2008年1月4日号

新春ほっとコラム

さまざまな困難に立ち向かう、
世はまさに激動の時代。


秋田市長 佐竹 敬久


 全国から四万人が秋田に集った「秋田わか杉国体」、そして障害者スポーツ大会「わか杉大会」の感動と興奮の余韻を胸に残しながら、二〇〇八年、平成二十年子年を迎えました。
 二〇〇一年の「ワールドゲームズ秋田大会」の時にも感じたことですが、秋田県人は少し腰が重いきらいはあるものの、いざとなると「やる時はやる!」という、潔い気質を持っているようです。今回も、あれだけ多くの市民、県民の皆さんが気持ちを込めてボランティアや応援に参加してくださったことは、改めてこのたぐいまれな″行動力″を実証したと言えるでしょう。これからの地域づくりを考えるうえで、たいへん心強く思いました。

今年は「中興」の気概で

 子年は十二支のトップバッターです。まさに激動の時代、さまざまな困難な課題に向かって、心新たにスタートしなければならない節目の年ではないでしょうか。
 私はこの年頭に当たっての気概を「中興」という言葉で表現してみました。中興とは、「沈滞していたものを活性化させる、元気のないものを元気にする」というような意味を持ちます。
 今年は中心市街地再開発の始動、西部地域市民サービスセンターの着工、広く日本に目を向けると中央と地方の格差是正など、これまで長く準備を重ねてきたものが、いよいよ具体的な形になっていく年となります。ここで、秋田市の「中興」に結びつくであろう、市政におけるいくつかの話題をご紹介します。

中心市街地がいよいよ動き出します。
「城下町ルネッサンス」で、千秋公園と中心市街地が一体となった「街なかオアシス」に(写真は平成16年撮影) ど真ん中の空き地でライブ!…日赤跡地で開かれた仲小路ジャズフェスティバル

にぎわいのある新たなまちづくり

秋田市では、今、新たな「中心市街地活性化基本計画」づくりに取り組んでいます。
 この基本計画は、空洞化が進む秋田駅西周辺一帯を区域にしたもので、この計画が内閣総理大臣の認定を受けると、国の支援制度を活用してさまざまな事業を行うことができます。
 基本計画のコンセプトは、「千秋公園(久保田城跡)と一体となった中心市街地の再生(城下町ルネッサンス)」です。千秋公園と久保田城の城下町だった中心市街地を一体的にとらえ、まちの再生に向けて取り組んでいきたいと考えています。
このほど商店街関係者などの皆さんが組織する中心市街地活性化協議会に原案を提示して意見を伺い、この後、市民の皆さんからも中心市街地活性化への取り組みに関してご意見を伺います。
 また、この基本計画には、現在検討が進められている日赤・婦人会館跡地の再開発事業を盛り込んでいます。この再開発事業は、先ごろ土地の大口所有者である県と、民間側の再開発準備組合、秋田商工会議所、そして本市からなる推進協議会で整備方針がまとまったことから、にぎわいのあるまちづくりに向け、いよいよ二十年度から事業が本格化する見込みです。順調に推移すれば、二十三年度には、全体整備が完了する予定です。
 これまで長年にわたり空き地だった場所が、再開発事業により、千秋公園と一体となった「街なかオアシス」として生まれ変わります。
 民間事業としての全天候型の特色ある商業モールや健康スポーツ施設、居住施設、そして県の中核施設に加え、市の事業として市民の芸術文化活動施設や学生の交流施設、子育て支援施設、多目的広場などを整備することにしています。あわせて、市内どこからでもアクセスしやすいように、大型駐車場も整備する予定です。
 中心市街地が再び「秋田の顔」として、市民の皆さんに愛され、にぎわいのある場所となるよう、新たなまちづくりがスタートされます。

市民協働・都市内地域分権の拠点施設に。
西部地域市民サービスセンターは、支所・公民館機能に加え、コミセン・地域防災・子育て支援機能を備えています 地域特性をどう反映する? 北部地域でも市民サービスセンターのワークショップ開催

