2003年9月12日号

市長ほっとコラム

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環日本海時代の新たな幕開け

市長●佐竹敬久

 今般、日ロ沿岸市長会議出席のため、ロシア・カムチャツカ半島のペトロパヴロフスク・カムチャツキー市というところに行ってきました。
 これは、日本海沿岸の二十二市と極東ロシアの十八市で構成する会議で、都市レベルでの交流推進を目的に両国で交互に開催されているもので、今回で十九回目となります。
 また、この機会に本市と姉妹都市提携をしているウラジオストク市と今後の交流について個別会談も行うなど、大変に有意義な会議でした。
 さてカムチャツカ州は、日本と同程度の面積に約四十万の人しか住んでおらず、富士山そっくりの多くの活火山や平地にも湧き出る温泉、全く手つかずの原生林など、まさに壮大な自然のパノラマが展開する北極に近い冷涼な気候の土地です。
 今回、ロシア側がカムチャツカで会議を開催したのは、我々に現地を見せることで、日本からの観光客誘致に結びつけることを意図したものとも受けとめることができます。
 ただ、日本国内から現地まで空路で丸二日要することやホテルなどの施設があまりに貧弱なこと、加えて陸上交通手段が限られ、広大な半島内の移動には大型ヘリコプターが多用されていますが、これが極めて老朽機で、カムチャツカ訪問中のサハリン州知事の乗ったヘリの墜落事故が発生し、前後して同型ヘリに乗せられた皆がゾッとさせられるなど、安全面でも大きな不安があり、本格的に観光客を呼ぶには、まだまだ時間を要するのではないかと感じました。
 さて今回の会議の主要議題は、シベリア内部から日本海に面したナホトカまでの四千キロにおよぶ石油パイプラインの建設計画の件です。  一月に日本とロシアのトップ間でこのプロジェクト推進の認識が一致し本格調査に入る検討が進められていますが、ロシア側の各都市はこれを地域経済振興の切り札にしようとする強い意気込みを示していました。
 日本側もイラクなど不安定な情勢下の中東原油の依存度を大幅に下げる(九〇%近くから六〇%台に)ことが可能で、両国の共通利益につながる一大プロジェクトです。
 特に日本海沿岸の各都市には、建設途中・完成後ともに大きな波及効果が期待され、当然にナホトカ港と最短の秋田港を有し石油関連の技術集積を持つ本市では、その行方を注視しながら対応する必要があります。
 市民に身近なきめ細かな市政とともに、ダイナミックに動く国際経済情勢への的確な取り組みもまた市政の重要な要素でもあります。

8月20日、日ロ沿岸市長会議にて


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