2006年3月1日号

健康万歩計

ドクターからのちょっとした健康アドバイスを紹介するこのコーナーは、今回をもって終了します。ご愛読ありがとうございました。


今月のドクター/中川 正康先生(市立秋田総合病院循環器内科科長)


心不全を疑う症状とは


気になる症状は専門医に相談を

 「心不全」とは一見、病気の名前のようですが、正確には病気の状態を表すものです。心臓自体の病気(弁膜症、心筋梗塞、心筋症、高血圧性心疾患、不整脈など)や、心臓病以外の病気(腎不全、高度な貧血、甲状腺疾患など)が原因となり、心臓が通常の働きを維持できなくなった状態を心不全といいます。
 心不全の症状には、おもに次の3つのものがあります。

(1)動いたときの息切れ、動悸、疲労感
 激しい運動をすれば、もちろん誰でもこのような症状を伴いますが、心不全のときは今まで普通に行っていた作業や、普通に歩いていた距離でも、息切れや疲労感を生じてつらくなります。
 さらに病状が進行すると、安静にしていてもこれらの症状が発生します。心不全ではあおむけになると呼吸困難が悪化するというのが特徴です。

(2)むくみ
 おもに足の甲やすね、顔にむくみを生じます。痛みや熱感、皮膚の色の変化などはなく、腫れているところを指で押すと、しばらく指のあとが残るような状態です。心不全でなくとも、特に立ち仕事の女性などでは、夕方になると足がむくんで靴がきつくなるというかたも少なくありません。朝起きたときにむくみがなくなっていれば、通常問題ありませんが、朝になっても良くなっていない、または悪化している場合は要注意です。また、心不全のむくみでは体重も増えます。

(3)咳、喘鳴(ゼ−ゼ−、ヒュ−ヒュ−という呼吸音)
 一般には肺などの呼吸器疾患が原因ですが、心不全が原因のときもあります。熱がない、ピンク色の泡のような痰が出る、動いたときや夜間横になると悪化する、といったものは要注意です。また、これまで気管支ぜんそくと言われたことがないかたに、ゼ−ゼ−やヒュ−ヒュ−、ピ−ピ−といった異常な呼吸音が出たときも心不全を疑います。
 ただしこれらの症状は心不全に限らず、呼吸器疾患、貧血、腎臓病、肝臓病、加齢にともなう体力の低下、自律神経障害などによっても出ることがあります。気になる症状があるときは自分で決めつけず、専門医の診察を受けることをお勧めします。


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