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2010年3月5日号

市長コラム

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子育てを考える 【(1)母と子の絆】

市長穂積 志

 弥生3月は受験シーズン、今年も悲喜こもごもさまざまなドラマが生まれていることでしょう。
 先月の地元紙に感動的な記事を見つけました。母親が、娘の受験に同行した際の話です。パイロットをめざし石川県輪島市の私立航空高校の受験に向かった埼玉県在住の母娘。夜行列車を乗り継いで行く予定が、新潟で大雪に阻まれ列車は運休に。時間が迫る中、駅のホームで両手で顔を覆い泣く娘を前に、「絶対あきらめない」と母は、大雪の中、深夜のヒッチハイクを提案します。
 吹雪の国道を2時間歩き、ガソリンスタンドで見つけたトラックの運転手に頼み込みます。話を聞いた運転手は、回り道までして受験場所まで送り届け、着いたのは試験開始10分前。偶然にも作文の課題は「私が感動したこと」で、ヒッチハイクのことと母への感謝を綴り見事合格、という話です。
 パイロットという夢の実現に向かう娘の純粋な姿と、トラック運転手の、善意とやさしさに満ちた行為、そして私は何よりも母親が子どもに注ぐ限りない愛情に心を打たれました。
 晩婚化、少子化と言われて久しくなります。要因はいくつもあるでしょうが、その一つに、結婚することの喜びや子どもを生み育てることのすばらしさがうまく若い人たちに伝わっていないこともあるのではないでしょうか。若い人たちが「結婚して子どもが欲しい、育てたい」と思える状況になっていないのではないか…。私たちの世代が親や地域から知らず知らずのうちに学んできた親子のあり方、家族の絆といったことをどこかに置き忘れてきたのでは…。
 もとより、私は子育てのことであれこれ立派なことを言うつもりはありません。仕事の忙しさを理由に子育てを妻に任せてきた一面も否定しません。しかし、それでも子育てからなにがしか学んできたと思っています。生まれてきた赤ん坊を初めて抱いたとき、「この弱く小さな命をしっかりと育て、守っていかなければ」と思うと同時に、理屈ではない、言葉では言い尽くせない喜びもじわじわと湧いてきたことを鮮明に思い出します。
 子育てには、精神的、肉体的、また経済的な負担も伴います。しかし、それ以上に私自身がこの手の中に感じた“小さきもののぬくもり”、それに対する責任と大きな喜びも同時に存在します。要は、それを次の世代に伝えることが大切なのではないでしょうか。
(次回に続く)

このぬくもりを守りたい


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