富嶽図
小田野直武 1749(寛延02)- 1780(安永09)
カテゴリー | 日本画 |
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制作年 | c.1777(安永6頃) |
技法・材質 | 絹本着色 |
寸法(cm) | H35.8×W54.6 |
受入年度 | 平13年度購入 |
富士山を消失点として周りの風景を次第に小さく、淡く色調を落として表すなど、遠近法を用いて描いた風景画である。西洋の銅版画にならい、鋭く力強い細線を重ねて風になびく木々を表し、空を飛ぶごく小さな鳥を描いて臨場感を高めている。秋田藩江戸留守居役平沢常富の『五十五日記』に記されているように、直武は1777(安永6)年に東海道を旅したと考えられている。本作は無落款ではあるが、その筆致や構図の取り方から直武作と同定される。実景写生にもとづく人間の視覚に近い風景は、従来の日本の絵画には見られなかったもので、当時の人々には驚くほど新鮮に映ったであろう。同様の富嶽図が複数伝わっている。