2000年
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秋田八丈は、二百年の歴史を誇る草木染めの絹織物です。絹糸をハマナスの根で染める染色法が秋田独特のもので、茶色や黄色が織りなす気品が全国的にも高く評価されています。
旭南三丁目にある滑川(なめかわ)機業場の滑川晨吉(しんきち)さん(七十八歳)は、その伝統の技を受け継いでいるただ一人の織元です。明治四十三年に創業し、現在で二代目。初代であった父が守ってきた手法に改良を加え、落ち着いた雰囲気に織り上げられた秋田八丈は、昭和五十五年に県の無形文化財に指定されています。
秋田八丈の歴史は、今からおよそ二百年前。奥州伊達郡保原(ほばら)(現・福島県)から、養蚕や織物技術に秀でた石川瀧右衛門が秋田に移り住んできたことから始まります。当時の秋田藩はこれらの殖産産業を奨励し、さらに上州桐生(現・群馬県)から蓼沼(たでぬま)甚平という技術者を招いて織物技術を伝承していったといわれています。こうして、奥州伊達のはた道具と織技法、桐生の縞織物と色彩に、秋田の染め技術が融合して秋田八丈は生まれました。
最盛期だった明治二十七年頃には、市内に二十七、八軒もの機業場があり、年間六万反もの織物が織られた時もありました。しかし、大正時代末の恐慌などで次々に閉鎖され、昭和四年以降は滑川さんだけになりました。
秋田八丈の染め原料は全て植物で、ハマナスの根からは茶色、ヤマツツジの葉からは赤みのある黄色、カリヤスからは青みのある黄色を絞り出します。中でも、ハマナスは海岸部に自生している秋田産。日本海から吹き付ける風や雨がいい色素を持った根を育てるのだそうです。
「秋田八丈の色は、厳しい環境を耐え抜いて生きる粘り強い秋田県民そのもの。大量生産の時代にあっても昔ながらの手織り技術にこだわっていきたい」。洗うほどに色つやが増し、親子三代にわたって愛用できる耐久性は秋田八丈ならではと話す滑川さん。二百年の伝統文化を守りはぐくむ心意気が、ここにあります。
■滑川機業場 TEL(862)4895
旭南三丁目8−5。着物地のほか、名刺入れや札入れ、風呂敷、テーブルセンターなどもあります。
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