2007年4月1日号

市長ほっとコラム

平和は心の力から生まれます
平和は心の絆から生まれます
譲り合う心が平和の礎です
認め合う心が平和の糧です
by敬久

涙二例 希望の涙・誠心の涙

 年度が改まる四月は、新入学、就職、昇進など、どちらかといえば、おめでたいかたが多いとされる月です。そこで今回は、涙は涙でも、おめでたく、また何とも感動的な涙の話をさせていただきます。

その一 ある高等学校の卒業式での風景です。
 卒業式会場への入場の際には、卒業生はおしなべて神妙な面持ちの中にも無事卒業できる喜びをかみしめている思いの晴れやかな表情でした。
 卒業証書授与に始まった一連の式典が進み、いよいよ卒業生答辞の段になると、会場のあちこちから、まず女子生徒のすすり泣きが聞こえてきました。そうしているうちに男子生徒の目頭も潤み始めました。

3月3日、「平和の日」秋田の集いで
 私の席の近くに位置していた、高校スポーツ界では第一線級の選手である男子生徒は、いよいよ伝統ある素晴らしい校歌斉唱の段になると大粒の涙で頬を濡らし始めました。
 体は大きくとも見るからに純情そうな彼は、第一線に立つためにこの三年間、汗と涙の猛練習に耐えてきたことでしょうし、試合での悲喜こもごもの思い出が校歌と重なり、感涙につながったのでしょう。
 とかく若者の言動に課題が提唱される世ですが、卒業式での若い涙は、これからの長い人生に向けた、まさに希望の涙ということができます。

その二 叙勲の祝賀会での風景です。
 ある業界の発展と、その業界団体の設立運営に長年ご苦労されたかたの叙勲祝賀会に出席させていただきました。
 七十代半ばの、その業界では草分け的存在のかたで、発起人あいさつから始まり、式典の結びとして、いよいよご当人からの謝辞の番になりました。
 飾ることなく、淡々とした口調で御礼の言葉を続けているうちに感極まり目が潤み、しだいに涙声に変わりました。仕事柄、叙勲祝賀会での謝辞を聞かせていただく機会は多いのですが、このかたの謝辞は多くを語らずとも、実に心に残るものでした。
 このかたの仕事は現代社会には欠かせないものの、どちらかといえば裏方に属するものであることから、このかたは社会的認知度を高めるための業界の団結や若い人材の育成に特に気を砕いてこられました。飾らず飄々としたかたで、まさに人柄がにじみ出る誠心の涙でした。
 とかく官高民低といわれる叙勲システムのなかで、このようなかたこそもっとも勲章にふさわしいかたではないかとも思った祝賀会でした。
 それでは、新年度、新たな気持ちで天候不順に負けることなく元気にスタートを切りましょう。

3月3日、秋田商業高校の卒業式



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