※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2010年4月2日号

市長コラム

秋田市ホームページで市長の動向や記者会見の
内容などをお伝えしています。
「市長ほっとコーナー」
http://www.city.akita.akita.jp/city/mayor/

子育てを考える 【(2)子どもの楽園】

市長穂積 志


交流事業で来日したベトナム
高校生グループと(3月9日)
 前回に続き子育ての話です。
 ちょっと調べてみたら、かつて日本を訪れた多くの外国人が日本人の子どもに対するまなざしや愛情の深さに感銘を受け、そのことを実に克明に書き綴っています。
 イギリスの女性紀行作家イザベラ・バードは明治初期に「私は日本人ほど自分の子どもをかわいがる人々を見たことがない。子どもを抱いたり、背負ったり、歩くときには手をとり、子どもが遊ぶ姿をじっと見ていたり、いつも新しい玩具をくれてやり、遠足や祭りに連れて行き、子どもがいないといつもつまらなそうである」と紹介しています。ほかにも、幕末にイギリスの初代駐日公使を務めたオールコックや、明治初期、大森貝塚を発掘したアメリカの動物学者エドワード・S・モースなども同様の記録を残しています。まさに「日本は子どもの楽園である」と紹介しているのです。
 子どもの楽園・日本…、それがどうしたことでしょう。昨年10月の内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」によれば、「結婚しても子どもを持つ必要はない」が2年前を6ポイント上回って43パーセントに達し、中でも20代、30代では6割を占めています。
 私たちの社会はいつから、そしてなぜこうなってしまったのでしょうか。高度経済成長を経て物質的な豊かさを得たことや多様なライフスタイルの実現などは、成熟社会が映し出す一面でもあります。結婚や子どもがすべてではありませんが、私たちが今すべきことは、若い人たちが結婚し、子どもを産み育てたくなることを阻害する要因を取り除くことです。
 「仕事がないから」「親の介護があるから」「出会いがないから」であれば、ここで一つ一つ紹介はしませんが、行政に限らずさまざまな主体が各種施策を講じています。ただ、これには予算や時間が必要だったりします。
 実は私たちの世代にすぐできることがあります。お金もかかりません。前回も申し上げましたが、それは「日々の生活の中で結婚や子どもを産み育てることの喜びや感動を私たちの世代が若い人たちに伝えていく」ことです。家庭にあっては子どもたちに、地域や職場にあっては若い人たちに、親の背中や自らの生き方で「結婚っていいもんだな」「子どもがいると楽しいな」と示していくことが大切だと思っています。
 子どもたちが温かい愛情を受けながら育つ「子どもの楽園」は、私たちの社会全体にとってもきっと「楽園」となるはずです。

昔も今も子どもの笑顔は宝です
(子育てサークルエンゼルパル)



Copyright (C) 2010秋田県秋田市(Akita City , Akita , Japan)
All Rights Reserved.
webmaster@city.akita.akita.jp