仁井田さんは幼いときに先天性の疾患と診断され、知的障がいがあります。両親はそんな彼女を見ていて、絵を描くことが好きなことを見いだし、洋画教室に通うことを勧めたそうです。指導した石川恭子先生は、「通ううちに主題に添って混色したり原色を使用したりして、魅力的なハーモニーを出せるようになってきている」とおっしゃっています。
また、7月に秋田公立美術大学のアトリエももさだで開かれた、障がいのあるかたたちの交流展覧会では、大仙市の小野崎 晶さんの作品とも接し、後日、瑞々しい感性にあふれた作品集を送っていただきました。
このように「自分」や個性を表現した例はほかにもいろいろあると思いますが、この機会に、これまでこうした美術活動を支援してきた秋田公立美術大学の安藤郁子先生が書かれた一文をご紹介します。
わたしたちが大切にしたいこと
それはアートのちから
誰もが生きる実感を持ち
お互いのちがいを認め
自分らしく豊かに暮らすちから
間もなく国民文化祭が始まりますが、その期間中、障がいのあるかたの絵画などを集めた展覧会を予定しています。一つひとつの個性が光る優れた芸術作品を少しでも多くのみなさんにご覧いただき、障がいのあるかたの社会参加をさらに促進し、誰もが輝ける社会を築くためのきっかけづくりにしたいと考えています。
もちろん、そのための分野は問いません。8月にブラジルで開催された「もうひとつのワールドカップ」と呼ばれる知的障がい者サッカーの世界選手権に、日本代表ゴールキーパーとして、秋田市在住の加藤隆生さんが選ばれたというニュースがありました。2006年のドイツ、2010年の南アフリカ大会に続く3大会連続の代表選出になるそうです。
普段はサラリーマンとして働きながら、きっと練習時間を自分でつくり出してきたのでしょう。このように努力が報われた話にふれるたびに、本当に頼もしく思うとともに、心の底からじーんとうれしさが込み上げてきます。
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