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2014年6月6日号

市長コラム

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東北は一つ 〜 それぞれができること

市長穂積 志(もとむ)

下浜児童室開設式で(5月1日)
 5月中旬、釜石市で開催された東北地区港湾整備促進協議会に出席してまいりました。釜石市を訪問したのは、震災直後の2011年5月以来です。釜石港周辺を視察した際、当時陸に打ち上げられていた船は姿を消し、港一帯はきれいに整備されていました。また、震災後激減していた釜石港の取扱貨物量も復興と足並みをそろえるように順調に回復しているとのことでした。
 昨年、NHKドラマの「あまちゃん」でも評判を呼んだ三陸鉄道の北・南リアス線も全線運行が再開されるなど、各地から明るい話題も届いています。このように鉄道や道路、港湾などのインフラ整備においては、震災からの復興が着実に進んでいます。
 ただ一方では、個人の住宅や一人一人の生活支援、また心のケアなどの面となると、まだまだ道半ばだということも痛感させられました。釜石市の仮設団地に住む市老人クラブ連合会のかたのお話を聞く機会がありました。「津波をもろにかぶり瓦礫に挟まれ身動きがとれず、もうダメかと諦めかけていたら、水位の上昇がのど元で止まって九死に一生を得た」などの話は、ご自身が直接遭遇した津波の体験談で非常に説得力があり、震災を風化させないために語り部ボランティアとして活動している姿に心を打たれました。こうした話に触れるたび、私は同じ東北の一員として自分にできることは何か、ということを改めて問いかけていく必要があるように思います。
 さて、5月下旬には今年で4回目となる「東北六魂祭」が山形市で開催されました。「いざ、新しい東北へ。」をテーマに、山形花笠まつりをはじめ青森ねぶた祭や秋田竿燈まつりなど、東北の夏を彩る代表的な祭が集結しました。六魂祭ほど「東北は一つ」というメッセージを全国に打ち出すことができる機会はありません。来年は、秋田商工会議所など関係団体と話し合いながら、ぜひ秋田市で開催したいと考えています。
 10月には震災後東北で初めてとなる「第29回国民文化祭・あきた2014」が開催されますが、その中の「はばたけ秋田っ子小学校文化フェスティバル」に、岩手県大槌(おおつち)町や宮城県南三陸町、石巻市の小学生を招待する予定です。本市児童との合唱や郷土芸能の発表などを通じて、秋田での楽しい思い出を胸に元気と感動を地元に持ち帰って欲しいものです。
 今回秋田市が子どもたちにできることは、被災地・被災者全体から見ればほんの一助に過ぎないと思います。それでも、それぞれが被災者の心に寄り添い、できる範囲で手を差しのべていくことが大切ではないでしょうか。


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