2002年11月8日号

市長ほっとコラム

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足るを知る

市長●佐竹敬久

 一向に景気回復の足取りが見えない中で、企業経営は大変に厳しい状況に置かれており、また、国と自治体においても多額の公債(借入金)を抱え、行財政改革という名の下で、施設や事業の整理、組織のスリム化などが進められております。
 このような中で、いずれは経済政策の進展や新産業の創出などにより一定の景気回復は見られるものと思いますし、それを期待するのは至極当然なことではあります。
 しかし、地球の資源は有限で、また発展途上国の生産力が上昇する中で、日本など先進諸国だけが成長を享受し続けることはできません。
 また、急激な地球環境の悪化は、相対的に生産活動を抑制する方向に働きますので、これまでのような概念で経済成長を続けることは自然の定理に反し、不可能なことです。
 行政とても同じことで、これまで経済成長による税収増や景気回復を目的とした事業増という流れを背景に、様々な施設や制度をつくってきましたが、これらを増やし続けることは、経済成長が鈍化し国も自治体も税収が頭打ちになり、さらには落ち込む中では限界に突き当たります。
 当然のこととして、例えば日本の将来を担う子どもの保育や教育など、まずは優先すべきは何か、また交通体系が進歩する中で各種の施設の統廃合や民間委託など、様々な選択や行政と民間の役割分担などが避けて通られない状況になっています。
 市長としては、市民からの「こんな施設を建設してほしい、補助を増やしてほしい」という様々な声に応えたいという気持ちでいっぱいですが、すべてに応えることは、いずれは市の借入金の山につながります。
 市として財源の確保や経費節減などに最大限に取り組み、少しでも市民の要望に応える努力は不可欠なのですが、時代の大変革の中で、「市民の要望を良く聞く物分かりの良い市長さん」と言われる無責任な市長になる訳にはいきません。
 市の借入金を増やし過ぎることは、子どもさんやお孫さんが、いずれ秋田市を担う時代になってから、大きな額を返済しなければならないという苦しみを味わうことに直結します。
 ここ数十年で日本は世界で一番豊かで贅沢な国になりました。
 そろそろ、少しは「足るを知る」という古来の言葉を思い起こし、今を我慢しても子どもや孫のために、また、周りには自分より大変な人がまだまだ沢山いる、まずはその人たちのために、という心になることも必要な時代ではないでしょうか。

子どもたちの将来へ幸せを届けるために


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