No.1587- 2004-10-08-
佐竹家が所有した最古の歌仙図

「三十六歌仙絵巻」は、鎌倉時代中期の作で、日本最古の歌仙図と言われています。
 肖像画は似絵の名手として名高い藤原信実、書は後京極良経によるもの。京都下鴨神社に伝来していましたが、江戸時代、秋田藩主佐竹家の所蔵品となったことから「佐竹本」と呼ばれました。佐竹家所有の時期は五代義峯の時か、八代義敦(曙山)の時という説などがあります。
 佐竹家が日本を代表する美術品である「三十六歌仙絵巻」を所有することは、佐竹家の文化に対する造詣の深さと源氏の名門としての格の高さを物語っています。

35億円で流転始まる
 「三十六歌仙絵巻」は、大正六年、東京で開かれた佐竹家所蔵品の入札会で、三十五万三千円(現在の金額で三十五億三千万円)という高額で落札され、日本美術史上空前の出来事として美術界を騒然とさせました。
 その後、あまりにも貴重で高額な美術品であることから、個人での所有は困難となり、一歌仙ずつ切り離され、財界の著名人らの手に渡ることとなりました。これが歴史的流転の始まりです。
 ちなみに、今回展示される柿本人麿は一万五千円(現在の金額で一億五千万円)、僧正遍照は五千円(五千万円)で落札。最高値は、斎宮女御の四万円(四億円)で、小野小町は二番目の三万円(三億円)でした。

前期展示
●国指定重要文化財「柿本人麿」(佐竹本)
展示期間▼10月22日(金)?11月4日(木)
柿本人麿…七世紀後半?八世紀ころに活躍した「万葉集」を代表する歌人。人麻呂とも呼ばれます。
和歌… ほのぼのと あかしの浦のあさぎりに
      島がくれゆく舟をしぞおもふ
●絵巻模写本上巻 
展示期間▼10月22日(金)?11月14日(日)
模写本/
当時の古筆第一人者・田中親美の作。絵巻切断の際、百組刷られ、歌仙図の持ち主のほか、メトロポリタン美術館、ルーブル美術館などに寄贈されました。
収録歌人/
柿本人麿、凡河内躬恒、大伴家持、在原業平、素性法師、猿丸大夫、藤原兼輔、藤原敦忠、源公忠、斎宮女御、源宗于、藤原敏行、藤原清正、藤原興風、坂上是則、小大君、大中臣能宣、平兼盛

後期展示
●国指定重要文化財「僧正遍照」(佐竹本)
展示期間▼11月19日(金)?12月2日(木)
僧正遍照…桓武天皇の孫。仁明天皇の信任が厚かったが、天皇の崩御により出家し、天台宗の高僧となる。好男子で「小野小町」との歌のやりとりでも知られています。
和歌…すゑの露 もとのしづくや世の中の
      おくれ先だつためしなるらん
●絵巻模写本下巻
展示期間▼11月19日(金)?12月12日(日)
収録歌人/
紀貫之、伊勢、山部赤人、僧正遍照、紀友則、小野小町、藤原朝忠、藤原高光、壬生忠岑、大中臣頼基、源重之、源信明、源順、清原元輔、藤原元真、藤原仲文、壬生忠見、中務

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