○秋田市自然環境保全条例

平成15年3月24日

条例第14号

目次

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 自然環境保全地区(第7条―第12条)

第3章 市民活動計画(第13条―第15条)

第4章 自然環境の保全等に係る配慮(第16条・第17条)

第5章 開発行為の届出等(第18条―第20条)

第6章 移入種の放逐等の禁止(第21条)

第7章 雑則(第22条―第28条)

第8章 罰則(第29条・第30条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、市長、事業者および市民の自然環境の保全、回復および創出(以下「自然環境の保全等」という。)に関する責務を明らかにし、ならびに自然環境の保全等に関し必要な事項を定めることにより、優れた自然環境および市民が親しむことのできる身近で良好な自然環境を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「自然環境」とは、大気、水、大地および動植物等を一体として総合的にとらえたもので、人間の生存の基盤である環境をいう。

(市長の責務)

第3条 市長は、この条例の目的を達成するため、次に掲げる事項について、その具体化のための措置を講ずる責務を有する。

(1) 自然環境の保全等に関する知識の普及および思想の高揚を図ること。

(2) 市民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「市民等」という。)が行う自然環境の保全等に関する自主的活動の促進を図ること。

(3) 地域の開発等に当たっては、自然環境の保全等のために必要な調整を講ずること。

(4) 自然環境の保全等および自然環境の持続的な利用のための施設の整備を図ること。

(5) 自然環境の保全等のための調査、研究、情報の提供、助言等を行うこと。

(事業者の責務)

第4条 事業者は、その事業の実施に当たって、自然環境の破壊を防止するため自然環境の改変を最小限度にとどめ、自然環境の保全等のための必要かつ適切な措置を講ずるとともに、市がこの条例の目的を達成するために行う施策に協力しなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、自然環境の保全等に関する施策に協力するとともに、自ら進んで自然環境の保全等に努めなければならない。

(市民等との協働の推進)

第6条 市長は、市民等との協働による自然環境の保全等に関する活動が効果的に行われるようにするため、自然環境の保全等に関する指導者の養成、自然環境の保全等に関する教育および学習の推進、市民等に対する自然環境の保全等に関する活動の情報の提供および交換の場の確保、自然環境の保全等に関する市民等の自主的取組に対する支援、自然環境の保全等に関する活動の拠点の整備等に努めるものとする。

第2章 自然環境保全地区

(自然環境保全地区)

第7条 市長は、次の各号のいずれかに該当する区域を自然環境保全地区として指定することができる。

(1) 優れた山林等自然を残すために保全することが特に必要な区域

(2) 優れた自然の風景地として保全することが特に必要な区域

(3) 市民の健全な心身の保持および増進又は公害もしくは災害の防止に効果があり、かつ、里山その他の良好な自然環境として保全することが特に必要な区域

(4) 優れた水辺の空間を形成している水路、河川、湖沼、海岸等で保全することが特に必要な区域

(5) 植物の自生地又は野生動物の生息地(渡来地および繁殖地を含む。)であり、かつ、良好な自然環境としてこれらの動植物の保護又は繁殖を図るために保全することが特に必要な区域

2 市長は、自然環境保全地区を指定しようとするときは、あらかじめ秋田市環境基本条例(平成11年秋田市条例第15号)第27条第1項の規定により置かれる秋田市環境審議会(以下「審議会」という。)ならびに当該自然環境保全地区内の土地および建築物の所有者又は権原に基づく占有者の意見を聴かなければならない。

3 市長は、自然環境保全地区を指定したときは、遅滞なくこれを告示しなければならない。

4 前2項の規定は、自然環境保全地区の指定の解除およびその区域の変更について準用する。

(自然環境保全計画)

第8条 市長は、自然環境保全地区を指定したときは、当該自然環境保全地区における自然環境の保全のための計画(以下「自然環境保全計画」という。)を定めるものとする。

2 自然環境保全計画は、次に掲げる事項のうち必要なものについて定めるものとする。

(1) 自然環境の保全のための基本方針に関する事項

(2) 自然環境の保全のための規制に関する事項

(3) 前2号に掲げる事項のほか、自然環境の保全に関し必要な事項

3 前条第2項および第3項の規定は、自然環境保全計画の策定および変更について準用する。

(標識の設置)

