意見書 (平成14年12月市議会定例会)


最終更新 2002.12.20 


目 次


秋田市議会の意見として、国会や関係行政庁に送付します。

 道路整備財源の確保と道路整備の促進に関する意見書

 道路は、国民生活や経済・社会活動を支える最も基礎的な施設であり、その整備をより一層推進することが必要不可欠である。
しかし、政府においては、受益者負担の考えに基づく合理的な制度である道路財源を堅持し、道路整備を重点的に行わなければならないこの時期に見直しすることの論議がなされている。
これは、道路整備を切望する国民の声に反するとともに、道路整備が地域間の連携や活力ある地域づくり、さらには長期低迷する経済状況の克服に果たす役割を全く理解していないためになされている論議であり、地方の自立、多様性に富んだ多軸型国土の形成を放棄するものである。
 よって、国においては、道路整備の重要性を深く認識し、次の事項について特段の措置を講ずるよう強く要請するものである。
                 記
1 道路財源については、受益者負担の原則を堅持し、道路整備予算に充当すること。
2 高速道路の整備については、採算性や効率性のみに偏重することなく、広域的・多角的な観点から検討すること。
3 豊かで活力ある地域づくり・都市づくりを推進するため、高規格幹線道路から市町村道に至る道路網の整備を一層推進すること。
4 雪国における生活の安定確保と、地域振興を図るため、冬期の道路交通対策を推進すること。  

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による日本人拉致問題に関する意見書

 9月17日に行われた日朝首脳会談は、長年の懸案だった両国の国交正常化交渉に道筋をつけた歴史的な会談であったが、北朝鮮側が明らかにした日本人拉致問題の情報は、我が国にとって、到底容認できるものではない。
 特に、日本人拉致被害者の8人の方が死亡していたとされる情報は、拉致された全員の生存を深く信じ、祈り続けた家族のみならず、日本国民すべてに大きな衝撃を与えたものである。
 しかし、その情報に対しては、家族や日本側の調査などから、死亡とされた方々の科学的な分析では本人ではないとの結果が示されるなど、北朝鮮側の調査内容の信憑性に大きな疑問を抱かざるを得ない状況である。加えて、秋田県内にも拉致されたとされる方を含め、相当数の被害者がいるとの情報も寄せられ、拉致問題がさらに拡大する方向にある。
 また、遅々として進まない日朝交渉の中で、既に帰国した拉致被害者の北朝鮮に残してきた家族の処遇も解決すべき大きな問題として残されている。
 12月4日には、拉致被害者等の日本での生活支援対策としての法律が参議院で成立したが、政府は、拉致の可能性が指摘されながら対処できなかった経緯を踏まえ、被害者の生活環境整備はもちろん、精神的な支援を含めたきめ細やかな支援策を講じるのは当然の責務であると考える。  
 よって、国においては、国の責任において、拉致問題全体の真相を究明するとともに、拉致被害者への支援並びに拉致被害者の家族に関する問題に全力を傾注し、早期に解決するよう強く要請するものである。 

 今日の米問題解決に向けた施策の実施等に関する意見書

 国民の主食である米の管理が、食糧管理法から新食糧法へ移行して以来、つくる自由と売る自由が約束されてはいるが、WTO農業協定によるミニマム・アクセス米の受け入れ、需給調整としての転作強化などの我が国の米政策は、過剰米の在庫を基調とした価格の下落や担い手不足等とも相まって、農業と農村、そして地域経済全体にも深刻な影響を及ぼしている。
 このような中、新農業基本法が目指す食料自給率の向上や安定供給及び国土保全、環境保全等の多面的機能の維持・発展は、活力ある循環型社会を形成するためにも喫緊の課題であり、そのための施策の充実・強化が強く望まれている。
 しかし、このたび政府が発表した「米政策改革大綱」は、@米の計画生産のための需給調整に対しては、当面、国の関与は認めているものの、平成20年度を目途に生産者・農業者団体が主体となるシステムを構築することとしていることに加え、第三者機関による生産数量配分方式へ転換するなど、国の役割が不透明であり、生産現場の混乱、崩壊につながりかねない。A需給調整の実行確保に対する助成措置として、水田農業の産地づくり対策と米価下落対策を進める「産地づくり推進交付金」の創設が予定されているが、現行水準以下となることが予測されており水田農業の展望が見えない。B過剰米対策としての短期融資制度は、生産者が主体的に責任を負う内容となっており、生産者の理解は得がたい。C担い手に対する経営安定対策は、面積要件等が極めて限定されており公平さに欠けるなど、懸念される課題が多く、将来の明確な方向を示しているとは言い難い。
 よって、国においては、国民の主食であり、日本農業そのものとも言える米の問題については、国の責任で解決すべきであり、下記事項を確実に実施するよう強く要請するものである。
              記
1 米の需給調整については、生産者及び農業者団体ともにみずからの課題として取り組むのは当然のことであるが、食糧安全保障と国土の均衡ある維持・発展のために改正が予定されている「新食糧法」の中で問題点を改善するとともに、国の役割と責任を明確に位置づけること。
2 「米政策改革大綱」が掲げる水田農業経営の安定と発展、水田の利活用促進等による自給率向上施策及び担い手経営安定対策の推進に当たっては、施策の継続性を考慮するとともに、現行水準を下回らないよう十分な財源措置を講じること。
3 WTO農業交渉については、アメリカやケアンズ諸国等による輸出国論理の提案に屈することなく、ミニマム・アクセス米の縮減・撤廃・国境措置を主張する日本提案を貫き通すこと。   

