2009年7月3日号

市長コラム

秋田市ホームページで市長の動向や記者会見の内容などをお伝えしています。
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忘れてはいけない顔

市長穂積 志



6月1日、将棋名人戦前夜祭で

 早いもので、市長就任後2か月が過ぎました。想像はしていたものの、毎日毎日がまさに目が回るほどの忙しさで、あっという間に新人研修の中を駆け抜けたような気分です。
 市長というのは、いろいろな行事や会合に出向き、あるいは市役所にお迎えし、本当によくいろんな人に会うものだと思います。当然、そこで多くの顔に出会い、話をします。
 その中で出会った忘れられない人のことを述べてみます。立派な政治家や有名なスポーツ選手ともお会いしましたが、私の心に住み着いたのは、私に楽しそうに語りかけてきた一人の老婦人でした。
 ある日曜日の行事のこと。毎日の食事やお孫さんのことを、ニコニコしながら話しかけてくれるので、私も時間の許す限り相手の話に正面から向き合い、自分のことや、話を聞いて感じたことなどをお話ししました。
 話は尽きませんでしたが、次のスケジュールがあったことから、どうしても途中で失礼しなければならなくなりました。そのとき、ふと見せた寂しそうな表情が忘れられないのです。
 なぜだったのでしょうか。ひょっとしたらあの老婦人は一人暮らし、あるいは家族がいたとしても、ふだんあまり会話がないのではないかと心配になってきたのです。一見、しあわせそうにしていても、本当は心に孤独を抱えているのではないかと…。
 あの老婦人が本当に私が感じたような事情だったのかどうかは別にして、秋田市においてもそのような高齢者は、かなりの数にのぼることと思います。
 市長の仕事は、市民福祉の増進をはかり、できるだけ多くの市民がしあわせを感じることができるようにすること。言い換えれば、市民のみなさんが困らないようにすることです。
そのためには、「市民の目線で」といいますが、「市民の目線」とは、一人ひとりの市民と同じ立場に身を置き、何に困って、行政にどうして欲しいのかを考えることだと思います。そして、具体的な事業や施策として形にしていくことが肝要です。
 老婦人のあのときの表情を、ふとよぎった寂しそうな影のことは、少なくとも市長を続けている限りは忘れない、いや、忘れてはいけないと思っています。

いろいろな「顔」に出会います
(6月9日、モンゴルのエコ活動団体の
みなさんが市長を訪問)で


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