市民サービスセンター第1号

 都市が真に活力あるまちとして発展するためには、市内の各地域も元気でなければなりません。秋田市は、有形、無形のさまざまな地域資源に恵まれており、東・西・南・北・中央・河辺・雄和、各地域ごとに豊かな個性が育まれています。
 本市が、これまで検討を重ねてきた市民協働・都市内地域分権は、身近なサービスを身近な場所で提供し、地域の個性に応じた地域づくりを市民主体で行ってもらおうというもので、その拠点となる施設が各地域の市民サービスセンターです。
 第一号となる西部地域市民サービスセンターは、まもなく本体工事の着工となります。市内七地域に設置をめざしているセンターのモデルとして、ワークショップなどを通じ地域の皆さんと練り上げてきた計画に基づいて建設するものです。新年早々、来年の話をすれば鬼が笑いますが、地域の思いがカタチになる、平成二十一年春の完成を楽しみにお待ちいただければと思います。
 そして西部に続き検討を進めているのが北部地域市民サービスセンターです。老朽化した土崎支所、土崎公民館・体育館などを複合化により建て替え、子育て支援、地域活動支援、地域防災など時代のニーズに沿った機能を加え、整備していきたいと考えており、昨年は地域の皆さんの参加によるワークショップを開催しています。
 ワークショップでは、施設の具体的な内容や地域特性を踏まえて整備する機能など、活発な意見交換が行われました。その中でも、ワークショップ参加者が施設に求める理念として強調されていたのが「地域の交流」でした。市が新たに取り組んでいる家族・地域の絆づくりとも一脈通じるものと感じています。
 地域に愛され、住民主体の地域づくりの拠点となる市民サービスセンターにご期待ください。

市長会会長としての多忙な7か月

 昨年六月に、全国八百余都市で組織されている全国市長会の会長に就任してから、早くも七か月が経過しました。
 全国市長会は、全国の市長が協調・連携しながら、各市の発展のために行政・財政などの調査・研究を行い、内閣や国会へ政策提言や要請活動を行う全国の市の連合機関です。
 私は会長として、総理大臣をはじめ各大臣や省庁幹部などに直接会う際は、秋田のことについてもいろいろ話題を出すように努めています。また、会長の立場から、全国各市の先進情報に加え、産業や学術分野などの第一人者のかたがたも出席する会合での意見交換を通じ、本市の発展に結びつけることができる新しい情報をキャッチする機会も増えました。
 本市には、まだまだ国の支援を必要とする事業があります。会長として全国の各市の発展のために力を尽くすことはもちろんですが、置かれた立場を有効に活用して、秋田市にとっても有効な政策提言を行ったり、先進情報をいち早く地元へ伝えたり、秋田の一層の発展にも寄与できるよう取り組んでおります。

地方への財源配分の議論にも熱が入ってきました
絆で安心、絆で満足

市民生活向上のための地方分権

 また、このところ国と地方との関係で、「地方分権」ということが大きな話題となっています。本市のような地方都市にとっては、実効ある地方分権への取り組みは、特に市民生活向上に向けて重要な課題です。
 地方分権とは、国が持っている権限や財源を県や市町村に移して、地域のことは地域で決められるようにするものです。外交・防衛など国全体が統一して行わなければならないことは国で行い、そのほか住民生活に密着したことについては、その地域の特色にあった政策をその地域で決められるように、国が持っているさまざまな権限を市町村に移そうというものです。
 しかし、権限だけでは市町村は仕事ができず、仕事の裏付けになる財源確保の問題も大切です。このため、今まで国が一度集めてから、細々と使い方を決めて地方へ配分していた補助金や交付税についても、地方が地域の取り組みのために直接、しかも住民ニーズに合わせて自由に使えるように、盛んに調整が進められているところです。
 地方分権は、今までの日本の経済成長を支えた中央集権制度を見直すことであり、一朝一夕に達成できることではありません。しかしながら徐々に改革の効果は現れてきています。少子高齢化が進み、住民ニーズが多様化した社会にあって、地方が成長するためには、どうしても進めていかなければならない改革の一つです。

国体の盛り上がりそのままに、
みんなで秋田を元気にしよう!

絆づくりは心豊かな生活の源

 姉妹都市交流などで海外に行くと、日本ほどそれぞれの休日に外でいろいろな事を行い、しかも家族がばらばらに過ごしている国はないのではないか、と実感します。
 平成十九年版国民生活白書によると、家族や地域でのつながりがある人ほど、生活全般に満足しているという面白い結果が報告されています。家族団らんの中で得られるやすらぎが、生活の満足感につながっており、日常生活において家族や他者とのつながりがいかに大切かを再認識させられます。
 そこで、本年の家族・地域の絆づくりの取り組みでは、仕事と生活の調和、いわゆる「ワーク・ライフ・バランス」をテーマにイベントを開催することにしています。雇用する側、される側、あるいは家庭人、地域人として、いろいろな立場から意見を出し合い、家族と過ごす時間やゆとりの大切さを見つめ直す機会にしたいと考えています。
 人と人とのあたたかなつながりは、いじめや家庭崩壊、孤独死など現代社会が抱えるさまざまな課題解決の糸口ともなるでしょう。

「わか杉国体」は終わりましたが、冒頭で述べた秋田市の「中興」が手に取って実感できるものとなるよう頑張ってまいりますので、国体に引き続き、市民の皆さまのご協力をお願いいたします。


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