※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2019年5月3日号

市長コラム

市長 穂積 志(もとむ)

対面のコミュニケーション〜新社会人の登場


初々しさ100%! 市役所の新規採用職員の入所式で


 4月、陽光まぶしい中、真新しいスーツに身を包み、ちょっと緊張した面持ちで歩く若い人とすれ違うたびに、気持ちが伝わってくるようで自然に私の背筋も伸びていくのがわかります。ホテルや銀行などで、新入社員が職場周辺のゴミ拾いや掃除をしている風景も、この季節の風物詩の一つかもしれません。市役所でも今年108人を新規採用しましたが、研修の一環で、毎朝市役所玄関に立ち並び、元気に「おはようございます」とあいさつをしていました。
 さてこの春は働き方改革のスタートのときでもあります。仕事の目的は人それぞれ違いますが、最終的には幸福になるため、“ハピネス度”を高めることにあるかと思います。新社会人には一つ一つ仕事の仕方や組織のルールを覚えてもらうことも必要ですし、そのための知識を具体的に習得してもらうことも重要です。心身の健康を保つには、趣味に興じたり家族や仲間と過ごす時間も大切だと思います。そうしたことへの配慮も私たち先輩の仕事です。
 さらには、職場の雰囲気作りもハピネス度を高めるためには大切です。ここに参考となりそうな興味深い話があります。働き方改革を特集したJR東日本発行の雑誌に掲載されていた、日立製作所の矢野和男さんの記事(※)をご紹介します。一言で言うと「雑談が職場の雰囲気をよくしハピネス度の向上につながる」ということ。人間は言葉を使ってコミュニケーションをとっているようでいて、実は、チンパンジーやサルが毛づくろいをしたり、ジェスチャーで群れをコントロールするのと同様、声のトーン、抑揚やリズムなど、非言語的な要素が重要な役割を果たしているというのです。要するに、対面的なコミュニケーションという行為そのものがハピネス度を向上させると。
 単に知識や経験を伝えるだけなら、対面でなくてもメールや電話で事足りるでしょう。正確さだけを求めるのであれば、むしろマニュアルに頼った方がいいかと思います。ただ、矢野さんの記事によれば、ヒトとチンパンジーのDNAは98%以上が共通しているそうです。私たちもまたチンパンジーやサルと同様、ヒトという生き物なのです。
 こうしてみると、社会人として仕事を教え育てていくことが私たちの責任であることは間違いないのですが、少しでもハピネス度の高い人生を送っていけるように見守っていくこともとても重要に思えてきます。会議の席や雑談などでは、単に言葉で情報を伝えるだけでなく、もっと顔を見つつ声がけしつつ、心を通わせながら職場の雰囲気をつくっていくことの大切さを改めて感じた4月でした。

◆市長の動向などは、市ホームページでお伝えしています。https://www.city.akita.lg.jp
※引用元=「JR EAST」(2018年6月夏号) [企画・編集]東日本旅客鉄道株式会社広報部


©2019秋田県秋田市(Akita City , Akita , Japan)
All Rights Reserved.
webmaster@city.akita.akita.jp