※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2013年1月4日号

新春市長コラム・日々初心

新たなステップを踏み出す年

秋田市長 穂積 志


 市民のみなさん、明けましておめでとうございます。

 平成25年の干支「巳」には、「已」(止む)という意味があり、草木の生長が極限に達して、次の生命が作られ始める時期という解釈(※)もあるようです。また、何かがきっかけになって、急に物事の実態などがよく見え、理解できるようになることを例えて、「目からうろこが落ちる」と言いますが、ヘビは目もうろこで覆われていて、脱皮するときに文字どおり目から「うろこ」が落ちるそうです。

 気がつけば、新世紀の幕開けであった2001年から干支も一巡しました。さすがに落とすうろこはありませんが、せめて目を大きく見開いて、物事の本質を見極め、次の成長に向けた新たなステップを踏み出す、そんな1年にしたいものです。
※漢書「律暦志」より。

市長写真
にぎわい交流館AU(あう)にて

秋田から世界へ

 さて、昨年を振り返ってみますと、年明けから気温が低く雪の解けにくい状態が続き、平年を上回る積雪量となる一方で、9月の真夏日が史上最多という記録的猛暑が続くなど、いつも以上に寒暖の差が激しかったように思います。
 そして、真夏の日本列島をより一層熱くしたロンドン五輪では、過去最多のメダル獲得という日本選手団の活躍もありました。また、本市出身である女子バレーボールの江畑幸子選手、新体操団体の深瀬菜月選手の活躍には胸を熱くしました。「はずむスポーツ都市」を推進する本市から、お二人のように世界へ羽ばたく選手が続くことを楽しみにしています。
 一方、経済や社会のグローバル化が進む時代にあって、秋田市も、東アジアそして世界に目を向けて積極的に情報発信しています。
 高齢者が暮らしやすいまちをめざすエイジフレンドリーシティ構想については、日本で初めてWHO(世界保健機関)グローバルネットワークに参加しました。世界に類がない速度で高齢化が進むわが国そして秋田県にあって、ピンチをチャンスに変える発想で高齢社会政策の範とするものを築きたいと思います。
 さらには、中国南寧市での秋田産品の営業拠点となる「秋田ショップ」の開設をはじめ、秋田空港・秋田港を活用した韓国からの誘客や環日本海貿易の促進にも取り組んでおり、今後もグローバルな視点でここ秋田から大きく翼を広げていきたいと思います。

震災の記憶を風化させない

 未曾有の大災害となった3・11、東日本大震災からすでに1年9か月余りが過ぎましたが、本格的な復興までにはまだ長い道のりがあります。本市でも、昨年9月から岩手県野田村の災害廃棄物を受け入れているほか、宮城県石巻市と気仙沼市に市職員を長期派遣するなど、一日も早い復興に向け、同じ東北の一員として支援を続けています。
 ところで、あれだけの被害があったにもかかわらず、少しずつ私たちの中で震災の記憶が薄らいでしまってはいないでしょうか。
“天災は忘れたころにやって来る”。物理学者で、文学者でもある寺田寅彦の言葉だそうですが、みなさんも耳にされたことがあると思います。地震大国日本において、いつ再び大地震が起こるか分かりません。被害をいくらでも小さくするためには、一人ひとりの常日頃の備えが重要になります。もとより、市民の暮らしを守ることは私たち行政の大事な役割であり、本市でも震災を教訓にさまざまな対策を講じています。
 例えば、災害発生時の停電に対処するため、主要な避難所に発電機や照明器具、暖房機を配備するとともに、備蓄物資を補充しました。また、津波避難ビル・避難場所の指定や津波警報サイレンの補強・新設、秋田県警・地元ラジオ局との災害時優先放送に関する協定、エリアメール、ツイッターなどによる情報伝達の強化・多重化も図っています。
 さらに、連携交流提携を結んでいる茨城県常陸太田市、仙北市との災害時の相互応援に関する協定や、広範囲にわたる甚大な被害が発生した場合、同時に被災する可能性が低い四国の徳島市との協定締結など、万一の備えを充実させています。
また、東日本大震災では、太平洋沿岸の三陸地方に伝わる「津波てんでんこ」という言葉が注目されました。「津波が来たら、人にかまわず必死で逃げろ」という意味だそうですが、災害発生時には、まさに自らの手で自らを守る「自助」が基本となります。
 そして、初期消火や被災者の救出・救護などで大きな力となるのが、隣近所による助け合いなどの「共助」です。近所付き合いや高齢者への声かけなど、日頃の心配りがいざというときに力を発揮します。もちろん、本市でも市民を災害から守るためのさまざまな対策、「公助」に努めます。
 この「自助」「共助」「公助」を基本理念とし、市民、事業者そして市が連携を図りながら災害対策に取り組むため、本市では災害対策基本条例を昨年制定しました。この条例の理念に従って、市民が安心して暮らすことのできる地域社会の実現をめざしています。
 みなさんも震災の記憶を風化させることなく、まずは懐中電灯や携帯ラジオ、水、食料などの備蓄とともに、避難場所や避難経路の確認、災害時の連絡方法など、日頃の心がけについて、ご家族が揃うお正月に話し合ってみてはいかがでしょうか。

