高輪海景
小田野直武 1749(寛延02)- 1780(安永09)
カテゴリー | 日本画 |
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制作年 | 江戸時代(18世紀) |
技法・材質 | 紙本着色 |
寸法(cm) | H32.9×W51.1 |
受入年度 | 令01年度寄贈 |
江戸名所を描いた肉筆の眼鏡絵5点は旧渡邉紳一郎コレクションである。「反射式覗き眼鏡」を通して見る眼鏡絵は、鏡と凸レンズにより左右が反転し、描かれた風景などが立体的に浮き出して見える視覚効果を楽しむもので、舶載されてブームとなり、日本でも18世紀後半に制作された。庄内藩医鳥海玄柳が書いた『翁左備』により、直武は平賀源内の工房で浮絵、眼鏡絵等を描き、司馬江漢も初め直武に学んだと伝わる。この作品群は無落款ではあるが、鋭い筆致と破綻のない遠近表現により直武作と同定される。
本作は淡青色の空が画面の三分の二をしめ、広大な空間の広がりを感じさせる。水面に映る船の影は、銅版画のように平行する細い線で表している。直武旧蔵として伝わる17世紀オランダの風景画家ヤン・ファン・ホイエンの銅版画「穏やかな海」から構図や筆法を学びとり、富士を遠望する風景を写実的に表している。