 地域経済の再生に向けた抜本的な経済対策に関する意見書

 「経済国会」と位置づけられた臨時国会は12月13日に閉会したが、現下の経済状況が厳しい局面にさらされているにもかかわらず、国は危機感が薄いと言わざるを得ない。総務省が11月29日に発表した労働力調査でも、10月の完全失業率は5.5%と9月と比べ0.1ポイント上昇し、昨年12月と並んで過去最高となっている。特に男性の失業率が5.9%と過去最高を更新するとともに、完全失業者数は前年同月比10万人増の362万人で、19カ月連続して前年水準を超えるなど雇用情勢は悪化の一途をたどっている。
 こうした中で、秋田県内においては、来春高校卒業予定者の就職内定率は10月末で43.2%となっており、就職希望者は3,628人のうち、まだ1,569人しか決まっていないという状況であり、このままでは3月末の卒業時の内定率が90%を初めて切った昨年度よりも、さらに悪化する可能性が指摘されている。
 また、首都圏での建築ラッシュという状況に比して、地方の建設業の状況は深刻である。工場の閉鎖や住宅建設の減少で建設業界が不振の上、企業倒産、負債総額ともに増加の一途をたどっている。12月5日に発表された秋田財務事務所の県内景気予測調査でも、10月から12月期の景況判断BSI(ビジネス・サーベス・インデックス)は7月から9月期の前期調査に比べてマイナス幅が拡大している。
 こうした状況は確実に地方自治体にも影響を与えており、秋田市では法人市民税収入が前年度比で約5億円の減収と見込んでいるほか、秋田県でも8月時点の試算では、本年度の県税収入は前年度比で約140億円減少し、855億円近くになると予測している。このような状況が続くならば、高齢社会への対応や子供たち等の教育関係費を初めとする各種政策に大きな影響を及ぼすことは避けられず、地方の時代にあって、地方が個性ある発展を遂げるためにも、地域経済の活性化が必要不可欠である。
 よって、国においては、地方の実情を再認識し、早急に抜本的な経済対策を具体化するよう強く要請するものである。 

 無年金障害者の所得保障制度に関する意見書

 障害者基本法第20条では、「国及び地方公共団体は、障害者の生活の安定に資するため、年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならない」としている。しかし、学生や主婦が制度上加入を義務づけられていなかった時期に国民年金に任意加入しなかった期間、在日外国人が年金に加入できなかった昭和57年1月前、さらに、さまざまな理由で生じる保険料未納期間などに、傷病によって障害を持つことになった方は、公的障害年金を受けられず、その数は12万人を超えるとも言われている。
 これら無年金障害者は、重い障害がありながら公的障害年金が受けられず、その家族とともに厳しい生活を余儀なくされ、無年金障害者の会から厚生労働大臣へ出された要望書では、「私たちは、もうこれ以上、一方的な不利益と数々の社会的な差別につながる無年金状態に放置されていることに耐えられません」と述べている。
 一方、国会では、平成6年10月の衆議院厚生委員会、同年11月の参議院厚生委員会で、無年金障害者の所得保障について、「福祉的対応を含め速やかに検討すること」との附帯決議を採択している。また、今年1月には厚生労働大臣が、「無年金障害者問題について、できるだけ早く結論を出したい」と記者会見で発言し、7月には無年金障害者に対する「坂口私案」を出している。さらに、この12月4日には超党派の国会議員が「無年金障害者問題を考える議員連盟」を設立している。
このように、国会等においても無年金障害者問題の深刻さが徐々に認識されている中、無年金障害者の多くは支援する家族とも高齢化が著しく、一刻も猶予できない状況である。
よって、国においては、これら無年金障害者を救済するため、下記の事項を早急に実施するよう強く要請するものである。
             記
1 無年金障害者の実数把握と生活実態の調査を早急に進めること。
2 無年金障害者に対する所得保障制度を検討すること。 

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