※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2011年12月2日号

市長コラム

秋田市ホームページで市長の動向や記者会見の
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「市長ほっとコーナー」
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2011年、平成23年という年

市長穂積 志
明年もどうぞよろしくお願いいたします。
 美しかったイチョウやナナカマドの街路樹も落葉し、いつの間にか街にはクリスマスソングが流れ、道行く人も心なしか先を急ぐ…と例年ならそんな季節ですが、今年は少し趣が違うようです。

 3月11日の東日本大震災。被災地のみなさんが味わった悲しみや苦労には筆舌に尽くし難いものがあると思いますが、それ以外にも東北にそして日本全体にもさまざまな形で暗い影を落としています。震災から9か月が過ぎようとしていますが、私たち一人ひとりの心に問うてくるものがいくつもいくつもあります。個人として、公人としてそれぞれありますが、ここでは市長としての胸の内の一端をお話ししたいと思います。
 災害廃棄物、いわゆる瓦礫(がれき)処理の問題です。岩手県から秋田県に要請があった被災地の瓦礫処理について、「1日でも早く、1トンでも多く受け入れ、隣県岩手の復旧・復興のお手伝いをしたい」という気持ちはやまやまなのですが、その前に立ちはだかる課題も多く、現時点(11月18日)では踏み切ることが困難と考えています。
 国においては、ストーカ式焼却炉と流動床式焼却炉については、広域処理が可能な災害廃棄物(可燃物)の放射性セシウム濃度基準を明確にしていますが、秋田市のようなガス化溶融炉については明確な基準を示しておらず、安全性を判断できないのです。また、溶融炉からでるスラグ(ごみを高温で溶かし、冷却して固化したもの)などは、民間会社に売却され、コンクリート製品や道路舗装材などの原材料として利用されています。このように廃棄物を再生利用する場合の放射性セシウム濃度基準値は1キロあたり100ベクレル以下となっていますが、それ以上に高い場合はもちろん、基準内であっても原材料として利用できない場合は、現状で34年もつ埋立処分場が4年で満杯になるなど、市民生活に多大な影響を与えかねません。このようなことから、今は被災地で開催される現地調査や意見交換会に職員を派遣するなど、情報収集や現状把握に努めているところです。

 さて、2011年、平成23年はどんな年だったのでしょうか。市民生活、経済、文化など、あらゆる分野で“ターニングポイント(転換点)”と位置づけられる年。2011年の「以前」と「以後」で語られる機会が今後たびたびあることでしょう。本当に大変な年でした。
 しかし希望を失う必要はありません。寒く暗い避難所にあっても整然と並んで順番を待ち、他者、とりわけ弱者に対する慈しみを当たり前のように持つことができる人間性と行儀の良さ。生来東北人が持つ粘り強さ。普遍であり、不変であるこのことこそが私たちの誇り得る文化ではないでしょうか。復旧・復興に向けた、そして間違いなく未来を展望する拠り所になるものと信じます。


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