最終更新 1998.06.18
1998年4月24日発行 No.90 平成10年3月市議会定例会から |
一般会計当初予算、前年度比1.7%減に
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3月定例会は、3月2日から20日まで19日間の会期で開催されました。
開会初日に市長から「平成10年度予算は、第8次秋田市総合計画の基本方針に立脚したもので、景気動向の先行きが不透明なことや、国の公共事業費削減方針により、厳しい財政状況のもとでの編成になった。したがって、緊急性・重要性等を踏まえて施策の優先度を判断し、限られた財源を最大限に活かすことに努めたものである。このような状況のもとで構築した新年度予算は、きらめく北の人間都市という目標に向けて着実な成果を刻むべく、市民生活の一層の向上をはかることを最も重視して編成したものである」等、市政を取り巻く諸情勢や議案の概要説明がありました。
今回の定例会は「予算議会」とも呼ばれており、通常の一般質問のほか、2日間にわたり各会派の代表7人による代表質問も行われました。また、9年度補正予算などの先議分も含め、延べ4日間にわたり各常任委員会を開催し、議案等について審査を行いました。本会議では、付託された議案等の審査経過とr結果について各委員長から報告を受け、討論の後、平成10年度秋田市一般会計予算等32件、条例等31件、意見書・決議6件、同意1件をいずれも可決、承認、同意しました。さらに請願・陳情3件を採択、9件を不採択、17件を継続審査とし、閉会しました。
予算
条例
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その他
同意
諮問
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会派を代表し、市政全般にわたり、市側の考え方を聞いた7人の代表質問の中から、主な質問と答弁の要旨を掲載します。
平成10年度はどのような施策を行うのですか。
小西 謙三議員
「潤いある快適空間都市」としては、大川端帯状近隣公園および秋操近隣公園を完成させるとともに、仮称御所野ふれあい地区公園の整備に着手するほか、高齢者や障害者が暮らしやすいように配慮した外旭川市営住宅9号棟を完成させます。
「はつらつとした産業活力都市」では、商店街の空き店舗を利用する商業者を支援するとともに、中小企業者への融資あっせん限度額を引き上げます。
「やすらぎの健康福祉都市」では、外旭川地区に老人デイサービスセンターを開設するとともに、ファックスによる119番通報を可能にします。また、リサイクルプラザを完成させ、資源ごみの再利用を推進するとともに、御所野事業所において新焼却炉の建設に着手します。
「ゆとりある教育文化都市」では、桜中学校を開校するとともに、仮称御所野中学校を建設し、中高一貫校についても検討を進めます。
「開かれた市民主体都市」では、八橋地区にコミュニティセンターを建設します。また、情報公開制度をスタートさせるとともに、行政改革大綱を改訂します。
これらの施策の実施により、きらめく北の人間都市の実現に向けて着実な歩みを刻みながら、市民生活の一層の向上に努めます。
中核市2年目として、新年度予算はどのような基本的な考え方で編成したのですか。また、市税の収入の見通しはどうですか。
今野 忠男議員
平成10年度は国、地方財政の厳しい背景のもとで、積極的な行財政改革を推進し、限られた財源の有効活用に努め、事務事業の緊急性、重要性を踏まえて施策の優先順位を厳しく選択しています。また、中核市2年目として、生活密着型の大規模事業である新焼却炉の建設に着手するほか、各種ソフト事業の充実に努めるなど、市民生活の一層の向上をはかっています。市税の収入の見通しについては、9年度当初予算と比較すると、個人市民税は特別減税の実施により、1.9%減の145億1千万円、法人市民税は景気の停滞状況から、金融保険業および建設業等の落ち込みが予想され、9.1%減の62億6千万円、一方、固定資産税では土地の負担調整と家屋の新増築などにより、4.2%増の197億9千万円、市全体では、0.6%減の445億300万円と見込んでいます。
