※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2012年9月7日号

健康万歩計


今回のドクター
中根 邦夫先生(市立秋田総合病院消化器・代謝内科科長)

このコーナーでは、みんなが健康で元気に過ごすために必要な、ドクターからのちょっとしたアドバイスを紹介します。

進歩するB型肝炎治療


B型肝炎はどんな病気?

 B型肝炎はB型肝炎ウイルスの感染によって発症する肝臓の病気で、急性肝炎、劇症肝炎、無症候性キャリア、慢性肝炎、肝硬変、肝がんがあります。
 慢性のB型肝炎ウイルス感染者(=キャリア)は全国で約130〜150万人、秋田県では1万〜1万5千人と推定されます。キャリアの約90パーセントは症状も肝機能異常もない「無症候性キャリア」として一生を過ごしますが、頻度は低いものの肝細胞がんが発生することがあり、医療機関での定期的な経過観察が必要です。他の約10パーセントは慢性肝炎を発症し、肝硬変、肝がんへと進行する危険性が高いため積極的な治療が必要となります。 

B型肝炎治療の進歩

 B型肝炎の治療ではウイルスを完全に排除することは現時点では不可能で、ウイルスの増殖を抑え、肝炎を鎮静化することが目的となります。治療法としては、かつて肝臓を保護する肝庇護療法が主体でしたが、1986年からインターフェロン療法が、2000年からは核酸アナログ製剤が導入されました。
 核酸アナログ製剤は日本では現在、ラミブジン(商品名ゼフィックス(R))、アデホビル(ヘプセラ(R))、エンテカビル(バラクルード(R))の3種が承認されています。いずれも1日1回服用の経口剤で利便性が高く、特にエンテカビルはその90パーセント以上が良好な治療成績で、耐性ウイルスの出現も低く、副作用もほとんどないことから現在の治療法の主流になっています。

無料肝炎ウイルス検査と治療費助成制度

 B型肝炎ウイルスキャリアは自覚症状がないため感染に気付かないことが多く、一度は肝炎ウイルス検査を受けることをお勧めします。B型肝炎、C型肝炎ウイルスの有無は1回の採血でわかります(※)。B型肝炎ウイルス陽性が判明した人は専門医療機関を受診してください。治療が必要な人は肝炎治療費助成制度も利用可能です。
 かつて治療が難しかったB型肝炎も治療の進歩により管理しやすい病気になってきています。
※県内の各保健所で無料で受けられます。


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