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2011年8月5日号

市長コラム

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安全・安心なまちが求めるもの

市長穂積 志

市の記念日式典で(7月12日)
 東日本大震災では、言葉で言い表すことができないほどの甚大な被害にあった東北地方の太平洋側地域。前回は、「東北は一つ。東北地方の発展のためには、秋田をはじめとする日本海側もまた未来型都市の形成が求められる」といったことをお話ししました。今号では、そのために私たちがどのような方向に進むべきなのか、考えてみたいと思います。
 奥山恵美子仙台市長は、6月21日付けの秋田魁新報の記事の中で「横軸」整備の重要性についてこんなコメントをしていました。「今回は秋田や山形、新潟といった横軸からしか支援が得られなかった。縦軸だけの見方を改め、横軸でも物流網や支援体制を構築する必要性を思い知らされた」「いざというときに横軸で相互補完や機能分担できる関係をいち早く築きたい」。
東北地方を南北に走る鉄道や道路を縦軸とすれば、東西に走るのは横軸になります。私たちは日頃、まずは東京など縦軸で物事を考えがちですが、このたびのような災害では、縦軸だけでは問題は解決しません。秋田なら盛岡、宮古というように横軸の思考回路も持ち合わせておく必要があります。
 災害は、東西南北どのような地域をめがけて襲ってくるか分かりません。いざというときのために、お互いに助け合える環境を整えておくことが重要だということではないかと思います。ちなみに奥山市長は秋田市のご出身です。
 二点目は、集中を避けるということです。道路や鉄道などの交通インフラだけではありません。生産、物流全般にわたり、拠点施設が太平洋側に偏在することの危うさが今回ほど意識されたことはなかったと思います。秋田のような日本海側がバランスよく役割を果たしていくことが、東北全体の安全・安心につながるのです。
 例えば秋田港の場合、被災した仙台塩釜港に代わり、震災前に生産された自動車を送り出し、一時物資不足に陥った石油製品を受け入れる港になっています。このように太平洋側と日本海側の港湾が相互にバックアップ機能を持つことが、お互いの港湾機能の拡充にも有効です。また、陸上交通への集中を避ける、という意味合いも持ち合わせます。
 最近にわかに首都機能移転の話が復活していますが、共通しているのは、集中は危険、リスクの分散が重要ということだと思います。
 安全・安心の国土というのは、立派な一本道がスーッと通っているのではなく、重層的な構造と二枚腰的な強さ、いわば「しなりづよさ」を持つことが求められているのではないか。私たちは、このたびの震災で痛切に思い知らされたように感じます。

国の重要港湾にも指定される秋田港



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