秋田市立千秋美術館 収蔵品データベース

千紫万紅

寺崎廣業 1866(慶応02)- 1919(大正08)

カテゴリー日本画 
制作年1913(大正2)
技法・材質紙本着色
寸法(cm)各H130.5×W63.4
受入年度平28年度購入

 廣業は信州上林に別荘を構え、毎年夏に文展出品作の制作にあたった。本作はその最初の作品であり、描かれた植物は当地での写生に基づく。一方、女性たちが奏する横笛、琴、箜篌、簫などの楽器や装束の紋様は、正倉院宝物に由来している。1907(明治40)年の「大仏開眼」制作にあたり、天平時代の美術品を研究して関心を深め、「鳥毛立女屏風」に影響を受け、唐美人を主題に女性の理想美を表現した。本作では描線の擦れを活かした筆致によって、その優美な女性像に生気を与えている。背景の植物は彩色の擦れを活かした没骨描により、地紙の白を効かせて岩絵の具のトーンを落とし、調和させている。1913(大正2)年第7回文展に出品し、装飾的で絢爛たる塗り絵のような表現が問題視された当時の絵画の傾向に対し、写実と装飾性を融合させて新たな表現方法を提示した代表作である。

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