常陸太田市、仙北市と災害時の相互応援に関する協定を締結(9月8日)
手に手をとって(下浜地区での防災訓練)

元気な秋田市を次世代へ引き継ぐために


元気な秋田に、よ〜いドン!(岩見三内保育所)
巳年をテーマに一筆(飯島のいきいきサロン「書道教室」)

市政運営をふり返る

 さて、市民の負託を受けて秋田市長に就任してから、早いもので3年9か月が経とうとしています。この間、生まれ育ったふるさと秋田市を元気にし、次の世代へ引き継ぎたいという思いを胸に、市政運営に邁進してきました。
 将来のあるべき姿を見据えながら、本市の基盤づくりを進めるとともに、市民サービスの向上に向け、さまざまな種をまいてきました。環境立市をめざす「あきたスマートシティ・プロジェクト」に基づく町内防犯灯約2万8千灯のLED化、子どもを生み育てやすい社会の実現に向けた「次世代の育成支援」として待機児童の解消、「エイジフレンドリーシティの実現」の第一歩となる高齢者コインバスの導入など、取り組みの成果も徐々に実を結んできています。また、選挙の際に掲げた全40項目の公約をはじめ、今任期を振り返ったとき、自分なりの目標はほぼ達成できたものと考えています。
市長就任1年目には、経済雇用対策をはじめとするリーマンショック後の喫緊の課題に全力で取り組む一方、市制施行120周年という節目の年に当たり、市民企画イベント「秋だし、あきた市」と題し、市民から寄せられた大切な人に宛てた手紙の展示など「絆」をメインテーマにユニークな記念事業も実施しました。
 2年目には、本市の事務事業を総点検するとともに、中長期的な将来ビジョンとなる第12次総合計画「県都『あきた』成長プラン」と、第5次行政改革大綱「県都『あきた』改革プラン」を策定しました。また、この年は、秋田県初のプロスポーツチームとなるバスケットbjリーグ「秋田ノーザンハピネッツ」の誕生という、うれしいニュースもありました。昨シーズンは東地区3位に終わりましたが、今シーズンこそ有明コロシアムでのファイナルに進出し、リーグ優勝を勝ち取れるよう、みなさんと共にハピネッツを応援したいと思います。
 そして3年目は「成長プラン」と「改革プラン」の2つをスタートさせ、着実な成長と不断の改革に努め、将来に引き継ぐことのできる本市の基盤づくりを進めました。また、家庭系ごみの有料化や受益と負担の適正化といった諸課題にも、先送りすることなく取り組みました。
 任期4年目の今年度は、長年にわたる懸案事項であった中通一丁目地区の市街地再開発がついに完成し、日赤・婦人会館跡地一帯が、秋田市、ひいては秋田県の顔となる「エリアなかいち」として生まれ変わりました。オープン以降、目標を上回る大勢のみなさんからにぎわい交流館AUをはじめとするエリア内の各施設に足を運んでいただいており、リニューアルしたこの中心市街地から着実に新たなにぎわいが生まれています。


「美大」設置認可決定の記者会見にて(11月9日)
エリアなかいちのオープニング(7月21日)

誇りと愛着を持てるまちに

 昨年、大臣発言で二転三転した秋田公立美術大学の設置認可を巡っては、多くのかたにご心配をおかけしました。何とか無事に認可され、今年4月の開学をめざして現在準備を進めています。質の高い大学となることはもちろん、東北地方唯一の美術系公立大学として、芸術・文化をいかしたまちづくりの中核となるよう、しっかりと取り組んでいきます。
また、今年の夏には市役所新庁舎の建設工事に着工し、地上6階・地下1階からなる新庁舎が再来年には完成する予定です。みなさんに親しまれ、次世代へ引き継がれる庁舎の建設をめざします。工事期間中は何かとご不便をおかけすることもあるかと思いますが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
   ◆
国政の動向を含め、本市を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。急速な少子高齢化や人口減少が進む中、「県都『あきた』成長プラン」の基本理念「ともにつくり ともに生きる 人・まち・くらし」の実現に向けたさまざまな取り組みも緒に就いたばかりです。引き続き、市民が誇りと愛着を持てるまちをめざして、日々全力で取り組んでまいりますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 本年がみなさんにとって、良い1年となりますようにー。

ともにつくり
ともに生きる
人・まち・くらしの実現へ



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