2007年3月1日号

市長ほっとコラム

秋田市ホームページで市長の動向や記者会見の内容などをお伝えしています。

所変われば…海外の学校事情

 先にこの欄で、海外の姉妹都市の例をあげ、受益と負担に関して日本との考え方の違いを取り上げたことがあります。税金を費やしている公的駐車場は、バス利用や徒歩など、そこを利用しない人との公平性の観点から有料が原則なことや、家庭ごみの収集は、ごみの分量に応じて費用負担するのが公平であるとして有料が一般的なことなどです。
 その時に、変に誤解を受ければと思い書かなかったことがあります。それは学校の給食費のことです。  しかし最近、給食費の未納が増えているという記事が目につくようになり、これに関して海外の一例を紹介することにします。

 アメリカの姉妹都市セントクラウド市の中学校を訪問し、校長先生と情報交換した折に、給食費の未納問題について尋ねてみたところ、「中学は義務教育だが、給食費は保護者負担であり、もちろん低所得者に対する減免制度はある。しかし支払い能力がありながら納めない保護者も存在する」ということでした。そこで、その場合はどうするのかと尋ねたところ、我々日本では想定さえしないような答えが返ってきました。
「子供に罪はない、しかし公平の原則は守るべきである。納める能力のある保護者で、督促しても納めてもらえない場合には、その児童には別メニューの給食を出す」、「栄養を考えたうえで調理の手間を省いたメニュー、例えばトーストにピーナツバター、生野菜という組み合わせなどである」という内容の答えでした。
 保護者から差別をつけることでクレームが出ないかと尋ねたら、「同じメニューだと、逆にきちんと納めている保護者からクレームがつく」ということでした。
 もうひとつ、ドイツの姉妹都市パッサウ市の代表的な小学校を訪問したところ、体育館もプールも運動場もない簡素で、こぢんまりしたものでした。いろいろ尋ねてみると、「学校ごとに施設を持つ必要はなく、市や民間の施設をそれぞれの学校が一緒に使っている」ということでした。
 給食はと聞いたら、そもそも小学校の課程は昼で終わりなので、給食システムはないということでした。
 それぞれ州ごとに制度が異なる徹底した地方分権の国ですので、国全体がこのとおりかは分かりませんし、他の行政サービス水準は抑えても給食費は無料という国もあるようです。
 まさに、「所変われば…」です。良し悪しという次元を越えて、広い世界には我々の知らない考え方がさまざまあることを実感させる事柄です。

ドイツ・パッサウ市の
インシュタット小学校の授業風景



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