2001年6月22日号

まつくい虫をくい止めろ!!


 海岸の防風林などとして松は昔から私たちの生活と深く関わってきました。しかし今、この松を枯らす松くい虫の被害が深刻です。松林のある美しい風景を残すため、松くい虫の被害をくい止めなければなりません。

松が守る生活

その1
 江戸時代の栗田定之丞ら先人の努力で海岸線に植えられた松林。それによって、田畑や家屋を、砂や風、潮の被害から防ぎ、私たちの生活が今もなお守られています。
その2
 松は厳しい環境でも育ち、地中深くまで根を伸ばすという特徴があるので、地盤がゆるんだときに山崩れを防ぐなど重要な役割を果たしてくれます。

松くい虫の正体

 松くい虫の正体は、マツノザイセンチュウという肉眼では見えないほど小さな線虫の一種。数百匹で松の若木を枯らしてしまう強い病原力を持っています。
 マツノザイセンチュウは、松の樹皮を食べ産卵するマツノマダラカミキリの体内に寄生して移動します。カミキリ一匹に寄生するマツノザイセンチュウは、およそ一万匹といわれます。
 伝染した松は一年のうちに枯れてしまうほど急速に広まる病気で、マツノマダラカミキリの活動とともに被害は拡大しています。

こんな松がアブナい

 松くい虫による被害は、木全体の葉が赤くなることでわかります。海岸の松林などで見かける葉の一部が潮風の影響で枯れた症状と違い、木の全身にわたって枯れたものが松くい虫が伝染した証拠です。
 秋田に松くい虫の被害がでたのはおよそ18年前。特に平成9年以降、被害を受けた松が急増しています。
 健康な松に被害が及ぶのをくい止めるため、松枯れしている木は、速やかに伐採駆除などの処理をしなければなりません。

駆除はお早めに

 林務課では、松くい虫の被害拡大を防ぐため、秋田市森林組合に委託し、山林や公園の被害木の伐採などを行っています。
 個人で所有している松が、松くい虫の被害を受けたら、カミキリが移り始める6月末までに伐採処理をお願いします。
 被害予防法としては、6月下旬〜7月上旬に行う薬剤散布、2月〜3月に行う薬剤の樹幹注入が効果的です。実施をお考えのかたは、林務課TEL(866)2117までお問い合わせください。

平和公園で薬剤散布

 松くい虫防除のため、6月27日(水)午前4時〜午後4時頃まで平和公園内と泉字五庵山、外旭川字山崎付近で地上からの薬剤散布を行います。27日の午前中は、安全確保のため公園内を通行止めとしますので、なるべく近づかないようお願いします。

地域の松林を守りましょう

県立大学生物資源科学部 小林一三教授
松くい虫は、台湾や韓国、中国といった国々でも、被害が広がるなど大変深刻な問題となっています。
 日本各地の被害の現状を見てきましたが、市民の関心が低いところほど被害の広まりが早いようです。秋田市は、防除対策しだいではまだ被害をくい止めることができると思います。市内の松林を守るためにも、まずは、松くい虫の怖さと被害の現状を知ってください。

山林看守人山を守ります

佐藤武之助さん(下浜)
 山火事や山崩れの防止など、山林を見回るのが私たちの仕事です。現在、市内の山林看守人は33名。私が担当する下浜の山林でも平成5年頃から松くい虫の被害が増えてきました。被害がこれ以上ひどくならないように、市へのいち早い連絡を心がけています。
 ごみの不法投棄の報告もあります。山道が整備され、山奥まで入り込めるようになったのも一つの原因ではないでしょうか。地元の山を守るため、これからも巡回の手はゆるめません。


Copyright (C) 2000秋田県秋田市(Akita City , Akita , Japan)
All Rights Reserved.
webmaster@city.akita.akita.jp