※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2021年1月1日号

新春市長コラム

市長 穂積 志(もとむ)

2021年ー時代の大きな転換点

これからを
“地方で、このまちで、生きる”


 明けましておめでとうございます。新しい年の幕開けをいかがお過ごしでしょうか。みなさまにとって、穏やかで、幸せな一年になることを心からお祈り申し上げます。
 2021年の干支は丑(うし・牛)です。歩みが遅い例えとして「牛歩」と言われますが、努力を怠らなければ大きな成果をあげることができるという意味で、「牛の歩みも千里」とも言われます。コロナ禍などで、思いどおりにはいかないこともありますが、それでも、牛の歩みの如く、ゆっくりと確実に、歩を進めてまいりたいと思います。

豊かな自然が育(はぐく)む秋田の「食」

 昨年は、秋田米の新品種「サキホコレ」が大きな話題になりました。食味に徹底的にこだわって開発された最上位品種で、明るい未来を感じさせるネーミングも好印象。2022年度の本格デビューがとても待ち遠しく感じます。
 “米の国秋田”の「米」をキーワードにブランド化されたのが「秋田牛」です。秋田の豊かな自然の中で、一定量の米を与えて育てることで、「やわらかく、多汁性があり、旨みが強く、脂の口溶けが良いおいしい」お肉になるのだそうです。
 「秋田牛」をはじめ、お米やきりたんぽ、お菓子、工芸品など、コロナ禍で、売り上げが落ち込み、経営に大きな影響を受けている特産品などを販売する事業者を支援し、地元産品を全国にPR・販売するため、昨年11月、秋田市特産品ポータルサイト「あきたづくし」をオープンしました。
 2月末までの開設期間中、300を超える商品が、通常の販売価格よりも2割以上安く、2千円以上購入の場合、送料も無料で購入できます。秋田の魅力がギュッと詰まった大変お得な機会ですので、市民のみなさまからも、県内外のお知り合いのかたなどに、耳寄りな情報としてお伝えいただければ幸いです。また、贈り物として喜ばれるのはもちろん、ご自宅用としての購入もおすすめです。きっと秋田の魅力を再発見できると思いますので、ぜひご利用ください。

「あきたづくし」のトップ画面

<2020年を振り返る>
うれしいニュースもありました

<3月>
夕日の絶景スポット!
下浜サンセットロードが開通しました
<7月>
大森山動物園でキリンの「ケイタ」誕生
<4月>
チャレンジオフィスあきたが、中通に
移転オープン
<8月>
秋田駅西口駅前広場が完成。一年を通じ緑が映える天然芝の広場は、にぎわいの場にも

<5月>

コロナ禍に遭って、まちを元気づける催しを開催
売り上げが減少した事業者などを支援するために開催した、「地元産品応援セール」(上の写真)と「秋のあきたグルメフェスタ」(下の写真)
<10月>

 コロナ禍にあって、まちなかのお店を利用することが、地域貢献の一つになると改めて気づき、意識するようになったという声を聞きます。すべての消費を地元のお店、地元のもので賄うことは現実的ではないかもしれませんが、大切にしたいと思うお店や生産者などがあるとしたら、日常の中でほんの少し意識し、利用することで、私たちのまちに前向きな変化をもたらすことができるように思います。
 あなたや私の、日々の行動が、私たちの暮らしを彩り、まちをかたちづくる。「新しい日常」の中で大切にしたい「気づき」だと感じています。

ピンチをチャンスに!
日常の中にある「心豊かな暮らし」

 経済活動上の効率性や合理性などから、これまで、大都市への人やモノの集中が進んできましたが、コロナ禍により、東京一極集中や大都市の過密さがリスクや弱点として広く認識されるようになり、社会のあり方や人々の生き方、価値観に大きな変化が生じています。秋田で暮らす私たちにとっても、「地方で生きる」ことの価値と意義を改めて捉え直す、大きな転機です。
 静かな生活環境、身近にある豊かな自然、旬の食べ物など四季を感じる暮らし、人と人との適度な距離感やつながり、地域の営みや歴史に根ざした文化。これらがもたらす充実した日々の営み。地方都市の日常がもたらす「心豊かな暮らし」は、私たちにとっては、まちに対する愛着の源泉であり、大都市で暮らす人々にとっては、生活の質を高め、心を満たし、新たな生きがいの発見にもつながる大きな魅力として、地方回帰のきっかけになりうるものと考えます。
 同時に、「心豊かな暮らし」を実感するためには、日々の暮らしを支えるしっかりとした土台を固めることが重要です。安定した仕事や収入、安全安心、子育てしやすい環境、健康長寿、充実した公共交通、そして、「新しい日常」を支えるICTなどの先端技術。人口減少下にあっても持続可能な「社会基盤」が不可欠です

