秋山雨後
寺崎廣業 1866(慶応02)- 1919(大正08)
カテゴリー | 日本画 |
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制作年 | 1909(明治42) |
技法・材質 | 絹本着色 |
寸法(cm) | H111.0×W144.0 |
受入年度 | 令01年度購入 |
本作は信州での取材を基に制作し、1909(明治42)年第3回文展に出品された。この時同時に出品した「渓四題」が墨を基調に筆力と淡い色彩を調和させ、山水画に新たな境地を拓いた作品として注目されたのに対して、本作は俯瞰した構図と濃い彩色で趣が異なる。遠景には群青による濃密で立体感のある山がそびえ、中景には白雲と山並み、前景は麓を流れる川や田畑と、遠近表現への強い志向が感じられる。そのため発表当時から日本画ではなく洋画だとも評されたが、本作はあくまで伝統的な大和絵を基本とし、写実表現を加味することで独自の風景画を創出しようという意図で描いている。このような大和絵をもとにした写生風景画については、東京美術学校の教え子である松岡映丘へと受け継がれていくことになる。