浅春(太平山)
伊藤博次 1919(大正08)- 1999(平成11)
カテゴリー | 洋画 |
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制作年 | 1978(昭和53) |
技法・材質 | 油彩・キャンバス |
寸法(cm) | H97.0×W130.3 |
受入年度 | 令03年度寄贈 |
伊藤は秋田の風土性を「やりきれないほど重く、うとましくさえあることもあり、身についたシミとなっていても、画家の思想の底からにじみ出てくるとき、その人の個性となって作品に表れてくる」とした。その言葉どおり、本作からも伊藤の慣れ親しんだ秋田の風土が伝わる。冬のどんよりとした気候を表すようなモノトーンで、前方には屋根に雪の積もった住宅街、中程にビル群、背後に太平山が鎮座する。「浅春」は立春後間もない春の初めをさすが、秋田はまだ深い雪に覆われ、冷たい風が吹く。不自然なまでに直線的な建物の形が凍てつく北国の情緒を一層深めている。