憩いの空間、千秋公園のお堀

“地方で生きる”から“このまちで生きる”へ

■新たなまちづくりの基本方針
「県都『あきた』創生プラン」

 「心豊かな暮らし」とそれを支える「社会基盤」。“地方で生きる”うえでは、そのバランスが大切と考えます。
 地方の中核都市である本市には、適度な水準でそのバランスをとることができる長所があります。長所をいかし、市民一人一人が暮らしの豊かさを実感し、“このまちで生きる”ことに幸せと誇りを感じられるように、都市としての魅力を高めていきたいと考えています。
 こうしたことを念頭に置き、本市の新たなまちづくりの基本方針となる次期秋田市総合計画(計画期間=令和3〜7年度)を策定中です。
 現在の計画の基本理念“ともにつくりともに生きる人・まち・くらし”を引き継ぎつつ、人口減少・少子高齢化はもとより、新型コロナウイルス感染症の影響による社会の変化や若者に魅力あるまちづくりを見据えた計画にしたいと考えています。計画の名称は、市民のみなさまとともに「創」り、ともに「生」きるための計画として、「県都『あきた』創生プラン」とする予定です。
計画期間内に特に力を入れる5つの分野である「創生戦略」には、

少子高齢化に伴う地域の課題解決などにつなげる
先端技術を活用した地域産業の振興としごとづくり

中心市街地のさらなる活性化などに取り組む
芸術文化・スポーツ・観光による都市の魅力向上

新たに“ゼロカーボン”の推進を位置づける
未来につなぐ環境立市あきたの推進

さらなる充実が求められる
子どもを生み育てやすい社会づくり
いきいきと暮らせる健康長寿社会づくり
を位置づけたいと考えています。

先端技術によるモデル的まちづくりと「デジタル市役所」

 なかでも先端技術の活用に関しては、「スマート農業」や観光、スポーツ、環境、防災などの幅広い分野で、横断的に取り組む必要があります。とりわけ外旭川地区については、新スタジアム整備に向けた検討や、泉外旭川駅の開業、卸売市場の再整備なども見据え、モデル地区に設定することで、新しいまちづくりにつなげていきたいと考えています。こうした施策には、行政だけでなく、民間のノウハウや技術を活かすことが欠かせませんので、民間との協働で、人口減少・少子高齢化に伴う課題の解決、さらには若者にとって魅力あるまちづくりへと結びつけたいと思います。
 行政サービスに関しても、市民のみなさまが利便性向上を実感できるよう、各種申請のオンライン化と押印の原則廃止、手数料などのオンライン決済、オンライン相談などを通じて、市役所に行かなくてもすべての手続きができる、いわゆる「デジタル市役所」の実現をめざしたいと考えています。新たな組織体制なども含め、全庁を挙げて取り組んでまいります

市役所市民の座に、環境施策のPRの一環で、竿燈のお囃子屋台を設置しました

園芸振興センターに、スマート農業を活用したいちご栽培施設が完成しました

■ゼロカーボン=温室効果ガス(二酸化炭素)の排出をなくすこと
■スマート農業=ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、省力化・精密化などの実現を図る新たな農業のこと

時代の大きな転換点にあたって

 “大転換のとき、希望を持て、覚悟を決めよ”。2009年に、私が最初に市長選に立候補したときのキャッチフレーズです。その前年「リーマン・ショック」に端を発した経済危機の波が、ここ秋田にも達し、地域経済と雇用は非常に厳しい状況にありました。そうした中で、危機に立ちすくむのではなく、これをチャンスに変える転換点と捉えた、私なりの決意でした。
 それから約12年。リーマン・ショックでは「カネ」の動きが止まりましたが、コロナ禍では「ヒト」と「モノ」の動きが止まり、私たちの生活はより直接的に打撃を受けました。いま私たちが直面しているのは、「誰も正解が分からない中でどう対処すべきか」という問題であるように思います。
 苦悩の中、「不要不急」なものとして挙げられた、例えば、旅行やスポーツ、文化、芸術、レジャー、会食などから、私たちが心のゆとりや豊かさなど、どれほど大きな恩恵を受けてきたか思い知らされました。また、「個人の自由」と「公共の福祉」の兼ね合いは、簡単に答えを出せない大きな命題であり、私たち一人一人が真剣に考えていく必要があると感じています。
 私の座右の銘は「日々初心」です。
 市長就任時の初心に照らし、今、さらなる「大転換のとき」にあって、「希望を持ち」「覚悟を決め」、前へと進む必要がありますが、同時に、「答えを出せない問い」を率直に受け止め、向き合っていきたいと思います。
    
 昨年、私も県民の一人として、大変うれしく思うニュースがありました。
 9月、秋田県出身で初となる菅義偉首相が誕生しました。就任の際、「地方を大切にしたい、日本のすべての地方を元気にしたい」と述べたとおり、都市と地方の実情を知る菅首相のリーダーシップのもと、一つ一つの政策を着実に実行されるものと期待しています。
 そして、サッカー・ブラウブリッツ秋田が、J3優勝とJ2昇格を決めました。開幕からリーグの無敗記録を更新しながら首位を独走する快進撃は、市民に大きな元気を与えてくれました。来シーズンからは、よりレベルの高いJ2を戦い抜き、市民・県民に一層愛されるチームとして、さらなる飛躍を期待しています。
 たくさんの明るいニュースが生まれる年にしたいものです。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

明るい話題の多い一年に!


サッカーJ3優勝報告に訪れたブラウブリッツ秋田のみなさんと

3月21日(日)にオープンする「秋田市文化創造館」…次のページで特集

3月開設に向け、工事が進む「泉外旭川駅」…次の次ページで特集


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