活力あるまちづくりの観点から、地元商店街への支援策をどのようにとっていますか。
宇佐美 洋二朗議員
地元商店街への支援策としては、これまで市街地再開発事業、商店街近代化事業等を実施しており、通町の近代化事業もこの4月に完成します。また、ポイントカード事業の推進やイベント事業の実施を支援するとともに、街路灯設置、駐車場整備など共同施設設置事業に対しても引き続き助成を行い、さらに街路灯電気料補助率の引き上げにより商店街の負担軽減をはかります。
そのほか、空き店舗対策事業を新たに実施するほか、店舗近代化資金の貸付限度額の引き上げにより、店舗の改築等を促進し、魅力ある商店街づくりを推進します。
本市の国際交流を今後どのように推進していくのですか。
また、国際化や国際交流を進めている各種ボランティア団体に対して、本市が積極的に支援を行うべきではないでしょうか。
平沢 健治議員都市間交流事業については、これまでの友好姉妹都市等との交流のなかで育まれた経済、文化、スポーツなどの結びつきをもとに、草の根交流をコンセプトに、行政主導の交流から、市民主体による幅広い分野での交流を展開して行きたいと考えています。
そのため、平成10年度においては、青少年がホームステイ・プログラムなどを通し、異文化にふれ、国際理解を深めることを目的とした「青少年国際理解促進事業」を積極的に推進するなど市民レベルの交流活動をさらに拡大していきます。
また、市民の自発的で非営利の活動が、社会活動の新しい担い手として注目されていますが、今後こうした役割はますます重要になると認識しており、国際化や国際交流を進めるボランティア活動に対して支援や助成を行い、本市の国際化を一層推進していきたいと考えています。
最近、中高生のナイフによる事件等が相次いで発生しているが、子どもの健全育成のため、家庭や地域全体の教育力を高める事業を進めるべきではないでしょうか。
瀬田川 栄一議員現在、子育て支援センターに経験豊かな専門職を配置し、子育て全般にわたる相談と支援活動を行っていますが、今後なお一層センターとの連携を取りながら、公民館での家庭教育学級の開催やPTAの学習活動の支援など、母親、父親の家庭教育についての学習機会の充実に努めていきます。
また、本市では、有害環境浄化や事故防止、非行の未然防止など実践活動に取り組んでいるPTAの健全育成活動の支援に努めていますが、今後とも、子どもを見守り育てる地域全体の教育力を高めるための諸活動の支援に努め、健全な地域社会づくりを推進していきます。
本市の第1次、2次、3次産業の現状、並びに今後の見通しと対策はどうなっていますか。
加賀谷 孝一議員第1次産業である農林水産業は米価引き下げ、青果物並びに木材価格の低迷など景況は低迷しており、平成10年度からは生産調整の強化等により、景況は横ばい状況に推移するものと予想されます。第2次産業である製造業は、機械金属、木材業については、依然として需要が低迷しており、今後も模様眺め傾向が強く、生産高は低調に推移するものと予想されます。第3次産業の商業・サービス業については、大型店の売り上げや家電卸販売業は依然として前年を下回っていますが、店舗増改築等の設備資金貸出は若干伸びており、中小企業者の経営改善の意欲がうかがえます。
今後の対策としては、国の景気対策や県の経済対策の動向を見守るとともに、「秋田市農業・農村対策大綱」に基づく農業経営安定資金の融資や公共事業の前倒し発注、本市の中小企業融資あっせん制度の拡充などにより、対応していきます。
要介護認定審査でなぜ30%以上の判定ミスがおきているのですか。また、今まで以上の福祉サービスと自己負担が軽減されるよう、政府に申し入れるべきではないでしょうか。
