2003年6月13日号

市長ほっとコラム

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二つの世界

市長●佐竹敬久

 市長の職務は多岐に及びますが、大変にありがたいと思うことに、秋田を訪れる多くの著名人に接する機会が多いことがあります。
 今回は、最近お会いした現在活躍中の二人の経済人の話されたことを取り上げてみることにします。
 まず一人目は、インターネット販売会社の三十八歳の若い社長さんの話です。この会社は創業七年目で全国トップにのし上がりました。
「情報通信技術の飛躍的な進歩の中で、必然的にインターネットも含め通信販売分野が大きな位置を占めることに着目すべきことは常識である。
 しかし、秋田県内には多くの良い産品があるにもかかわらず、この点に関する県内企業の関心の無さはどうしたものか。現在、当社の加盟店が全国で一万一千店を超えているのに、秋田県内は十四店にすぎない。東北の他県は三ケタなのに、秋田の人はものを売る気がないのでは…」という残念な話でした。
 二人目は、著名な経営コンサルのかたの話ですが、今ある会社の形態が必然的なものなのか、時代とともに変わるものではないか、という話です。
 その中で、象徴的な事柄として、ある外部営業を主とする会社の例がありました。そこの経営者が、社員の大半を占める営業部員の部屋が朝出社すると夕方まで人影がまばらなのを見て大きな無駄ではないかと考え、思いきって社屋を無くしてしまったという話です。
 経理や管理的な事務は在宅勤務体制で済ませ、その代わり週に一回程度、ホテルの宴会場を貸し切り、そこに社員全員を集め、全体として進めなければならない仕事や打ち合わせをし、社屋を置かないことにより節減された経費を社員の給与アップに充てたら業績も伸びたという、びっくりするような内容でした。
 今、経済は低迷を続け、大企業も中小企業も大変な状態で、国も自治体も経済の立て直しに懸命に取り組まなければならない状態です。
 しかし、業績が落ちているのを周りのせいにしても、一向に解決には向かわないのではないでしょうか。
 例えば、雨の中での野球の試合で、負けた原因を天気のせいにするでしょうか。相手チームも雨の中でプレーしており条件は一緒です。
 今、経済社会は、「変革に目を向けずチャレンジを忌避する世界」と、「厳しい中でもチャレンジに邁進する世界」の二つに区分されつつあるような気がします。秋田の前進には間違いなく後者の世界を大きくすることが必要だと思い起こさせてくれた、二人との貴重な出会いでした。

5月22日、美術工芸短大で講演するインターネットモール・楽天?の三木谷社長


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