第9条 市長は、自然環境保全地区を指定したときは、当該自然環境保全地区内にその旨を表示する標識を設置しなければならない。

2 自然環境保全地区内の土地の所有者又は権原に基づく占有者は、正当な理由がない限り、前項の標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。

3 何人も、第1項の規定により設けられた標識を市長の承諾を得ないで移転し、もしくは除却し、又は汚損し、もしくは損壊してはならない。

(行為の制限)

第10条 自然環境保全地区内においては、市長の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。

(1) 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。

(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。

(3) 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。

(4) 水面を埋め立て、又は干拓すること。

(5) 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。

(6) 木竹を伐採し、又は損傷すること。

(7) 保全すべきものとして自然環境保全地区ごとに市長が指定する木竹以外の植物を採取し、又は損傷すること。

(8) 保全すべきものとして自然環境保全地区ごとに市長が指定する動物を捕獲し、もしくは殺傷し、又は動物の卵を採取し、もしくは損傷すること。

(9) 家畜を放牧すること。

(10) 広告物その他これに類するものを掲示し、又は設置すること。

2 市長は、前項第7号又は第8号の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。

3 市長は、第1項第7号又は第8号の規定による指定をしたときは、遅滞なくその旨を告示しなければならない。

4 前2項の規定は、第1項第7号又は第8号の規定による指定の変更および廃止について準用する。

5 第1項の許可には、当該自然環境保全地区における自然環境の保全のために必要な限度において、条件を付することができる。

(制限行為の適用除外)

第11条 次に掲げる行為については、前条第1項の規定は、適用しない。

(1) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為

(2) 自然環境保全地区に関する保全事業の執行として行う行為

(3) 通常の管理行為又は軽易な行為

(4) 自然環境保全地区が指定され、又はその区域が拡張された際着手している行為

(中止命令等)

第12条 市長は、自然環境保全地区における自然環境の保全のために必要があると認めるときは、第10条第1項の規定に違反し、又は同条第5項の規定により許可に付せられた条件に違反した者に対して、その行為の中止を命じ、又は相当の期限を定めて原状回復を命じ、もしくは原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

第3章 市民活動計画

(計画の策定)

第13条 市民等は、一定の区域内において自然環境の保全等のための自主的な活動を行う計画を定めることができる。

2 前項の規定による計画を定めようとするときは、あらかじめ当該計画に係る土地および建築物の所有者又は権原に基づく占有者の同意を得なければならない。

(市民活動計画の認定)

第14条 前条第1項の規定により定めた計画に係る代表者は、規則で定めるところにより、当該計画を自然環境保全市民活動計画(以下「市民活動計画」という。)として認定するよう市長に対して求めることができる。

2 市長は、前項の規定により認定を求められたときは、その内容を審査し、当該計画の内容が自然環境の保全等に寄与するものであり、かつ、規則で定める要件に該当するものであると認めるときは、市民活動計画として認定するものとする。

3 市長は、市民活動計画の認定をしたときは、これを公表し、広く周知を図るものとする。

(市民活動計画の変更の届出等)

第15条 前条第2項の規定による認定を受けた市民活動計画に係る代表者は、当該市民活動計画の内容を変更し、又は廃止したときは、規則で定めるところにより、その旨を市長に届け出なければならない。

2 市長は、前項の規定による廃止の届出があったとき又は市民活動計画が自然環境の保全等に寄与するものでなくなったと認めるときは、その認定を取り消すものとする。

3 市長は、市民活動計画の認定を取り消したときは、これを公表するものとする。

第4章 自然環境の保全等に係る配慮

(自然環境配慮指針)