米山 七郎議員要介護認定モデル事業においては、1次判定と2次判定の食い違うケースが全体の約3割程度となっています。その理由としては、調査員や審査員に要介護度に対する認識の程度に差があったことや、痴呆症状の評価の仕方などが考えられます。このようなモデル事業の結果等を踏まえて、国において判定方法等が修正されることとなっており、制度施行までには、信頼性の高い認定方法が確立されるものと考えています。
また、介護基盤の整備を含めたサービス提供量の確保と利用者負担の軽減等については、全国市長会としても国に意見書を提出しているところであり、今後示される政省令等の内容を見極めながら、的確に対応していきたいと考えています。
議案以外の市政全般にわたり、市側の考え方を聞いた3人の一般質問の中から、主な質問と答弁の要旨を掲載します。
郊外型店と中心商店街、一般商店街の役割分担についての基本認識、良好なすみ分けをどのように考えていますか。
赤坂 光一議員各商店街の機能と役割については、秋田市中小小売商業活性化ビジョンの中に示していますが、中心商店街としては、秋田駅から大町までの商店街を想定しており、センス、流行性、品質を重視した商品を主力とする買回り品を中心とした、広域型商店街と位置付けています。一般商店街としては、土崎、新屋などのような最寄り品中心の商店街を想定しており、利便性、実用性を重視した日常生活に必要な商品を主力とした、地域型または近隣型商店街と考えています。郊外型店は、豊富な商品と大規模な駐車場を備え、広範囲にわたる集客力を持っています。
また、すみ分けについては、進展した車社会においては、なかなか困難な課題ですが、今後、各商店街のもつ特性をより明確にし、単なる買い物の場としてではなく、地域と密接に関わりながら店づくりや生活の場としての機能を充実させることにより、すみ分けが可能と考えています。
大王製紙(株)の工場進出の可能性は、紙パルプ産業の動向、工業用水料金と控訴審問題の側面から考えればどうなっていますか。
新岡 雅議員平成9年の紙・板紙内需は、景気が足踏み状態の中にあっても、前年比2.3%増の3,143万6千トンと新聞用紙、塗工印刷用紙、段ボール原紙を中心に比較的順調な伸びを示しており、平成7年以降3年連続で過去最高を更新しています。長期的には、紙・パルプの生産は、今後も国内総生産の伸びと同じように伸びていくと考えられます。
秋田工場の着工、操業時期については、会社側から、工業用水の料金算定の方式についての適法性は理解をしつつ、多額の設備投資を決断するためには、控訴審の判決動向を見極めたい、との意向が示されました。県・市としては、1期・2期合わせて1,900億円に上ぼる設備投資にあたってリスクはできる限り避けたいという会社の考え方を理解し、2審判決およびその後の準備期間として、工事着工と操業開始をそれぞれ3年間延期するとの合意に至ったところです。
リサイクルセンターを御所野に移転しようとした理由、移転した場合の車両の効率化対策はどうなっていますか。また、カレット粉砕機の製品の利用状況はどうなっていますか。
榎 清議員リサイクルセンターの移転理由については、施設が老朽化してきたこと、敷地が狭いこと、さらに将来の資源化物回収の増加とペットボトルなど新たな分別品目への対応を図るため移転するものです。車両の効率化対策については、移転により収集距離が長くなり、現状より負担が大きくなる地域もありますが、現状要員の枠内で効率的に収集できるよう、試験的な収集走行による実態把握をもとに、収集体制の見直しを行っています。
また、カレット粉砕機は、平成6年夏頃からカレットの引き取りが有料となったことに対処するため導入しましたが、カレット砂の活用については、市道の31路線、約4,600メートルのアスファルト舗装に5%を混入しています。
シビックセンター構想について、コミセンや図書館などの既存の施設との整合性をどうはかっていくのですか。シビックセンターは、公民館・図書館などの教育文化施設、デイサービスセンターなどの福祉施設、体育施設、コミセンなどの地域交流施設など新たな市民需要に対応できる複合施設を建設する構想です。平成10年度にコミセンなどの既存公共施設の配置状況や市民ニーズの調査を行い、それぞれの地域の特性に応じ概ね10年程度で東西南北および中央地区に整備できれば理想であると考えています。
