2005年8月1日号

市長ほっとコラム

秋田市ホームページで市長の動向や記者会見の内容などをお伝えしています。

夏の食卓

市長●佐竹敬久

 今年も夏真っ盛り、先月の土崎港曳山まつり、三日からの竿燈まつり、十日の雄物川花火大会など、本市の夏は、まつりの季節でもあります。
 さて、夏は、暑さで食欲が減退しがちですが、夏バテ防止にはきっちり食事をとることが大切といわれます。ただし、何でも多く食べればよいとはかぎりません。         
 私の場合、若い時分には夏バテ防止を理由に、脂っこいものをたらふくとり、ビールをがぶ飲みする生活でした。夏バテ防止とはいっても、これでは体によいはずがなく、お腹の周りだけが成長し、健康診断では軒並み要経過観察という状態でした。 
 五十の声を聞いてから少しは注意するようにしていたところ、最近では年齢とともにしだいに好みも変わるものだと感ずるようになりました。 
 中華料理や焼き肉、天ぷら、豚カツなどの好物も、当然に若いころのように多くは入らなくなり、好みそのものも、小さなころ、四十〜五十年前の物のない時分の普通の食、例えばボダッコ(塩鮭)、冷や奴、トマト、ところてん、茄子漬け、山菜おひたしなど、まさに秋田の定番に少しずつ戻っているような気がします。
 ところが、今は物があふれ何でも手に入り、県外産・輸入物・地物、よりどりみどりなものの、万人向けの品種改良などで個性がなくなり、これはというものにお目にかかることが少なくなりました。むしろ味や香りの個性が強いものは嫌われる、あるいは健康指向ということでしょうが、昔の味の記憶が鮮烈に残っている私には寂しい気がします。
 そこで、例えば甘塩が主流の塩鮭の場合には、食欲減退時でもごはんが進む、あの焼けた塩の香りとコロッとした乾燥感のある「ボダッコ」を再現するため、塩分とりすぎを物ともせず、わざわざ粗塩をまぶして焼いてご満悦ということになります。  
 また私の大好物のトマトは、最近のものは特有の香りと味が薄く、店先に濃厚なものは並んでいません。ところが、トマトづくりの名人が身近にいて素晴らしいトマトをいただくことができました。本来のトマトはこんなに美味しいものだと、妻と一緒の感激の丸かじりでした。
 今まさに地産地消がブームですが、昔は当たり前のことでしたし、秋田で生まれ育った者にとって、秋田の地で育まれたものが口に合うのは、自然の摂理のような気がします。  
 個性ある秋田の本物が店先を埋め、地産地消の食卓こそが夏バテ防止、健康秋田の決め手になることを願っています。

地物の味は格別です



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