心に、最高で基準の250倍もの残留農薬が検出されるとともに、輸入健康食品による死亡事件が発生するなどの健康被害問題も大きな社会問題になりつつある。
 食品の表示と監視は、現在、食品衛生法、JAS法、景品表示法等の複数の法律によってなされているが、そのチェック体制が不十分なため、こうした偽装表示の横行を許してきた。また、消費者・事業者双方にとってわかりにくい制度ともなっている。
 食品は国民の生命と健康の維持に不可欠なだけに、その安全性の確保は最優先課題である。国は、これまでの生産者優先の行政を深刻に反省し、国民優先・消費者優先の食品安全行政を確立する必要がある。その中の一環としての食品表示は消費者が食品を選択する唯一の手段であることから、このような偽装表示が今後二度と行われないよう、国として抜本策を講じるべきである。
 よって、国においては、下記の事項を早期に実施することにより、食品の安全性確保と信頼できる食品表示制度の確立を図るよう強く要請するものである。
                        記
1 食品の安全性確保に関する包括法である「食品安全基本法(仮称)」の制定に当たっては、食品の安全性強化と信頼できる表示制度の確立が図られるようにすること。
2 内閣府に設置予定の「食品安全委員会(仮称)」においては、国民・消費者の代表を必ず参加させるとともに、各省庁の連携と必要な予算の確保を図ること。
3 食品衛生法に基づく残留基準が未設定の農薬については、早急に残留基準値を設定するとともに、消費者を含めた監視体制の強化を図ること。
4 健康被害の原因となる輸入食品や禁止農薬等を使用した輸入食品については、水際でのチェック体制を強化するとともに、輸出国に対し是正措置を求めること。
5 食品表示においては、原産地表示の徹底を図るとともに、「消費期限」「品質保持期限」及び「賞味期限」の表示について、用語や定義を統一し、消費者にわかりやすくすること。

 奨学金制度の拡充に関する意見書

 長引く不況によるリストラや賃金カットなどにより、所得の喪失や大幅な減少などを強いられている世帯が数多く発生している。そのため、高校・大学等の中退や大学等への進学の断念を余儀なくされるケースがここ数年高い割合で推移している。
 日本育英会を中心とした我が国の公的奨学金制度は年々充実し、平成10年度の貸与人数約50万人から平成14年度には約80万人まで拡大している。また、平成11年4月にスタートした大学、短大、専修学校(専門学校)の学生等を対象にした新しい有利子奨学金「きぼう21プラン」の貸与人数枠も年々拡大し、旧制度だった平成10年度に比べ平成14年度は約4倍の39万2,000人となっている。さらに、保護者の失業や死亡、事故などによる家計急変があった場合に貸し付ける「緊急採用奨学金制度」(無利子)も年間約1万人の利用に備え、随時申し込みができるようになっている。
 政府においては、大学生総数の約2倍の規模の奨学金提供がある英国や、国と民間が多種多様な奨学金を手厚く提供している米国等に比較し、我が国は奨学金制度がまだまだ遅れていることを認識し、一層の充実を図るべきである。また、我が国の奨学金制度は、外国大学の日本校に通学する学生や外国留学希望者には適用されないことから対象の拡大を図るべきであるし、さらに、物価高の日本で学ぶ留学生や就学生も急増している現状を踏まえ、よき日本の理解者となる彼らに対する公的支援の拡充も図っていく必要がある。
 よって、国においては、教育の充実こそ最も優先すべき未来投資であることを認識し、下記の施策を早期に実現するよう強く要請するものである。
                      記
1 大学、短大、専門学校生等への奨学金制度の対象枠をさらに拡大すること。
2 大学、短大、専門学校等への進学時の入学金について、これを奨学金の対象とする制度を創設すること。
3 海外留学希望者等への奨学金制度を創設すること。
4 留学生及び就学生の学習奨励費の拡充に努めること。

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