戦争を体験したことで、正義とはとてもあやふやなものだということ。そしてまた、戦争をしている国同士は正義が勝つのだといって戦っているけれど、子どもたちのことを気に掛けることもないため、その子どもたちが争いの中で次々に死んでいく。飢えた子どもを助けることが一番大切なことであるのに…。
ですからアンパンマンは、困っている人がいたら自分の顔をちぎってでも一片のパンを与えますし、みんなのヒーローですが、正義の名のもとにとこトン相手を打ちのめしたりしません。また一方で、ばいきんまんというユニークなキャラクターも登場させます。愛すべき、憎めない悪者で、こちらも正義と称して街を破壊したりしませんし、ときには人を助けたりもします。
3・11東日本大震災からまもなく3年になります。
「そうだ うれしいんだ生きる喜び たとえ胸の傷がいたんでも」で始まるアンパンマンの歌は、悲しみに沈む被災地のラジオ放送で連日繰り返し流され、子どもたちは笑顔を取り戻し、大人は勇気づけられたと報道されていました。
そしてこの歌は、「なんのために生まれて なにをして生きるのか 答えられないなんて そんなのはいやだ」と続きます。やなせさんはこのフレーズを、自らの人生のテーマソングだとも話していました。
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