2005年12月1日号

健康万歩計

このコーナーでは、みんなが健康で元気に過ごすために必要な、ドクターからのちょっとしたアドバイスを紹介します。


今月のドクター/藤原敏弥先生(市立秋田総合病院 循環器内科 医長)


血圧が高いと言われたら


自覚症状がない患者さんへ

 あなたの血圧は正常ですか? 検診で高血圧を指摘された患者さんがよく当院の外来を受診されます。多くは自覚症状がありません。血圧が高いと長期的に脳卒中や心筋梗塞になりやすいことを説明し、血圧治療の重要性を納得していただいたうえで治療を開始します。
 ところが中には「降圧薬はいったん飲めば止められないから、飲みたくない」「副作用が心配だから飲みたくない」と降圧薬を拒絶する患者さんがいます。血圧が高いだけでは自覚症状がないため、高血圧の危険性を認識しにくいのです。
 血圧が高いことを分かっていても、薬を飲み続けなければならないのが嫌で病院に来ないかたも多いと思います。心情的には理解できますが、高血圧は絶対に放置してはいけません。

高血圧で心筋梗塞や脳卒中が増加

 では、高血圧を放置すると、どのくらい危ないのでしょうか。右のグラフは日本における高血圧患者の予後を20年間にわたり追跡調査した「福岡県久山町研究」の結果です。血圧のレベルに応じて5群に分類し、それぞれの累積死亡率を調べた結果、収縮期血圧が139mmHg以下の群では20年後の累積死亡率は3割以下であったのに対し、140〜179mmHgでは4〜6割、180mmHg以上では8割近くの人が死亡していました。
 高血圧患者で増加した死因のほとんどは、脳卒中および心筋梗塞です。高血圧は放っておくと心筋梗塞や脳卒中を起こし、寿命を縮めるのです。
 高血圧の治療は生活習慣の改善と降圧薬が中心です。生活習慣の改善のみで期待できる血圧低下は10〜20mmHg程度で、中等症以上の高血圧治療には降圧剤が欠かせません。薬を長期に飲むことよりも、血圧を放っておくことの方がずっと危険です。
 血圧が高いと言われたら、自覚症状がなくても、しっかりと治療するようにしましょう。


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