公債費の償還金はいつ頃ピークになるのですか。また、土木債が多いが、今後の見通しはどうなっていますか。公債費については、今後の借入状況により変わるものですが、平成8年度末までの借入実績を考慮して試算すると、ピークは平成14年度ごろになると推計しています。また、土木債については、普通建設事業に充当されるものであり、その内容は、舗装新設、道路橋りょう整備などの市民生活に密着したものであることから、今後も交付税措置のある良質な市債を借り入れるように努めていきます。
高齢者バス利用の実態調査について、内容と方法、実施時期と集約時期はどうなっていますか。詳細は決まっていませんが、市営バス38路線、中央交通7路線に1日3回乗り込み、70歳以上の方が何人、どこで乗って降りたかを調査し、また、その方にハガキを渡し、バスの利用状況、どんな優遇の方法が良いのかなどのアンケート調査を行いたいと考えています。そのほかに3千人くらいを対象にアンケート調査を考えており、実施時期としては、4月以降、社会福祉協議会の高齢者専門分科会に諮って調査票をつくり、10月頃に調査し、10年度内には集計したいと考えています。
粗大ごみの収集経費について、ステーション方式から戸別収集方式に変更し、ごみの収集量が減少したが、経費が増大している理由は何ですか。ステーション方式では、4月から11月まで年間約155日の収集でしたが、戸別方式では通年収集で年間240日であることと、戸別方式とステーション方式では収集の効率が異なるため、収集委託や受付委託などの経費が増大したことによるものです。
米価の下落等の対応は、認定農業者を中心に支援していくようですが、認定農業者以外の農家にはどう対応するのですか。米価下落分の8割を国が補てんしますが、認定農業者に対しては、県と市が一体となって、さらに1割のかさ上げ補てんするものです。認定農業者は、規模拡大等に当たって、機械の共同購入などに多額の投資をしており、このような意欲のある農家に支援しようとするものですが、現在認定農業者でない農家に対しても、認定農業者になるようPRするほか、引き続き共同による機械や施設の導入に対し、支援策を講じていきます。
スクールカウンセラー活用調査研究事業は、市内全校で実施することはできませんか。本事業は文部省の委託を受けて実施している事業であり、平成8年度からは2校を選択して行っています。児童・生徒のカウンセリングや教師に対する研修等に成果をあげていますが、臨床心理士が県内に13、4人程度しかいないことから、市内全校で実施することは困難です。なお、市独自では、教職員の研修を行い、教師自らカウンセリングができるよう努力しています。
青森市では、除排雪費に当初から多額の予算を計上していますが、除排雪は市民生活に密着したものであり、秋田市も、当初から、市民が安心できる十分な予算を盛り込むべきではないでしょうか。除排雪費の予算計上については、過去の実績、決算額の平均を参考としており、平成4年度から8年度までの5年間の平均が約2億2千万円であることから、平成9年度から当初予算として2億5千万円を計上しています。平成10年度も同額を計上していますが、今冬のように降雪が多い場合は、市民生活に支障のないよう、速やかに補正等の予算措置を講じ、適切に対処していきます。また、平成11年度予算については、9、10年度の実績等を踏まえ、長期予報、他都市の状況、契約単価等を研究し、議会の意見も採り入れながら対応していきたいと考えています。
停電や地震等の緊急時に備えての水道の配水ブロックシステムについて、平成22年度まで市内に48ブロックを整備するとのことですが、今後の計画はどうなっていますか。平成10年度は、川尻金属団地、および現在、管路近代化事業が終わっている大町、旭南、保戸野の4地区のブロック化を予定しています。それ以降の計画については、現在、漏水の頻度に応じて、市内の各地域で石綿セメント管、あるいは、明治、大正に布設された老朽管の布設替えを行っており、整備状況に応じてブロック化を進めていく予定です。