第3章 円滑な移行に向けて

4. 保健所の開設

 保健所の開設にあたって解決しなければならない課題に、管轄区域をどうするか、また、保健所の建物をどうするかということがあった。このことに関し、管轄区域については本市のみとすること、保健所の建物については、土地ともども県の秋田保健所の建物を借用したいという本市の考え方をとりまとめ、平成8年2月に県に要望した。

(1)管轄区域
 中核市移行前は、県の秋田保健所が本市を管轄していたが、その管轄区域は、秋田市、南秋田郡、河辺郡の2市9町1村であり、秋田市中通に本所を置き、男鹿市と五城目町に支所を設けて対応していた。移行先進市においては、当該都市の区域に加え、周辺町村の区域について県から委託を受けて保健所業務を行う例も見られるが、本市においては、当初から管轄区域は市域のみとすることを県に申し入れ、交渉を進めた。県保健所の管轄区域の中央部に位置する本市が抜けることにより、県の管轄区域は、南秋田郡と河辺郡に分断されることになり、県としても、業務の執行上、不都合が生じる懸念があったが、協議の結果、本市は市域のみを管轄し、県は秋田市以外の周辺市町村(1市9町1村)を管轄することになった。

(2)保健所施設の確保

秋田市保健所機構図

 保健所を開設するには、新たに施設としての保健所の建物等が必要になるが、当市としては、将来的には自前の保健所を建設する考えを持ちながらも、当面はこれまでの保健所業務との継続性、保健所への市民のアクセス等を重視し、県の秋田保健所施設の借用を県に要請した。県の理解が得られ、平成9年度から4年間、秋田保健所の建物と敷地を無償で借用し、市保健所として使用することになった。
 なお、本市の周辺市町村を管轄する県の保健所については、平成9年度は、中通の秋田保健所をそのまま使用し、県・市の保健所が同居している。県は10年4月に、南秋田郡昭和町に秋田保健所の本所を、河辺郡雄和町に支所を開設する。したがって、平成10年度以降は、市の保健所が単独で、従前の秋田保健所の建物と敷地を借用することになる。  なお、市の保健所は、既存の2課と新設の3課を合わせて、5課体制としているが、このうち既存の2課は、従前どおり八橋の保健センターで事務を行い、新設の3課が中通の保健所で事務を執行している。将来的に保健所を建設した時には、5課が1か所で執務できる体制が整うことになるが、新保健所の建設場所については、現在検討を進めているところである。

(3)保健所像の構築(保健所設置基本構想策定)

 市独自の保健所を設置するにあたっての課題は、施設の確保、組織および人員配置もさることながら、保健所が市民生活においてどのような機能を担い、市民の健康を如何にして守っていくかということであった。そのため、市保健所設置・運営にあたっての基本的な考え方を整理しておく必要が生じ、平成7年10月に保健所設置基本構想をまとめた。  基本構想においては、保健所設置の意義が以下の点にあると整理した。

  • これまで保健所と市とで機能分担してきた各種保健サービスが一貫した体制のなかで、きめ細かにかつ統合的に展開できること
  • 保健所が加わることにより、保健、医療、福祉の連携がこれまで以上に密接になり、より効果的なサービスを提供できること
  • 食品衛生、産業廃棄物対策などの業務を実施することにより、快適で安心できる生活環境を提供できること
  • 精神障害、痴呆、難病、エイズ等に専門的なスタッフを配置することにより、高度化する市民ニーズに専門に対応できること

 これらの意義を踏まえ、市の保健所が重視する点を、地域保健行政の中心的な役割を担うこと、身近で頼りがいがあること、地域の特性に配慮した事業を積極的に展開できること等と定め、設置および運営にあたっての基本方針とした。

(4)保健所問題懇話会からの提言
 新設する保健所に市民の意見をできるだけ反映し、市民に親しまれる保健所を創りあげていくため、有識者からなる保健所問題懇話会を設置し、意見、提言をいただいた。懇話会は、秋田大学の本橋教授を会長とし、医療関係者、関係団体代表等16名の委員で構成し、平成8年8月に設置した。協議を重ね、平成9年3月の第3回会議で市長への提言をまとめた。

5.職員研修の実施

 中核市に移行することにより、本市は、これまでに行ったことのない新たな業務を、移行の日からただちに実施することになった。まったくの新たな業務とはいえ、移行の日から、市民に不便をかけずに円滑に事務が処理できるよう、平成8年度の1年間に、それぞれ必要な期間、県における研修を実施し、事務の習熟につとめた。保健所関係業務について、10人の職員を1年間県に派遣したのをはじめ、延べ96人の研修を実施した。



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