2007年1月16日号

高齢者を支える介護保険


 高齢者の介護を、社会全体の力で支えていこうと始まった「介護保険制度」。介護サービスを自分の希望に沿ったかたちでうまく利用し、毎日の生活を送っている高齢者が増えています。

自立の精神を忘れずに

 「五年前に妻が死んでから、それまで覚えた料理のレシピが頭からまったく消えてしまって…」と話す熊谷義明さん(80歳)。妻の千代さんとのつらい別れを乗り越え、義明さんは現在、掃除や洗濯、食事の準備などの訪問介護サービスをうまく利用しながら、毎日元気な生活を送っています。
 義明さんは、千代さんが亡くなる前、十一年間にわたって自宅で千代さんの介護を続けました。千代さんが快適に過ごせるように、トイレの段差をなくすなど、家の改修もしました。
 以前は、毎日ジョギングとウオーキングを欠かさなかったという義明さんも、長年の介護で腰を痛めてしまい、六年ほど前に自身も要介護認定を受けて、介護サービスを利用することになりました。
 義明さんは、「何でもかんでもヘルパーさんに頼って、任せるのはダメ。私の自立が目的で支援してくれているということを忘れないようにしています。『やれることはなるべく自分でやる』。その精神を大事にしています。例えば洗濯。洗濯物を洗濯機に入れ、スイッチを押し、洗い終わったらかごに入れる。でも、長続きするよう、決して無理はしません。高いところに干すのはヘルパーさんにお任せです」。無理しすぎず、少しずつやれることを頑張る、それが元気に暮らす秘けつのようです。


信頼の固い絆

一人暮らしの義明さんは、ヘルパーさんとのおしゃべりも楽しみの一つ。「会話は発声、声帯の訓練にもなります。何を話そうか考えることで頭も使いますしね。家に一人でいるので、ヘルパーさんが来てくれると、ついつい、しゃべりすぎてしまいます」と笑う義明さん。
 ヘルパーの一人、鈴木百合子さんは「義明さんは何をするにも積極的。そんな前向きな姿勢が、あの元気な笑顔をつくっていると思います」と話します。
 「鈴木さんには本当に感謝しています。長い間、妻の介護を頑張れたのはヘルパーさんのおかげ。妻が死んでからも、ここまで頑張ってこれたのは、ヘルパーさんがいたから。ヘルパーさんに百二十点、自立に向け頑張ってきた自分にも三十点はあげたいと思います」。
 義明さんを担当するケアマネジャーの高橋輝さんは「本人の要望、気持ちを第一に考えています。予防給付を目的に、状況に応じて、自立に向けたケアプランを立てています。本人の納得がいくまで話し合いますよ。熊谷さんは人生の大先輩。お話をしていて学ぶこともたくさんあります」と話します。
 「高橋さんは五分で済むところを、二時間も私の話につき合ってくれます。私の話を良く聞いてくれるので、信頼しきっています」と義明さん。ケアマネジャーとの信頼の絆も固いようです。
※六ページに義明さんが妻の千代さんを介護していたときの記録を掲載しています。

熊谷さんのおもな介護サービス

介護サービス自己負担額→月約9,000円(住宅改修費は含みません)

●訪問介護(ホームヘルプサービス)→週5回
 介護福祉士などのホームヘルパーに来てもらい、調理・洗濯・掃除などをしてもらっています。
●訪問看護→週1回
 看護師などに来てもらい、主治医の指示に基づいた、健康回復のための治療の補助をしてもらっています。
●住宅改修
 玄関の段差を解消し、階段や玄関などに手すりを取り付け、安全で楽に歩けるようにしました。
問い合わせ
介護保険課tel(866)2069


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