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2014年3月7日号

市長コラム

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春、旅立ちのとき 〜やなせたかしさんの考え方

市長穂積 志(もとむ)
 みなさんはアンパンマンの絵が描かれているバスが市内を走っているのをご存じですか? そうです、それは秋田空港と市街地をつなぐリムジンバスです。
 なぜこんなことをお聞きするのかと言うと、先日ある社団法人の会報でアンパンマンの生みの親である、やなせたかしさんについて書かれた記事に接し、改めてやなせさんの考え方に強い感銘を受けたからです。
 やなせさんは著書(※)の中で、このようなことを述べています。
 戦争を体験したことで、正義とはとてもあやふやなものだということ。そしてまた、戦争をしている国同士は正義が勝つのだといって戦っているけれど、子どもたちのことを気に掛けることもないため、その子どもたちが争いの中で次々に死んでいく。飢えた子どもを助けることが一番大切なことであるのに…。
 ですからアンパンマンは、困っている人がいたら自分の顔をちぎってでも一片のパンを与えますし、みんなのヒーローですが、正義の名のもとにとこトン相手を打ちのめしたりしません。また一方で、ばいきんまんというユニークなキャラクターも登場させます。愛すべき、憎めない悪者で、こちらも正義と称して街を破壊したりしませんし、ときには人を助けたりもします。
 3・11東日本大震災からまもなく3年になります。
 「そうだ うれしいんだ生きる喜び たとえ胸の傷がいたんでも」で始まるアンパンマンの歌は、悲しみに沈む被災地のラジオ放送で連日繰り返し流され、子どもたちは笑顔を取り戻し、大人は勇気づけられたと報道されていました。
 そしてこの歌は、「なんのために生まれて なにをして生きるのか 答えられないなんて そんなのはいやだ」と続きます。やなせさんはこのフレーズを、自らの人生のテーマソングだとも話していました。
 弥生3月、卒業や受験、そして就職・進学と、まさに旅立ちのときです。この春旅立つみなさんの前には、うれしいこと、悲しいこと、中には予期せぬ試練や困難も待ち受けていることでしょう。そんなときは、ぜひアンパンマンやばいきんまんのこと、そしてやなせさんの考え方のことを思い出してください。
 「人生は喜ばせごっこ」の言葉どおり、最後まで子どもや大人を喜ばせたやなせさんの考え方は、みなさんの行く先々を十分に照らしてくれると思います。

※やなせたかし著「わたしが正義について語るなら」2013年・ポプラ社(ポプラ新書)

旅立ち。
新たな
門出に幸あれ!


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