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2014年8月1日号

市長コラム

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69回目の夏休み〜百聞は一見にしかず

市長穂積 志(もとむ)

市の記念日式典で、功労者表彰を受けた
みなさんと(7月11日、文化会館)
まちには竿燈のお囃子が鳴り響き夏真っ盛り、子どもたちは元気いっぱい夏休みを満喫していることと思います。そして、戦後私たちが享受してきた平和や繁栄を考える上で、決して忘れてはならない8月が巡ってきました。
 昭和20年8月6日は広島市に、9日は長崎市に原子爆弾が投下され、15日には終戦を迎えています。また、秋田市においては、その前夜14日から15日未明にかけての土崎空襲により、250人を超える尊い命が奪われた忘れられない1日となりました。
この空襲は、土崎港相染にあった、当時の日本石油秋田製油所(現在はJX日鉱日石エネルギー秋田油槽所)が狙われたもので、周辺の住宅や港湾施設などに数時間にわたり爆弾が投下されています。この地域では、時々不発弾が発見され、その処理の模様がニュースで流れていたのも、遠い昔のことではなかったように思います。
 空襲の“爪痕”が残る壁や柱など、当時の製油所の一部は現存しています。以前より、「空襲を語り継ぎ、平和について考えるために保存できないか」との声があり、市としても市民のみなさんと話し合う一方で、JX日鉱日石エネルギーとの協議や土崎地区のまちづくり政策全体での検討を重ねてきました。
 その上で製油所の一部を、旧土崎支所・土崎消防署跡地に整備を予定している、「(仮称)土崎みなと歴史館」に移設し、平和に関する講話や遺品の展示なども行いたいと考えています。とにかく“百聞は一見にしかず”。実際に焼けた壁や柱、鉄骨などに触れることにより、戦争の悲惨さや平和のありがたさについて改めて考える機会にしたいと思います。
 また、市では平成22年から小学校の高学年を対象に「平和の朗読会」も開催しています。これは女優の浅利香津代さんが学校を訪問し、土崎空襲を記録した児童書「はまなすはみた」(※)を朗読するもので、これもまた平和についての真に迫る話が小学生の心に問いかけます。

秋田港に立つ「平和を祈る乙女の像」
 こうした取り組みは、高校生が企画した学習会や市民団体の活動などとしても行われており、私もいつも心強く感じています。
 戦争の悲劇を後世に伝え、次代の子どもたちのために平和な世の中を残すのは、私たち大人の責務です。元気に遊びまわる子どもたちが、いつまでも夏休みを楽しめるように、忘れない、忘れてはいけない、今年も巡ってきた69回目の8月です。 
※「はまなすはみた」(文・佐々木久春、 絵・斎藤昇 秋田文化出版社)


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