湖畔の夏・寒月
寺崎廣業 1866(慶応02)- 1919(大正08)
カテゴリー | 日本画 |
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制作年 | 1907(明治40) |
技法・材質 | 絹本裏箔墨画 |
寸法(cm) | 各H178.0×W420.0 |
受入年度 | 昭59年度購入 |
明治30年代半ば以降、廣業は光の効果に注目し、墨の濃淡や筆触の変化による自然表現に取り組む。本作では裏箔の抑えた金地による装飾効果と、水墨による巧みな写実描写の融合をはかり、自然の感興を豊かに表現している。右隻はクローズアップした老松の幹と、湖面に浮かぶ一艘の小舟を対比させ、大胆な遠近表現により空間の奥行きを表している。樹木の葉や樹皮は一部を塗り残し、光の反射を表す。一方の左隻は、冬枯れの雑木林を月光が照らし、深閑とした空気を感じさせる。1901(明治40)年第1回文展に出品した「大仏開眼」の制作にあたり支援を受けた和久栄之助に贈られた作品である。