第16条 市長は、自然環境に影響を与える事業を行おうとする者が当該事業の計画を定め、および当該事業を実施するに当たり、自然環境の保全等について適正な配慮がなされるようにするため、自然環境の保全等に関し配慮すべき事項についての指針(以下「自然環境配慮指針」という。)を定めるものとする。

2 市長は、自然環境配慮指針を定めようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。

3 市長は、自然環境配慮指針を定めたときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。

4 前2項の規定は、自然環境配慮指針の変更について準用する。

(自然環境への配慮の推進)

第17条 自然環境に影響を与える事業を行おうとする者は、自然環境配慮指針に定めるところにより、自然環境に配慮するよう努めなければならない。

第5章 開発行為の届出等

(届出)

第18条 自然環境保全地区その他規則で定める区域外の区域において、宅地の造成、スキー場、ゴルフ場又は遊園地の建設その他の規則で定める開発行為をしようとする者は、あらかじめ市長にその旨を届け出なければならない。

2 秋田市都市緑化の推進に関する条例(平成14年秋田市条例第27号)第16条の規定による届出その他規則で定める行為があったときは、前項の規定による届出があったものとみなす。

(開発行為の届出の適用除外)

第19条 規則で定める開発行為については、前条第1項の規定は、適用しない。

(助言等)

第20条 市長は、第18条第1項の規定による届出(同条第2項の規定により届出があったとみなされる場合を含む。以下この条において同じ。)があった場合において、自然環境の保全等のために必要があると認めるときは、当該届出をした者に対して必要な助言をし、又は指導をすることができる。

第6章 移入種の放逐等の禁止

第21条 何人も、国外又は国内の他の地域から野生生物の本来の移動能力を超えて人為的に移動した動植物で、市内の在来種を圧迫し、生態系に著しく悪影響を与えるおそれのある種の個体を放ち、又は植栽し、もしくはその種子をまいてはならない。

第7章 雑則

(自然環境保全活動推進員)

第22条 市長は、自然環境の保全等および動植物の保護に関する知識の普及および活動を推進するため、自然環境保全活動推進員を置くことができる。

(表彰)

第23条 市長は、自然環境の保全等に寄与していると認められる個人、団体、企業等を表彰することができる。

2 市長は、前項の規定による表彰をしたときは、その旨を公表するものとする。

(助成等の措置)

第24条 市長は、自然環境の保全等のために必要があると認めるときは、予算の範囲内で、費用の一部の助成その他の支援をすることができる。

(買取り等)

第25条 市は、自然環境の保全等のため特に必要があると認めるときは、土地又は木竹等をその所有者から買い取り、又は借り上げることができる。

(立入調査)

第26条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員を関係の場所へ立ち入らせ、状況を調査させることができる。

2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を証する証明書を携帯し、関係人の請求があった場合においては、これを提示しなければならない。

(損失の補償)

第27条 市は、第10条第1項の許可を得ることができないため又は同条第5項の規定により許可に条件を付せられたため損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。

2 市は、自然環境保全地区の指定もしくはその区域の拡張、自然環境保全計画の決定もしくは変更又は市が行う保全事業の執行に関し、前条第1項の規定による当該職員の行為によって損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。

(委任)

第28条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

第8章 罰則

(罰則)

第29条 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。

(1) 第10条第1項の規定に違反した者

(2) 第10条第5項の規定により許可に付せられた条件に違反した者

(3) 第12条の規定による命令に違反した者

2 第26条第1項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、5万円以下の罰金に処する。

(両罰規定)

第30条 法人の代表者又は法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。

 抄

(施行期日)

1 この条例は、平成15年4月1日から施行する。

(公園都市秋田市をつくる条例の廃止)

2 公園都市秋田市をつくる条例(昭和48年秋田市条例第28号)は、廃止する。

(公園都市秋田市をつくる条例の廃止に伴う罰則に関する経過措置)

3 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

秋田市自然環境保全条例

平成15年3月24日 条例第14号

(平成15年4月1日施行)

体系情報
第10編 市民生活/第1章 環境保全
沿革情報
平成15年3月24日 条例第14号